忍殺TRPGリプレイ【ストーム・ブリンガー】04
前回のあらすじ：ニンジャ抗争で妻子を失い、自らも死の淵にあったサラリマン、フジキド・ケンジ。ニンジャスレイヤーとして蘇った彼は、復讐の戦いに身を投じる。抗争を行った二つの暗黒ニンジャ組織、ソウカイ・シンジケートとザイバツ・シャドーギルドを根絶やしにするために！
◆
「なぜリストを作った。なぜ、マルノウチ抗争の参加者だ。なんの意味がある」ビーフイーターは問うた。「サンズ・リバーでエンマ・ニンジャに聞いてみるがいい」ニンジャスレイヤーは言い捨てた。「そして、リストに無いザイバツのニンジャも実際殺す。安心してジゴクで待つがいい」「狂人め」
「聞き飽きた」ニンジャスレイヤーは決断的にジュー・ジツを構えた。ビーフイーターはトマホークを構えた。不完全な状態。おそらく相手は、自分の武器が十全に使用できない環境を選んだのだ。調査の成果か、あるいはギルドの誰かが情報を漏らしたか。ならば側近派や貴族派の誰かか。……否！
彼は余計な思考を瞬時に振り切り、眼の前の敵に集中する。『環境に文句を言う奴に晴れ舞台は一生来ない』というミヤモト・マサシの言葉がある！立ちはだかる敵を振り切り、地表へ飛び出すのだ！「来い、ニンジャスレイヤー＝サン！」大気にカラテが満ちる！一撃必殺アトモスフィア！
戦闘開始
1ターン目
イニシアチブ（一騎打ち）：ビーフイーター/BE＆ニンジャスレイヤー/NS（10）→BE＆NS（5）
最初からハードモードだ！
元シナリオのマップによれば、BEが脱出するまでには10マス。ただし出口の手前2マス以外はワックスが塗られており（あるいは互いのカラテ牽制により）、ニンジャでも連続側転できないうえ、移動マスも脚力の半分まで（端数切り下げ）となる。BEは脚力が6+1＝7なので3マスずつしか動けない。おそらく全力移動もダメだ。さらに外へ出なければジェットハルバードが使えない。NSはBEの正面に陣取り、脱出を妨害する。脚力が8もあるのでワックスマスでも4マス動ける。BEには相当不利な状況だが、ガンバレ！
BEは東へ3マス移動しNSへスリケン連射、[3613][124]成功。NSは回避N→E、[43][53]回避。1マス西へ前進してスリケン連射、[215341][512632]2発成功。BEは回避ダイス12、[21][46]1発命中！残り体力11！
狭い室内にはキリングオーラが渦巻いている。両者は互いに睨み合い、牽制し、無数の戦闘パターンをUNIXショーギめいて計算する。ニンジャスレイヤーの背後、地表への階段までは側転すれば届く距離だが、実際よりも遥かに遠く感じる。カラテの嵐を潜り抜け、あそこまでたどり着くのだ！
「イヤーッ！」ビーフイーターは前進してスリケンを連射！「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは見切って躱し、スリケンを指で挟んで投げ返す！「グワーッ！」一枚をトマホークで叩き落とすが、もう一枚が命中！ワザマエの差は歴然だ！「逃しはせんぞ」「ヌウーッ、ナメるな！」
BEは右へ3マス移動しNSと隣接、ジェット噴射しトマホーク攻撃！連続攻撃せず10D6[5225155333]4成功。NSは13D6[4453546333245]8成功＆迎撃！BEはあえて体力で受け、残り体力10！
「イヤーッ！」ビーフイーターは前進しながらトマホークで斬りかかる！KBAM！BOOOM！ジェット噴射で威力倍増！「イヤーッ！」「グワーッ！」ニンジャスレイヤーはジュー・ジツで躱し迎撃！タツジン！「クソッタレ」ビーフイーターは毒づく。これがサラマンダーを倒したカラテか！
NSは集中して連続攻撃3、「◉◉憎悪：ザイバツ」により攻撃ダイスは2増えて18。[113534][223224][526515]4成功、2成功、4成功。BEは回避ダイス8、アドレナリン・ブーストし（残り精神力12）[143][262][24]回避！
「ニンジャ殺すべし！」ニンジャスレイヤーは憎悪を燃やし、恐るべき連続攻撃を繰り出す！「イイイヤァアアーーーッ！」どくん。ビーフイーターはニンジャアドレナリンを過剰分泌させ、死神のカラテを……「イヤーッ！」ブリッジ回避！ゴウランガ！そして、地表への出口はもうすぐだ！
2ターン目
BEは下へ1マス、右へ4マス移動し離脱成功！スシを消費し体力12に回復。NSは後を追う！
「ウオオーッ！」ビーフイーターは獣めいて叫び、懐からスシを取り出して咀嚼しながら全力で逃走！階段を駆け上る！「逃がすか！イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは後を追う！だが、出口前をオイランの集団が通りかかる！「ヌウッ！」「「「アイエエエ！？ニンジャ！？ナンデ！？」」」
殺気を振りまく怒り狂ったニンジャに突如遭遇し、オイランたちは腰を抜かして失禁！泡を吹く！「アーレエエエ！？」「アイエエエ！？」「ニンジャ！？」「スミマセン」ニンジャスレイヤーは立ち止まってオジギし、ビーフイーターのニンジャソウル痕跡を探る。「イヤーッ！」追跡！
罪罰罪罰罪罰……「アイエッ！？」「アーレエエエ！？」オイランたちは正気を取り戻し、ふらふらと立ち上がった。NRSと、ガイオン全体を覆うロード・オブ・ザイバツのジツ「キョジツテンカンホー」の力によって、ガイオンのモータルはニンジャを目撃してもすぐに忘れるのだ。
3ターン目
ニンジャスレイヤーはビーフイーターを追って、路地の奥に駆けつけた。やや広いが袋小路だ。人混みの中へ逃げ込まれれば面倒だったが、ここならば！「どこだ、ビーフイーター＝サン……！」その時！
BEはジェットトマホークをジェットハルバードに変形させ、リーチ+1でアンブッシュ攻撃！10D6[6121166366]5成功＆ナムアミダブツ[1]弾き飛ばし！アンブッシュにより回避UH2！NSは10D6[6451531333]命中！3+1＝4ダメージを受けて弾き飛ばされ[54]ウケミ成功！残り体力14、回避ダイス5！
「イヤーッ！」一足先に待ち構えていたビーフイーターがアンブッシュを仕掛ける！得物は己の身長以上に長い槍！その先端部には先程のトマホークが接続され、ジェットを噴く！これが彼の真の武器なのだ！KRASH！「グワーッ！」命中！ウカツ！ニンジャスレイヤーは弾き飛ばされ、壁にウケミ！
NSは側転＆連続攻撃3、[562161524413][611534][321263][415341]2成功、1成功2発。BEは回避ダイス10。[52][35][56]回避＆迎撃！NSは[65]回避！残り回避ダイス5+1-2＝4、緊急回避ダイス8！
「グハーッ、どうだ！これが俺のジェットハルバードだ！」ビーフイーターは目を血走らせてイクサの熱に昂揚する。そう、これこそがカラテ、これこそがイクサ！「問題なし。イヤーッ！」「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーのジゴクめいた連続攻撃をブリッジ回避！ゴウランガ！「行くぞ！」
BEは距離を取ってハルバード攻撃、10D6[2315544525]6成功。NSは[3154]回避！駆け寄って連続攻撃3、[525464][534335][251534]5成功、3成功2発。BEは回避ダイス4、緊急回避ダイス1を消費し[12][56][2]2発命中！4ダメージを受け残り体力8！
KBAM！BOOOM！「イヤーッ！」信じ難い斬撃スピードでビーフイーターのジェットハルバードが襲いかかる！「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは紙一重で回避！鉄拳を繰り出して反撃する！「イイイヤァアアーーーッ！」KRASH！「グゥワーッ！」命中！ビーフイーターは血反吐を吐いた！
4ターン目
大気にカラテがみなぎる！ウルトラハードモード突入！
BEは即応ダイス2をつぎ込んで「一掃」発動、9D6[561354566]6成功＆ジェットタツマキ発動！3ダメージを時間差で3回！NSは回避UH→H、[3621][2644][1556]回避！残り回避ダイス5！
「ウオオーッ！」ビーフイーターはジェット噴射を続けながら猛スピードでコマめいて回転！凄まじいタツマキ攻撃を仕掛ける！食らえばニンジャスレイヤーといえどただでは済まない！「Wasshoi！」だがニンジャスレイヤーは低く身を沈め、タツマキの中へ突っ込んでゆく！ナムサン！
NSは連続攻撃3、[136243][143525][442616]2成功、3成功、4成功＆殺伐[5]両腕破壊！BEは回避ダイス10、[11][11][62]殺伐を躱すが2発命中！4ダメージを受け残り体力4！残り回避ダイス4！
なんたる自殺行為か！否、ニンジャスレイヤーの非凡なニンジャ反射神経は高速回転する刃の位置を見極めた！先端のトマホークを潜り抜け、それよりも内側、柄の部分まで一瞬で間合いを詰めた！「何！？」ビーフイーターが呻く。ジェット推進で勢いのついたハルバード回転は急には止まれない！
「イイイヤァアアーーーッ！」ニンジャスレイヤーはブリッジ寸前まで上体を反らし、ハルバードの柄をかわしつつ両手でしがみついた！ビーフイーターもろとも高速回転！ゴウランガ！死のカルーセル（回転木馬）に乗り込んだのだ！「グゥワーッ！」ビーフイーターは連続キックをまともに食らう！
BEはNSごとジェットハンマー投げ発動！7D6[5531535]6成功。NSは回避UH、緊急回避ダイス4を消費し[562612634]回避！
たまらずビーフイーターはジェットハルバードをハンマー投げめいてニンジャスレイヤーもろともに投擲！「イヤーッ！」飛んでゆくジェットハルバードからニンジャスレイヤーは高く跳躍して離脱した。KRASH！ジェットハルバードは遠く離れたネオン看板に突き刺さり、激しい火花を撒き散らす！
NSは側転＆連続攻撃3、[111635116226][533112][244261][215466]1成功2発、3成功＆殺伐[3]急所破壊。BEは回避ダイス+2、[45][44][23]全て命中！2+2+3＝7ダメージを受け残り体力-3、精神力消費し戦闘不能。
「ええい！来い！来い！」ビーフイーターは素手のカラテを構えた！環境に文句を言う者には「イイイヤァアアーーーッ！」ニンジャスレイヤーは色付きの風と化し、瞬時にビーフイーターの懐へ飛び込んだ！「え」KRAASH！「アッバーッ！」ナムアミダブツ！キックがビーフイーターの股間を破壊！
さらにチョップ突きがみぞおちを貫き、血液と臓腑が溢れ落ちた。「アバッ、ゴボッ……！」ゴウランガ！なんたる無慈悲な暗黒カラテ！「ハイクは詠めるか」「ア、ア、アバッ……！」ビーフイーターはキアイを振り絞り、なんとか口から言葉を発した。「環境に、文句を言う奴に……晴れ舞台は」
それは、彼が口癖のように呟いていたミヤモト・マサシの格言だ。教わったのはモータルの時だったか、ニンジャになってからだったか。もはや思い出せぬ。それは、あるいは……貴族が、ニンジャが、下々の者を思い通りに従わせるための、邪悪な呪いであったのかも知れぬ。「一生、来ない」
「イヤーッ！」カイシャク！「アバーッ！サヨナラ！」KABOOOM！ビーフイーターはチョップで首を刎ねられ、爆発四散した！インガオホー！
ビーフイーター死亡：残り10人
戦闘終了
「スゥーッ……ハァーッ……！」ニンジャスレイヤーはチャドー呼吸を行い、エテルを体内に取り入れて、負傷を癒やす。実際油断ならぬ相手であった。だが殺した。彼はビーフイーターの生首に例の張り紙をかぶせ、ネオン看板に突き刺さったジェットハルバードの柄に投げつけ、串刺しにした。
なんたる無慈悲。「あと、10人」ニンジャスレイヤーは死んだマグロの目でつぶやき、流血と臓腑の上に張り紙を数枚ばらまくと、姿を消した。
◆◆◆
キョート城。ニンジャスレイヤーがガイオン各地にばらまいた張り紙は、すでにパーガトリーとスローハンド、グランドマスター二人のもとに届いていた。最初は対立派閥やソウカイヤの欺瞞作戦かとも疑われたが、こうも続々と手練れニンジャが殺されている以上、本物とするしかない。
他の派閥に気取られぬよう、見つけ次第破棄せよと命じてはあるが、人の口に戸は立てられぬ。彼らの派閥の者ばかりではなく、武人派や左遷された者も含まれ、無関係な者も殺されているならば、ザイバツ全体を仇敵としているとしか考えられぬ。「やはり、毒蛙めの……」「そうとも限らぬぞ」
数年前のあの作戦に参加し、生存している者。それらを調べ立てて顔写真まで用意したとなると、内部から情報が漏れたとしか思えぬ。誰か。少なくともニーズヘグやダークドメイン、ケイビインらは、ああ見えて然様なことをする者たちではない。ならばイグゾーションか、パラゴンか。
「だいたい、ギルドの内部情報を扱う部署と言えば……」「待て」スローハンドがパーガトリーの小声を制し、足を止めた。廊下前方に小柄なニンジャが立っている。「ドーモ。御機嫌よう、お二方」ロードの懐刀、パラゴン。「「ドーモ」」二人は貴族流に雅な、かつ無感情なアイサツを返した。
……三人は何事か言葉を交わしたのち、涼しい顔で別々の方向へ歩いて行く。キョート城は今も昔も派閥争い渦巻く伏魔殿である。ニンジャスレイヤーによる嵐のような連続殺忍事件も、彼らの政争の一環に過ぎぬのだ……。
【続く】
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