忍殺TRPGリプレイ【ネヴァー・セイ・グッバイ】02

　前回のあらすじ：ネオサイタマの西、霊峰フジサンの北麓、樹海。デッドリーパーたちは指揮官であるアシッドウルフに率いられ、ここに眠る遺跡から旧世紀データを回収する秘密任務に就いていた。だが、一行は目的地までもう少しというところで、暗黒メガコーポの武装調査部隊と遭遇し……。

◆

「さあ、移動するぞ！」アシッドウルフがサイバネ腕で力強くデッドリーパーを掴み、立ち上がらせる。「やっと起きたのか」「死んだかと思ったわ」少年ニンジャのアースハンド、少女ニンジャのサイバーメイヘム。チームの仲間たちはすでに立ち上がり、襲撃した部隊を迎え撃っていた。

　ヒュルルルル……KABOOOOM！すぐ近くで砲弾が爆発した。「迫撃砲だ。妙に精密だが、ドローンでも使ってるのか？」アースハンドが舌打ちした。密林の奥からはアサルトライフルを装備した企業戦士らがしつこく銃弾をばらまき、一行を足止めしている。高度に訓練され、統率された動きだ。

　ぶしゅううう……！迫撃砲が撃ち込んだのは、ただの砲弾ではなかった。スモーク弾だ！こちらの視界を遮り、呼吸を困難にさせる。相手は暗視機能や防毒マスク機能を持つサイバーフルフェイスヘルメットをかぶっている。「しゃがめ」「「「ハイ」」」敵兵士らは次々とこちらに向かってくる！

「士気が高いな。どこかに観測手と、指揮官がいるはず」アシッドウルフは呟いた。「おそらく企業ニンジャだ。俺がやる。貴様らは迫撃砲を排除したのち、機密データの抽出を最優先で行え」彼は自動でデータ抽出を行う特殊フロッピーディスクを懐から取り出し、アースハンドに託した。「ハイ」

　アシッドウルフは樹海の闇に駆け出す。三人は頷くと、銃弾と砲弾が来る方向へ走り出した。一触即発アトモスフィア！

状況

　黄色マスからスタートし、敵兵士（トルーパー/T）からの射撃や迫撃砲を回避しながら、誰か1人がマップの右端まで到達すればよい。マップは3つのレーン（進路）に分かれており、各レーン内のTたちは「自分と同じレーンの、最も近くにいる、射撃可能なPC」へ集中&射撃してくる。つまり別のレーンへは移動・射撃して来ない（してもよい）。ならば3人が1つのレーンを通ればいいが、毎ターンの終わりに迫撃砲による爆発（カトンLV1）が発生し、レーンを無視して最も多くのPCを巻き込む。足を止めているPCには迫撃砲と同じタイミングでスナイパースリケンが飛んでくる（ダメージ1、回避H）。樹木マスは遮蔽物となって射線を遮るのでうまく使おう。

◆メイライ・トルーパー/アシガル級（種別：モータル）
カラテ　　　　　　　２　　　　体力　　　　　　　　２
ニューロン　　　　　２　　　　精神力　　　　　　　２
ワザマエ　　　　　　４　　　　脚力　　　　　　　　３
ジツ　　　　　　　　－　　　　万札　　　　　　　　１

攻撃/射撃/機先/電脳　　２/　６/　２/　２

◇装備や特記事項
◆アサルトライフル：連射２、ダメージ１、バースト３×３（範囲内にマルチ可）
　◆ミハル・ドットサイト：出目６６で痛打＋１（バースト時不可）
　◆赤外線レーザーサイト：射撃＋１
◆テック・フルヘルム：体力と射撃＋１
◆軽量型パワードスーツ：脚力＋１

能力値合計：８

　元シナリオより少し強化し、体力2としました。暗黒メガコーポ「メイライ」の下級企業戦士で、実際足軽く攻め寄せてきます。

戦闘開始

1ターン目

イニシアチブ：アースハンド/EH（7）→サイバーメイヘム/CM（5）→デッドリーパー/DR（3）→メイライ・トルーパー/MT（2）

全員が真ん中のレーンを進む。EHは側転&カラテ、[32146][13232]攻撃失敗。CMは側転&カラテ、[63434][41124]攻撃失敗。DRは2マス前進して連射、[651][262]2発成功。MT1体を倒す。各々J10、I10、F12にいる。

「「イヤーッ！」」アースハンドとサイバーメイヘムが動く！茂みと低木の陰から敵兵士にアンブッシュだ！「うおっ！？」ガキィン！敵兵士、メイライ社のアシガル級トルーパーは、テック・フルヘルムと軽量型パワードスーツによって二人のニンジャの攻撃を躱す！スゴイ！「チッ、装備がいいな」

　だが完全に不意を突かれ、体勢を崩している！デッドリーパーは進み出て無慈悲に二挺拳銃を構えた。「TAKE THIS！」BLAMBLAM！「アバーッ！」ブルズアイ！メイライ・トルーパーは急所に銃弾を二発食らい、無力化されて倒れ伏した。周囲には煙や茂み、樹木があり、襲撃者の姿は見えぬはず。

一番奥のMTたちは動かないが、真ん中のMTは動くとする。南へ2マス動きDRへ連射！だが茂みの中ゆえ射撃難易度Hだ。[344][242]失敗。EHとCMへ迫撃砲、ダメージ1、回避N。9D6[451441444]回避、8D6[14326121]回避。

「社敵！」奥にいた敵兵が銃声を聞きつけ、茂みをかき分けてデッドリーパーへ射撃！BRTTTT！だが低木に遮られて命中せず！体の小さな彼女たちにとって、この密林はフーリンカザンだ。しかし！ヒュルルルル……KABOOOM！迫撃砲が的確にアースハンドとサイバーメイヘムを狙って着弾！アブナイ！

「「イヤーッ！」」二人はとっさに躱し、身を伏せる。めらめらと低木や茂み、樹木が燃え始める。このままではヤキトリだ。前進せねば！

2ターン目

EHは側転&スリケン、[14423][31221]失敗。P9へ移動。CMは側転&カラテ、[44213][62633]2成功&殺伐[2]頭部痛打、即死。O12へ移動。DRは二挺拳銃をホルスターにしまい（素手となり）側転、[42332]成功。J12へ移動。

「「「イヤーッ！」」」三人は樹木を蹴り渡り、ブッシュから飛び出し、側転しながら前進！「アバーッ！」奥の敵兵はアースハンドのスリケンを防ぐが、サイバーメイヘムのチョップで首を刎ねられ即死！サツバツ！「ウフ、いい感じ」サイバーメイヘムは愉悦の笑みを浮かべる。ニンジャは強い。

奥のMTのうち1人がEHへ集中&連射、[356][225]2発成功。もう1人もV12へ移動し連射、[621][425]2発成功。EHは[326266]回避！迫撃砲は1D6[1]DRへ。[1335635]回避！

「あそこだ！」「撃てーッ！」銃眼が設けられた設置盾の背後から、二人の敵兵がアースハンドへライフルを連射！BRTTTT！BRTTTT！「イヤーッ！」身を伏せて回避！ヒュルルルルル……KABOOOOM！迫撃砲弾がデッドリーパーのいるあたりに着弾、爆発！「イヤーッ！」側転回避！ワザマエ！

3ターン目

EHは側転&スリケン、[14662][31426]1成功。MT1体の残り体力1。V9に到達。CMは側転&カラテ、[25653][62433]1成功。MT1体を倒す。DRは側転、[23536]成功。次のシーンへ移る。万札3を獲得。

「「「イヤーッ！」」」三人は樹木を蹴り渡り、ブッシュから飛び出し、側転しながら前進！「アバーッ！」奥の敵兵はアースハンドのスリケンを食らい、サイバーメイヘムのチョップで首を刎ねられ即死！出遅れたデッドリーパーは後を追う。敵兵を一人射殺したが、急がねば置いていかれてしまう。

砲撃陣地

　KABOOOM！BRATATATA！BRATATATA！三人は銃弾と雨をかいくぐりながら樹海の混沌を走り抜ける。やがて設置盾の彼方、前方に、迫撃砲を備えるメガコーポの簡易敷設陣地が姿を見せた。「「アイエッ！？」」兵士たちは砲弾を取り落し、慌ててライフルの安全装置を解除するが、もう遅い！

MT×3。EHは進み出てカラテ、[51516]3成功。CMはカラテ、[61251]2成功。MT1体を倒す。DRは集中し連射2、[436][316]2発成功。MT1体を倒す。

「「イヤーッ！」」「アバーッ！」アースハンドとサイバーメイヘムが敵兵一人を殺す！「TAKE THIS！」BLAMBLAM！「アバーッ！」デッドリーパーが敵兵一人を射殺！「う、ウオオーッ！」残る一人は薬物によってかNRSも起こさず、アサルトライフルの銃口を向けた！BRTTTTTTTTTT！

2D6[63]SMとEHへバースト射撃。[434][232]1発成功。CMは[565516]回避。

「「イヤーッ！」」アースハンドとサイバーメイヘムは難なく銃弾を躱す。ニンジャにも銃弾は効くが、めったに当たらない。避けてしまうからだ。

EHは側転&カラテ、[22264][21333]失敗。CMは側転&カラテ、[41513][55343]2成功。DRは集中し連射2、[112][465]1発成功。MT全滅。万札3を獲得、現有共有万札6。

「「イヤーッ！」」「グワーッ！」二人のニンジャに飛びかかられ、敵兵は仰向けに倒れる！「TAKE THIS！」BLAMBLAM！「アバーッ！」デッドリーパーの二挺拳銃が火を噴き、彼をカイシャクした。まさに死神だ。

戦闘終了

「チッ、どうもカラテやスリケンが当たらないな」「鍛錬が足りないのよ」「僕はもともとハッカーだからな」アースハンドは懐に手を当て、フロッピーの無事を確かめる。サイバーメイヘムは迫撃砲を木人に見立ててカラテを叩き込み、スクラップに変えてしまった。「これでよし。先へ進みましょ」

　アシッドウルフの情報によると、苔や草木に覆われた丘陵地帯に位置する特定座標の周辺には、地下遺跡への入り口が複数存在している。この丘陵の正体は電子戦争時代に墜落した空中戦艦であるという。三人は遺跡の奥に辿り着き、フロッピーディスクを用いて重要データを回収せねばならない。

遺跡入口

イメジは元シナリオから。

　三人は入口を発見した。蔦を引きちぎり、苔を払い落とし、重々しい金属ハッチを引き開ける。その先には無数の配管が走る、酷く損壊した戦艦めいた金属製の通路が伸びており……意外なことに、朧気な照明があちこちで明滅し、火花を散らしていた。まだ電気系統が生きているのだ。「急ぐぞ」

　広大な遺跡をじっくり探索している暇はない。アシッドウルフからの断片的な情報とニンジャ第六感を駆使し、目的地の位置を突き止めねば。

ダンジョンアタック。各PCはイニシアチブ順に2D6を振り、出目と同じ数だけ「進行度」が加算され、出目に応じたイベントが発生する。戦闘が発生した場合、振ったPCの次の手番から行動開始し、戦闘終了時のイニシアチブから進行判定が再開する。進行度が30を突破したら次のシーンへ。

潜入

イメジは元シナリオから。

代表者は最初にD6+1で進行判定を行う。EHが振る。1D6[4]+1＝5。地雷。難易度Nの射撃判定で解除可能。難易度Hのワザマエ判定に成功すれば「バクチク・グレネード」を1個獲得するが、失敗すると回避不可のD3ダメージを受ける。普通に解除しよう。[555246]成功。

　アースハンドは慎重に通路を観察する。「……レーザー感知式の地雷が仕掛けられているな。メイライ社め、別の場所から先に侵入したか」彼は少し調べたのち、スリケンを投擲して起爆装置のみを破壊した。ワザマエ！「よし、先へ進もう」「ダイジョブかしらね」「僕を信用しろ」「あんまり」

CMは進行判定、2D6[61]＝7。現在進行度12。有線LANジャック。難易度Hのハッキング判定に成功すると、次の進行判定で発生するイベントを+1か-1することができるが、失敗すると精神力に1ダメージ。EHが挑む。8D6[13661445]成功。

　しばらく進むと、アースハンドが何かを見つけた。「今度は何？」「有線LANジャックだ。遺跡内のデータにアクセスできるかも」彼は生体LAN端子にケーブルを繋げ、ハッキングを行った。「ダイジョブかしら」「信用してあげなよ」……少しして、アースハンドは直結を解除する。「これでよし」

DRは進行判定、2D6[35]＝8。現在進行度20。高温の蒸気が吹き出すパイプ。難易度+1の連続側転に成功すると万札1、失敗すると体力-1。迂回すると何も起きないが、進行度は半分（4）しか蓄積しない。出目7はさっきの有線LANだ。出目9は…メイライ社の中間補給地点。全員の体力+2。アサルトライフルやチャカガンが手に入る。スリケンや二挺拳銃はあるが、せっかくだしアサルトライフルを人数分獲得。売ればカネになる。

　アースハンドは付近のマップを獲得し、メイライ社が築いていた中間補給地点を発見した。幸い、今は誰もいない。監視カメラのたぐいもない。「不用心だな。スシでもないか」「アサルトライフルがいっぱいあるわね。もらっときましょ」三人はそれぞれライフルを背負う。持っていて損はない。

EHは進行判定、2D6[44]＝8。現在進行度28。さっきのパイプだ。側転難易度Hで進むか、迂回するか。成功時のメリットにくらべ失敗時のデメリットが大きいので迂回しよう。進行度24。CMは進行判定、2D6[11]＝2。進行度26。行き止まり。別の道を探す。DRは進行判定、2D6[62]＝8。進行度34、例のパイプ。迂回しても進行度30に到達する。

　……三人はさらに奥へ進む。破裂したパイプから高温の蒸気が漏れ出し、巻き込まれたメイライ・トルーパーの死体が転がっている。「危険だな。迂回しよう」「ええ」別の道をしばらく進むと、行き止まりに突き当たった。「あの道を通るしかないの？」「こっちに脇道があるようだ」「OK」

コンソールルーム前

　幸い、あのパイプのせいかメイライ・トルーパーに遭遇することはなかった。三人はついに遺跡の最奥部、コンソールルームに辿り着いた。無数の旧世紀UNIXが並んでおり、ある種のロービット・マイン……UNIX鉱脈とも言えるだろう。持ち帰ることができれば莫大なカネになる。だが、先客がいた。

イメジは元シナリオから。

　ミリタリー装甲装束を纏った二人のニンジャが、大型UNIXコンソールの前に陣取っている。メイライ・トルーパーとメディック（衛生兵）も数名。彼らはすでにデータの抜き取りを開始しているようだ。「どうする。抜き取りが終わってからアンブッシュかけて奪う？」「……今、やるしかないな」

　三人は顔を見合わせ、頷く。アンブッシュをかけてモータルたちを殺し、ニンジャたちをコンソールから引き剥がし、フロッピーをUNIXに挿入して、少しでもデータを抜き出す。それしかない。ニンジャの数ならこちらが有利だ！「なるべく死ぬなよ」「そっちこそ」「……行くよ」突入！

戦闘開始

【続く】

◆