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忍殺TRPGリプレイ【パッション・イズ・リメンバー】05

 前回のあらすじ:アンダーガイオンで開催される闇の地下格闘大会「シャドー・コン」。ニンジャスレイヤーは正体を隠して潜入し、見事優勝する。彼の目的は、主催者であるザイバツ大幹部サラマンダーを殺すことだ!だがサラマンダーの凄まじいカラテの前に、ニンジャスレイヤーは倒れた!

「よいかフジキド。いかに敵のワザが多彩で圧倒的であろうと、揺らがぬカラテがオヌシに満ちておれば……チャドー。フーリンカザン。そして、チャドー」「チャドー。フーリンカザン。そしてチャドー」「チャドー」「……チャドー」「……ド」「……キド」「……ジキド」

「フジキド!」

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 その悲鳴は一人の女が発した声であった。ニンジャスレイヤーは立ち上がった。ドラゴン・ゲンドーソーのファンダメンタル・インストラクションの記憶が、まるで乾いた土に雨水が落ちたように、ニンジャスレイヤーのニューロンに染み渡った。「フジキド!」「ユカノ!」彼は立ち上がった。

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「スゥーッ……ハァーッ!スゥーッ……ハァーッ!」ニンジャスレイヤーが深く呼吸するたび、負傷はみるみる癒えていく。カラテがみなぎり、滾る。その両目にはセンコめいた赤い炎が灯る!

「フジキドーッ!」ユカノは泣き叫んだ。バンシーが彼女を後ろ手に組み伏せる。「娘ッ!騒ぐでない。オヤブンの神聖なイクサである!」「フジキドーッ!」「ワオオオオーッ!」アリーナ外の観衆の声が堰を切ったように流れ込んで来た。「そうだ!チャドー!来い!ニンジャスレイヤー=サン!」

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戦闘再開

5ターン目

SMは[32262151126324][625424][223112][35546]2成功&痛打、3成功&痛打。回避H!NSは[51432][5545]回避!残り回避ダイス10!

「イヤーッ!」サラマンダーが仕掛ける!痛烈なカラテ、だが甘い!これも誘いだ!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは最小限の動きで回避!

NSは精神力2を消費し(残り15)大型ブラスナックル生成、火炎ダメージ+3!連続側転&連続攻撃4、[666625121363][5555][4633][2265][21565]4成功&殺伐[4]脚部破壊、1成功、2成功、3成功&殺伐[3]急所破壊。回避H!SMはアドレナリン・ブーストし(残り精神力10)[156][344][444][546]回避し迎撃!NSは…あえて受ける!残り体力32!回避ダイス11!SMの回避ダイスは17+1-12=6!

「ニンジャ!殺すべし!」ニンジャスレイヤーの両腕に黒い炎が燃え上がる!「反則とは言うまいな!イヤーッ!」凄まじい威力のカラテ連打!どくん。サラマンダーはニンジャアドレナリンを過剰分泌し、ジュー・ジツの構えでこれを……「イヤーッ!」回避し迎撃!KRASH!「ヌウーッ!」命中!

「反則とは言わん。貴様の優勝は決定しておるからな。これは余興よ」サラマンダーはギラギラと目を輝かせた。「さっきの迎撃は、わざと受けたか。しかしその炎はラーニングできんなァ」サラマンダーは両腕を広げ、さらに目を輝かせる。「俺の炎を食らうがいい!サラマンダーの炎を!」

SMは戦闘系ソウルの力を発動(残り精神力9)、即応ダイス6をつぎ込み全力攻撃![62111436663614][56632251][26456131][35321431]4成功&殺伐[5]両腕破壊、3成功&殺伐[2]頭部痛打、1成功。回避H!NSは緊急回避ダイス4を消費し[43624][25442][32261]回避!残り緊急回避ダイス4!

 サラマンダーが燃える炎と化し、ニンジャスレイヤーの懐へ飛び込む!「イイイヤァアアアーーーッ!」BOOMBOOMBOOM!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは紙一重で猛攻をブリッジ回避!全て躱しきった!

NSは大型ブラスナックル維持(残り精神力13)、集中して[2341][1616][4423][12426]2成功、2成功&殺伐[1]弾き飛ばし、2成功、2成功。SMは緊急回避ダイス3を消費し[31][45][45][226]1発命中!5ダメージを受け残り体力13!

「イイイ……イイイヤァアアアーーーッ!」ニンジャスレイヤーは足を止めて猛攻!サラマンダーは捌く!捌く!捌く!KRAASH!「グワーッ!」捌き切れず命中!鉄拳が筋肉をえぐり、黒い炎がまとわりつく!「記憶せよ!」ニンジャスレイヤーは怒りに燃える!「モータルの怒りを!思い知れ!」

6ターン目

SMは[65551355634155][346444][534311][46213]1成功3発、2発痛打。NSは[165][621][631]回避&迎撃!SMは[16]回避!SMの残り回避ダイス16!

 サラマンダーは牙をむくドラゴンめいて嘲笑う!「ああ記憶してやるぞ!モータルだろうとニンジャだろうと、全て俺のカラテの糧だ!喰らい尽くしてくれるわ!イヤーッ!」飛びかかるサラマンダー!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはブレイクダンス回避し迎撃のキック!「イヤーッ!」回避!

NSは大型ブラスナックル維持(残り精神力11)、[415256344664][2541][5143][1614][44113]1成功3発。SMは[566][322][433]2発命中!10ダメージを受け残り体力3!サマーソルトキック!ダメージ1D6[6]割って3、回避UH2!NSは[224]命中!残り体力29、ニューロン8、ワザマエ10に減少!残り回避ダイス17-9+1-3=6!緊急回避ダイス4!SMの回避ダイス7!

 ニンジャスレイヤーは怒りを燃え上がらせる!「イイイ……イイイヤァアアアーーーッ!」KRAASH!「グワ……アバーッ!」命中!サラマンダーの全身を、黒い炎が包み込む!ニンジャに殺されたモータルたちの、恨みと憎悪の炎が!ナラクの炎が!「なるほど……だいたい……わかった!」「!」

 サラマンダーは瀕死の重傷を負いながら、なおも笑う!あたかも炎の中にあって燃え尽きぬ伝説のドラゴンのごとくに!「イイイヤァアアアーーーッ!」黒い炎を纏ったままサマーソルトキックだ!ニンジャスレイヤーは防御態勢を取るが……間に合わない!KRAASH!「グゥワーッ!」ゴウランガ!

「お……オヤブン!サラマンダーのオヤブンーッ!」バンシーは泣きわめく!「ハハハ!ゆけい泣き虫!ドラゴン・ユカノを連れて逃げろ!」サラマンダーは哄笑し、死を覚悟する!否、目の前の一人を倒せばそれでよい!「「イイイヤァアアアーーーッ!」」極限のカラテが激突!

SMは戦闘系ソウルの力を発動(残り精神力8)、[35416434216424][236563][3412553][113625]3成功&痛打&殺伐[2]頭部痛打、2成功、2成功&痛打。NSは緊急回避ダイス4を消費し[16526][52][132]1発命中!2ダメージを受け残り体力27!

 サラマンダーの目が輝き、チョップ突きが閃く!狙うはニンジャスレイヤーの頭部!KRASH!「……グワーッ!」ニンジャスレイヤーは鋼鉄のメンポで防ぎ、致命的な眼球破壊攻撃を逸した!彼の両目が爛々と輝き、メンポが牙めいて変形する!『「ニンジャ!コロスベシ!』」何者かの声が重なる!

NSは大型ブラスナックル維持、集中して即応ダイス5をつぎ込み[414112][615316][25114][54556]2成功、3成功&殺伐[5]脚部破壊、2成功、5成功&殺伐[6]即死!

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは両腕に黒い炎を纏わせ、カラテの基本ムーブであるチョップを連打する!チョップ!チョップ!チョップあるのみ!あたかも禍々しい千手観音のごとく、彼の周囲に無数のチョップが同時に出現!「イーヤヤヤヤヤヤヤヤヤ!!!」

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「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」サラマンダーはこれに対応し、同じく無数のチョップを放って捌く!捌く!捌く!捌く捌く捌く捌く!だがあまりにもハヤイ!彼のニューロンに刻み込まれたワザマエのライブラリーが高速で検索され、この窮地を抜け出す手段を狂おしく探し求める。

SMは回避ダイス8、[23][53][43][66]2発命中!10ダメージを受け残り体力-7、昏倒!

 だが!チョップが!ハヤイ!「イヤーッ!」「グワーッ!」ただのチョップ!基本の中の基本のカラテが!「イヤーッ!」ハヤイ!「グワーッ!」チョップにチョップを重ねるニンジャスレイヤーは今やチョップという概念存在そのものであり、ただ一筋のチャドーの炎の軌跡であった!

 ニンジャスレイヤーはチョップであり、チョップがニンジャスレイヤーだ!「イヤーッ!」ハヤイ!「グワーッ!」「イヤーッ!」ハヤイ!「グワーッ!」「イヤーッ!」ハヤイ!「グワーッ!」「イヤーッ!」ハヤイ!「グワーッ!」「イヤーッ!」ハヤイ!「グワーッ!」「イヤーッ!」

 KRAAAAASH!「……アバーッ!」ナムアミダブツ!ついに……ついにサラマンダーは膝をついた!ワザマエによらぬ圧倒的なカラテが、真正面から彼を打ち倒したのだ!その肩は鎖骨が割れ、斜めに裂けて、縦の傷が胸まで達せんばかりであった。サラマンダーは死力を振り絞り、見上げた。

 赤黒く燃える右手を天高くかざすニンジャスレイヤーがサラマンダーを見下ろし、仁王立ちしていた。今やチョップの嵐は去り、そこにいるのは最後の一撃を打ち下ろす鉄槌と化したニンジャスレイヤーであった。そして、敗れたサラマンダー。この瞬間、二者は無言の会話をかわした。

(……サラバ。ニンジャスレイヤー=サン)サラマンダーは最後の力で、迎え入れるように、両手を広げた。「……イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは灼熱の一撃を打ち下ろした。カイシャク!「サヨナラ!」KABOOOOOOM!サラマンダーは爆発四散した!

戦闘終了

エピローグ

「ワオオオオオーッ!」「アバッ!?ア、アッバーッ!?」「アババババーッ!」「アアアーッ!ニンジャ!ニンジャーッ!」おお、ナムサン!その時だ!サラマンダーが死を迎えたその瞬間、薬物とカラテとNRSの過剰摂取に晒され続けた観衆達は、ニューロンの耐久限界を超えた!

「アーイイー!」「ニンジャー!」「ニンジャダモノー!」「アバババババーッ!」口々に叫び、あるいは失禁、あるいは嘔吐、あるいは吐血しながら、アンダーグラウンド・カルチャーの享受者達は互いに殴り合い、噛みつきあい、獣めいて吠えたけった。コワイ!なんたるマッポーの現出!

「ニンジャ!」「ニンジャだッ!」「アリーナニンジャ!」「ドヒョーニンジャ!」「ウッハッハッハッハッ、ニンジャ!」貴賤老若男女かかわらず幽鬼めいた暴徒と化した群衆はドヒョー・リングを指差す。「ニンジャ!ニンジャ!」「ウッハッハッハッハッ、ニンジャ!」そして一斉に雪崩れ込む!

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「チィー!なんだ、くそ、これは!」涙を拭い、バンシーが観客席を睨み渡した。押し寄せる者どもを!「マッポーカリプス……」ストレッチャー上のミラーシェードは呆然と呟く。「フジキド!」ユカノが叫んだ。エリートスモトリがガッチリと彼女を捕まえ、拘束している。「ユカノ!」

 ニンジャスレイヤーは駆け寄ろうとするが、既にドヒョーの上にまで群衆は達しようとしていた。「に、ニンジャスレイヤー=サン!」人に呑まれながら、モミジが声をからして叫んだ。「ニンジャスレイヤー=サン!俺は!俺は絶対に忘れねえ!お前の恩を!絶対に!」モミジは人波に消えた!

「貴様らクズどもーッ!イヤーッ!」バンシーが両手のサイバネ機構をかざし、暴徒たちを音響攻撃のジツで薙ぎ払う!「「「アバババーーッ!」」」ニンジャスレイヤーは群衆を掻き分け、頭上に飛び乗り連続側転!ユカノへ追いつかんとす!「イイイヤァアアアーーーッ!」ハッソー・ビート!

 だが……その時!「Wasshoi!」二階席から何者かが跳躍!群衆の波を円形に斬り裂き、カタナでニンジャスレイヤーの動きを止める!彼はアイサツを繰り出した!「ドーモ、お久しぶりです。ダークニンジャです」

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「ドーモ、ダークニンジャ=サン。ニンジャスレイヤーです」アイサツを返す。「トコロザワ・ピラーで死んだと思っていたが、生きていたか」「そちらこそ。今はソウカイヤを離れ、ザイバツに仕えている。ドラゴン・ユカノは渡さぬぞ」「節操のないことだ」両者はカラテを拮抗させ動かない!

 ダークニンジャの手には、修復されし妖刀ベッピン。その腕には、三神器のひとつ「聖なるブレーサー」が装着されている。対するニンジャスレイヤーはサラマンダーとのイクサで負傷し、チャドーやナラクの力はあるが完全ではない。「フジキド!逃げ……!」ユカノの叫びは騒音にかき消される。

「ンンーッ!」ユカノはバンブー猿轡を銜えさせられ連れて行かれる。本来の彼女のカラテならば、相手がエリートスモトリといえど、モータルごときの拘束をはねのけることは可能なはず。しかし彼女の両手足には特殊なバンブー拘束具がはめられており、これがカラテを封じているのだ!

 瞬間、ニンジャスレイヤーとダークニンジャが動いた!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」さらにサラマンダー配下のニンジャたちが駆けつけ、ニンジャスレイヤーに立ち向かう!「オヤブンの仇ーッ!」

 ……やがて、アンダーテンプルは炎に包まれ、崩れ去った。暴徒と化した観客たちは狂乱の中で死に、あるいは逃げ散る。ニンジャスレイヤーは数名のニンジャを殺戮した末、包囲を脱出し、追撃を振り切り、アンダーガイオンへ潜んだ。サラマンダーは殺したが、ユカノは取り返せなかった。

 彼の行ったことは無駄か?否。サラマンダーを殺した。ザイバツ・シャドーギルドの大幹部を討ち取り、宣戦布告を行った。ユカノは、ザイバツの本拠地に連れ去られたと見てよかろう。彼女の唇の動きから……おそらくは、キョート城へ。ナンシーやフェイスフル、バンブーエルフらもいるはず。

 では、このままキョート城へ潜入し、彼女たちを救出するか?……可能だが、困難。サラマンダーに匹敵する強大なニンジャたちがひしめく中へ単身で突入し、ロード・オブ・ザイバツを殺すのは……現時点では、難しいと言わざるをえない。トコロザワ・ピラーでの敗北は、彼を慎重にさせた。

 ならば、どうするか。まずは今回のようにグランドマスターを一人ずつ殺し続け、キョート城を手薄にする。ザイバツニンジャたちに恐怖を植え付ける。そのためには……一般市民に擬装したニンジャスレイヤーは、考えながらアンダーガイオンをフラフラと歩き続け、やがて……倒れた。

 そこへ、大きな人影が通りかかった。人影は足を止め、浮浪者じみた彼に声をかける。「オイオイオイ……どこの惑星から来たんだ?」

【パッション・イズ・リメンバー】終わり

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