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忍殺TRPGリプレイ小説【エスケープ・トゥ・グローリー】

邦題:栄光への脱出(Escape to glory)

これは、公式のニンジャスレイヤーTRPGシナリオ「バーグラー殺人事件」を元にしたリプレイ小説です。つのが一人でやりました。一応ネタバレにご注意下さい。

準備

さて、このシナリオは「ソウカイニンジャとして3〜4シナリオ程度の経験を積んだPC2〜4人によるプレイ」を想定していますが、つのバースではこの時点でチーム・ヒップはソニックブームと共に温泉→オキナワ研修旅行中ですし、チームBMはツチノコ・ストリート住まいですがバーグラーの件には関与していません(スカウト部門でもありませんし)。他の駆け出しニンジャたちも関わっていないとなると……新たなニンジャを作ることになりますね。こんなこともあろうかと、つのはninja_factのアレで新たなニンジャを作り置きしてあります。それを成長させてみましょう。

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◆ランタンシャーク(種別:ニンジャ)
カラテ       3>5  体力        5>7
ニューロン     2>3  精神力       2>3
ワザマエ      6    脚力        3
ジツ        3    万札        0
DKK       0    名声        3

◇装備や特記事項
☆サメ・ニンジャクラン:ジツ値3
 ☆ドトン・ジツLv1::土中を脚力の倍速で移動、直後の近接攻撃難易度-1
 ●噛みつき攻撃:特殊近接武器、基礎攻撃難易度HARD、ダメージ2
 ●頑強なる肉体:体力+2
○生い立ち:拷問好き
 ◎邪悪なサディスト:拷問・脅迫判定難易度-1、サツバツで敵を殺すと精神力1回復
◆カタナ

能力値合計:17>20 回避ダイス:6
イメジはPicrewの「ツラの悪い男」で作りました。

名前はニンジャカラスザメの属するカラスザメ属の英名lanternsharkからです。中米産の黒いサメですが、さほど大きな種ではありません。略称LSだとランドシャーク=サンと被るためLtSとします。

サメ・ニンジャクランのサマリーについては、下の記事を参照しました。

駆け出しにしてはなかなか強力ですが、単独では囲んでボーで叩かれれば死んでしまいます。相棒をつけてあげましょう。

死亡フラグが立ち過ぎていますが、まあいいでしょう。こんなのでも数シナリオは生き延びたのですから、カラテを2、ワザマエを1上げ、生体LAN端子も入れておきます。そこそこ使えなければ、ソニックブーム=サンがヤバい現場に出したりはしないと思いますし。

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◆マーシレスフィンガー(種別:ニンジャ)
カラテ       3    体力        3
ニューロン     3    精神力       3
ワザマエ      3    脚力        3
ジツ        0    万札        0
DKK       0    名声        3

◇装備や特記事項
▶ヒキャク:脚力と回避ダイス+1
▶生体LAN端子:ニューロン判定ダイス+2、イニシアチブ+1
○生い立ち:拷問好き
 ◎邪悪なサディスト:拷問・脅迫判定難易度-1、サツバツで敵を殺すと精神力1回復
◆オーガニックスシ:体力3回復(使い捨て)

能力値合計:9 サイバネ数:2 回避ダイス:4 ハッキングダイス:5
イメジはPicrewの「お隣男子メーカー」で作り置きしたものです。

略称はMFです。あまり強くありませんが、サポート役にはなるでしょう。二人とも拷問好きな邪悪ニンジャです。

ではリプレイを通じて、彼らの生き様を見届けてやりましょう。

◇🎲◇

ダンゴウ

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ネオサイタマ、ツチノコ・ストリート。重金属酸性雨が降り続く、蒸し暑い夜。とある雑居ビルの一室。

「クソ暑ィな……冷房壊れてンじゃねーか?」「動いてるね。ボロくてあまり効かないね」「ケ、ボロ事務所が」二人の若い男が、ソファとUNIXの前でだらけている。灰皿の乗ったクリスタルテーブルやカケジクのショドーは、ここがヤクザの事務所であることをアッピールしている。元は、だが。

彼らはソウカイ・シンジケートの末端ニンジャ、ランタンシャークマーシレスフィンガーだ。数日前にヤクザクランの事務所を襲撃するミッションを受け、皆殺しにしたばかりだ。報酬としてこの事務所をアジトとし、周辺のヤクザクランにらみをきかせ、ミカジメを集める業務を授かった。

「ミカジメの9割以上は抜かれちまうし、金欠なのは変わらねえな。ヤクザやモータルをブッ殺してカネを奪うのも、やりすぎると叱られるしよォー」黒髪の男、ランタンシャークがソファで愚痴る。「ソウカイヤの幹部連中は今オンセンだかオキナワだかだろ? オニの居ぬ間に一狩り行こうぜ」

「うるさいね。あなたも仕事するね。報告書溜まってるね」白髪の男、マーシレスフィンガーはUNIXを操作し、慣れない会計計算を行う。こういう細々しいことまで自分でやらねばならないなら、ヤクザを皆殺しにせず数人は生かしておいて、そいつらにやらせるべきだった。後悔先に立たず、だ。

その時。BBBB……クリスタルテーブルに投げ出されていたランタンシャークのIRC端末が振動して、ソウカイ紋を光らせる。ソウカイヤからの通知だ。ランタンシャークは慌ててひっつかむ。「ハイ、モシモシ。ランタンシャークです」『ドーモ、ソニックブームです』「アイエッ!ドーモ!」

マーシレスフィンガーも振り向き、アイサツした。彼らにとって直属の上司であり、スカウト部門筆頭であり、新たにシックスゲイツとなった恐ろしいニンジャだ。『テメエら、俺様がいねえからってノルマをサボってんじゃねえだろうな、エエッ?』「アッハイ、い、イエ!きちんとやってます!」

彼は今オキナワだが、職務から解放されたわけではない。現地では中堅ニンジャ相手の研修があり、ネオサイタマの現状も逐一IRCで通知されている。そんな彼が、この下っ端コンビになんの用であろう。『……笑い事じゃねえぞ。いつまでもヘラヘラしていられると思ったら、大間違いだからな』

すっ、とソニックブームの声のトーンが変わった。『インパルスの野郎が殺られた。あのガキ、調子に乗って単独で動くからだ……』「「えっ」」二人は驚く。インパルスは彼らと同等の地位にある若いホストニンジャで、多少の面識があった。直情的で激昂しやすいが、割と強力なジツの使い手だ。

ソニックブームは野心と情熱のある若者を好む。オニイサンとしてそうした若者を教育し、使えるヤクザに育てるのが、彼の仕事であり、趣味であり、生きがいなのだ。インパルスは目をかけられていた。出世のライバルが消えた、と言ってもいいが、まさか口に出すわけにはいかない。

『それと、集金部門のバーグラーがツチノコ・ストリートで消息を絶った。あいつは以前から胡散くせえ野郎だったが……殺られたとなりゃあ捨て置けねえな。いずれにせよ、俺様たちソウカイヤ主力がネオサイタマを離れてることに付け込み、ハデに動いてる奴がいるのは間違いねえ』

急拡大を続けてきたソウカイ・シンジケートには敵が多い。特にキョートのニンジャ組織「ザイバツ」と、ニンジャを殺すニンジャ「ニンジャスレイヤー」だ。だがザイバツとは休戦協定を結び、ニンジャスレイヤーはバンザイ・ニュークによって葬られたという。では、一体誰が?

『さァてテメエら、これを聞いてどう思うんだ?』ソニックブームの問いかけに、二人のニンジャは顔を見合わせ、うなずく。そして低い声で答えた。「仲間ァ殺(バラ)されて、黙ってるわけにゃいかんでしょ」「草の根分けて犯人探し出して、ブッ殺しますね」『よし。それがミッションだ』

クックッ、と低く笑い、ソニックブームは続ける。『こいつは俺様のニンジャ第六感だが……この2つの事件には何かウラがある。IRCでデータを送っておくぜ。両方の現場をきっちり調べて、足りねえ頭で考えて報告しろ。その上で犯人を見つけ出し、きっちりオトシマエをつけさせろ!』

「「ハイヨロコンデー!」」

かくして、二人の下っ端ニンジャはソニックブームの命を受け、インパルスとバーグラーの殺害現場を探索することになった。まずは今いるツチノコ・ストリートからだ。「報酬が出たら、エアコンを買い直すね」「貧乏くせえな。もっとデケえアジトに移るとか言えや」「うるさいね」

現場1:ツチノコ・ストリートのヤクザ事務所

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ソニックブームから送信された情報をもとに、二人は雑居ビルに存在するヤクザクランの事務所へ向かった。クラン名は「キルエレファント」。ソウカイヤの下部組織であり、バーグラーが集金を行っていたヤクザクランのひとつである。ここでバーグラーのバイタルサインが消えた、というのだ。

このヤクザクランによってバーグラーが消された……とは、考えにくい。歴史こそ古いが、かなり前からオヤブンが不在で、グレーターヤクザのタク・ヤマヒロが数名のレッサーヤクザを率いて切り盛りしていた程度の零細クランに過ぎない。ヤマヒロはバーグラーと同じ頃、行方不明になっている。

現場にはまだマッポが入っていない。ビルオーナーに対してソウカイヤが打診し、一切手を触れていないのだ。鍵はかかっていない。「「オジャマシマス」」ドアを開けると、血のにおい。事務所内にはレッサーヤクザのものと思しき新鮮な死体が2つ転がり、ガラス窓が割れて風雨が吹き込んでいる。

窓ガラスは外から割られたと思われるが、それがバーグラーによるものか、何らかの介入者によるものかは解らない。部屋の隅にはバーグラーのものと思しき爆発四散痕がある。事務所のUNIXは破壊されているが、残った部分からハッキングは可能そうだ。「さて、まずは調べるね」「おうよ」

LtSはワザマエ、MFはハッキングで難易度HARD判定。6D6と5D6で[224566][25664]=ともに成功、かつ出目6を2つ含む。重要な手がかり2つゲット。

ランタンシャークは水色の瞳を光らせ、ニンジャ視力で周囲を注意深く観察した。ヤマヒロの手下と思しきレッサーヤクザたちの死体は、手にチャカ・ガンを握ったまま首を飛ばされて死んでいる。首を飛ばしたのは刃物ではなく、明らかにカラテだ。バーグラー得意の足技で首を刎ねられたのだろう。

チャカ・ガンから放たれた弾痕と思しきものが、天井や壁に残っている。それとは別に、棚が乱れ、チャワンやフクスケなどが床に落ちて割れている。争った形跡だ。バーグラー、またはヤマヒロ、あるいは……もしいるとすれば、何らかの「介入者」が、この棚に叩きつけられたのだろう。

「クン、クン……」ランタンシャークは鼻をひくつかせ、口を開いて呼吸し室内のにおいを嗅ぐ。彼の鋭敏なニンジャ感覚は、血や鉛玉や硝煙のにおいを嗅ぎ分ける。「……なンか、酒とションベンのにおいもするな。ヤクザのションベンか?」やがて、不審なものを発見した。重金属弾の痕だ。

バーグラーの爆発四散痕の壁や床に多数の弾痕がある。大量に散らばる薬莢も、チャカ・ガンとは明らかに異なる。つまりヤマヒロか介入者が、これでバーグラーを殺したということか。ニンジャといえど大量の銃弾を撃ち込まれれば死ぬ。しかし、ただのヤクザに可能なのか?二人は顔を見合わせる。

難易度HARDでニューロン判定を行い、推理することができる。LtSはニューロン3なのでMFが引き継いで判定。5D6、[12466]=成功。

「なァ、これをどう思う」「ンー、ニンジャが回避しきれないほどの銃弾となると、ただのマシンガンでもないね。軍用ミニガンとかね。もしくは……LAN直結型のオートマチック・ヤクザガンの一斉掃射ね。手練のデッカーが数人はいるね」「重サイバネのモータルか、あるいはニンジャか」

ミニガンが室内に仕掛けられていたようでもない。ヨージンボを雇って気が大きくなり、衝動的にソウカイヤに楯突き、後悔して逃げたか。あるいは、ヤマヒロがニンジャになったか。「ハッキング完了。それらしい情報があったね。帳簿は空っぽ。ヤマヒロが全部引き出したね」

帳簿情報を見る限り、資金繰りはそこまで悪化していたわけではない。ミカジメ滞納の気配も、ヨージンボを雇ったり高価な武器を購入したりした形跡もない。計画的な夜逃げではなく、何らかの理由で突発的に失踪したのだ。「次はIRCネットワークの検索ログを洗うね。エート……ヤクザ+天狗?」

「天狗って、あの鼻の長いフェアリーか」「ヤクザ、天狗。なんか聞いたことあるね。ちょっとソウカイネットで検索してみるね」IRC端末を操作し、「ヤクザ」「天狗」で検索する。「天狗面をつけてジェットパックを背負ったニンジャハンター。武器は銃。重サイバネのモータルらしいね」

「ふん、辻褄が合って来たな。バーグラー=サンはそいつに殺されたってわけか?」「ここ数ヶ月出現してないから、死んだか都市伝説とみなされてたね。ソウカイヤの敵。捕まえるか殺せば、ラオモト=サンからインセンティブ重点」「ハッ!俄然やる気が湧いてきたぜ!」

この場所で得られる情報はこれぐらいだろう。二人はツチノコ・ストリートを離れ、インパルスの殺害現場へ向かうことにした。

現場2:ウナギ・ディストリクト路地裏

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ソニックブームから送信されたインパルスのバイタルサインログをもとに、二人はウナギ・ディストリクトの路地裏へと向かった。人混みを避け、ビルを飛び渡り、ヤクザパブやギャングクラブなどが並ぶ繁華街の奥へと進む。

「ここね」「おう」ジャンクまみれの薄暗い路地裏に降り立ち、しばらく歩くと、グラフィティまみれの壁に人型の焦げ跡が刻み付けられていた。ニンジャの爆発四散痕だ。インパルスのバイタルサインが途絶えたのはここで間違いないだろう。「ナムアミダブツ、ね」「さて、調べるか」

LtSはワザマエ、MFは監視カメラのハッキングで難易度HARD判定。6D6と5D6で[233345][44462]=ともに通常成功。

ランタンシャークは水色の目を輝かせ、ニンジャ視力で壁を観察する。焦げ跡の付近の壁やアスファルトは拳の形に凹んでおり、強力なカラテが叩き込まれたことを伺わせる。「ふん、それなりのカラテだな。ま、俺の方が強いだろうが……」さらに壁を観察すると、いくつか別の焦げ跡も見つかった。

対面の壁に点々と刻まれた丸い黒焦げの跡は、おそらくインパルスのデン・スリケンの跡だ。そしてインパルスの焦げ跡の周囲に、別の……広範囲を焼き尽くすような焦げ跡。ニンジャがニンジャ相手に使ったならカトン・ジツのたぐいだろう。ここでニンジャ同士の戦闘があったことは疑いない。

「てことは、インパルス=サンを殺ったのはヤクザ天狗じゃねえのかなァ。そっちはどうだ」「監視カメラのログに、インパルス=サンが映ってたね」映像を確認する。ヤクザスーツを着たインパルスと、別の二人が路地裏に入っていく。しばらくして、インパルスを除く二人だけが出てきた。

「つまり、この二人が犯人か」彼らは若く、成金じみたストリートファッションに身を包んでいる。顔にはメンポ。ニンジャ二人がかりで囲んで殴られれば、ニュービーニンジャなら死ぬだろう。「ソウカイヤに属してない、なりたての野良ニンジャね。たぶんスカウトしようとして、返り討ち」

「へっ、単独で動くからだ。しかし、ヤクザ天狗やヤマヒロとは別に繋がらねぇな。こいつらがヤマヒロや元レッサーヤクザとも思えねえ」「どのみち捨て置けないね。目立つ格好してるから、ソウカイネットで検索したり聞き込みすればわかるね」「うし。そのへんの浮浪者でもインタビューするか」

掴んだ情報:評価
 「武者鎧を着て逃げたヤマヒロ」と「武装リムジン」:A+
 上記の核心情報のどちらか片方のみ:A
 核心情報は得ていないが各現場で少なくとも1回以上成功:B
 それ以外:C
成功はしたが核心情報を得られなかったため評価はB

二人はしばらく聞き込みを行ったが、めぼしい情報はない。「どうするね。このまま見つけられませんでした、じゃあケジメ案件ね」「どっちかでも解決しねえとな……ン」BBBBB……ランタンシャークの携帯IRC端末に通知が入った。ソウカイヤからだ。「ハイ、モシモシ。ランタンシャークです」

『ドーモ、ダイダロスです。今、ソウカイヤ傘下の銀行が遠隔ハッキングを受けています。犯人のIP情報を抜いたところ、あなた方が一番近くにいたので呼びました。至急サスマタ・ストリートのケンリュウ・ハッカードージョーへ向かい、犯人を確保して下さい』「ハ、ハイ、ヨロコンデー!」

突然の別ミッションだが、断るわけにもいかない。二人は送信された情報を確認し、急いでサスマタ・ストリートへ向かった!

現場3:サスマタ・ストリート

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「エート、ケンリュウ・ハッカードージョーって、アレか?」「なんか煙吹いてるね。火事ね?」二人が雑居ビル前に駆けつけると、道着を着たハッカーらしき連中が数人おり、叫んだり走ったり、路上に這いつくばって息を調えたりしている。「アイエエエ!」「タスケテ!ニンジャだ!」

彼らは口々に「ニンジャ」と叫んでいる。まさか。ランタンシャークはハッカーのひとりの首根っこを掴んだ。「おい、テメエ」「アイエエ!逃してください!」「今ニンジャっつったな?」「こいつらね?」二人がインパルスを殺したらしき二人組の映像を見せると、ハッカーは震えながら頷く。

「こ、こいつらです!私たちのハッカードージョーにやってきて、ハッカーを脅して、ハッキングさせてます!」「よし」大アタリだ。雑居ビルの前には武装ヤクザリムジンが停車しており、ストリートギャングじみた音楽が漏れ出している。おそらく二人組のニンジャがヤクザを襲って奪ったのだ。

二階からは凄まじい悲鳴や絶叫。ニンジャが暴虐を行っているに違いない。「じゃ、行っていいぜ」「アイエエエ!」ハッカーは脱兎の如く逃げ出す。「モタモタしている暇ないね」「イキがってるガキどもを教育してやらねえとなァ。イヤーッ!」二人は雑居ビルへ向かい、階段を駆け上がる!

ケンリュウ・ハッカードージョー

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PM08:09:03

『助けてくれ……』CLAAAAASH!『ザッケンナコラーッ!』BLAM!BLAMBLAMBLAM!2階では何者かが銃を乱射している!インパルスを殺したニンジャたちか?それとも?「急げ!何かヤバいぜ!」

階段を駆け上がると、セキュリティドアは破壊され、受付のハッカーは壁に叩きつけられて血の染みに変わっている。広いタタミ部屋に踏み込むと、既に死屍累々の有様だ。大勢のハッカーがカラテを受け、ニューロンを焼き切られ、あるいは火だるまとなって死んでいる。その奥では!

「……すると塵が舞い上がり、ブヨの大群が人と家畜を襲い、ニンジャはファラオの鳩尾を五度殴った」ゴウランガ!おお、そこにいたのは!ヤクザスーツにテング・オメーン、背にジェットパックを負った謎の男!すなわち!孤高のニンジャハンターにして神々の使徒!正義の執行人!

「「ヤクザ天狗=サン!」」

◆しよう◆

◆ヤクザ天狗(種別:モータル/重サイバネ/ヤクザ)
カラテ       3    体力        5
ニューロン     6    精神力       7
ワザマエ      4    脚力        2
ジツ        -    万札       10

◇装備や特記事項
◆サイバネギア(修正値反映済み)
 ▶︎テッコ、▶︎▶︎サイバネアイ+、▶︎▶︎生体LAN端子+、▷回避パターン解析プログラム
◆ジェットパックユニット:飛行移動、5マスまで、ナナメ移動可
◆ドス・ダガー
◆**リデンプション&アブソリューション**:装備前提:生体LAN端子+、サイバネアイ+
 連射5、時間差、回避パターン解析、マルチターゲット、
 対ニンジャ仕様(基本回避難易度:HARD)
 全弾射出:精神力1を消費して連射回数2倍、射撃ダイス+6、難易度+1
  使用するとシナリオ終了までこの銃の使用不可
●不屈の精神、●ヤクザ天狗のアンブッシュ
◆ZBRアドレナリン注射器、トロ粉末

能力値合計:13 サイバネ数:6 射撃ダイス:8 回避ダイス:8

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突入タイミング4:グリーンエレファントが瀕死になった瞬間。

ランタンシャークとマーシレスフィンガーは同時に叫んだ。二挺拳銃を構えザンシンするヤクザ天狗から少し離れた場所に、柱の影でよく見えないが、血みどろになった何者かがいる。おそらくインパルスを殺し、ここを襲撃したニンジャの一人。折よく始末してくれたところ、というわけだ!

「!」ヤクザ天狗は突然に名を呼ばれて驚き、振り向いた。「ドーモ、ソウカイ・シンジケートのランタンシャークです」「ドーモ、マーシレスフィンガーです」二人は先んじてアイサツする。「……ドーモ、ヤクザ天狗です」やむなくアイサツを返す。偶然だが、アンブッシュは封じられた。

一方、タタミ部屋の奥。(ソウカイヤのニンジャだと……!?)武者鎧を身に纏い、タタミに倒れ伏していたズタボロの男が震え上がった。彼こそはキルエレファント・ヤクザクランの元グレーターヤクザ、現フリーランスヤクザのヤマヒロだ。(チクショーメ!ブッダもオーディンもいねえのかよ!)

◆ヤマヒロ(種別:モータル/ヤクザ)
カラテ       4    体力        4(負傷+鎧)
ニューロン     4    精神力       4
ワザマエ      4    脚力        2
ジツ        -    万札        1

◇装備や特記事項
◆チャカ・ガン、ドス・ダガー、武者鎧(装備効果は差し引き0)

せっかくヤクザ天狗を呼び、ニンジャを殺してもらったのに、すかさず新手の、しかもソウカイヤのニンジャが来るとは!流石のヤクザ天狗も複数のニンジャが相手では分が悪かろう。彼を犠牲にして逃げるか?いや、それは男が廃る!己のソンケイが地に落ちる!せめて彼を支援せねば!……その時!

「な……何だ!?何がどうなってやがる!?」騒ぎを聞きつけたもうひとりのニンジャが、奥のトイレから股間のジッパーを上げながら現れた!「……えっ、グリーンエレファント=サン?」ナムサン!相棒は瀕死!その向こうに立つ謎の天狗!ケオス極まる状況に、彼のニューロンは激しく混乱した!

「ドーモ、ランタンシャークです」「マーシレスフィンガーです」ソウカイニンジャたちが先んじてアイサツする。「ど、ドーモ、ガスバーナです」

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◆ガスバーナ(種別:ニンジャ)
カラテ       3    体力        4
ニューロン     3    精神力       4
ワザマエ      3    脚力        3
ジツ        3    万札       10

◇装備や特記事項
☆カトン・ジツLv3
▶テッコ:近接攻撃&回避ダイス+1
 ▷ジツ拡張サイバネ:カトン・ジツLv2を精神力消費なしで発動可能
  精神力1を消費すると連続発動(発動&回避判定は2回必要)
◆トロ粉末:精神力2回復(使い捨て)

能力値合計:16 回避ダイス:4
イメジはいつものサンシタニンジャメーカーで作りました。

「あ、アイエエエ……」ヤマヒロの隣の若い男……マズダ・タロは状況判断がつかないまま、頭を抱えて震え上がっている。

◆マズダ・タロ(種別:モータル)
カラテ       1    体力        2
ニューロン     1    精神力       1
ワザマエ      1    脚力        1
ジツ        -    万札        1

◇装備や特記事項
◆ヌンチャク(近接武器、攻撃判定難易度HARD)、【カルマ:善】

さらに!「アイエエエ……ドージョーが……ワシの弟子たちが……!」アワレな老人も混乱の極みにある。このドージョーの主、ソダワ・ケンリュウだ!

◆ソダワ・ケンリュウ(種別:モータル)
カラテ       2    体力        2
ニューロン     5    精神力       5
ワザマエ      3    脚力        2
ジツ        -    万札        1

◆装備や特記事項
▶生体LAN端子
◆直結用LANケーブル:ワザマエU-HARDでLANケーブル直結攻撃を行える
◆カルマ:善

極限のケオス!次のアトロシティは予測不可能!一触即発アトモスフィア!

戦闘開始

イニシアチブ:ヤクザ天狗(6)→ソダワ(5)→マーシレスフィンガー&ヤマヒロ(4)→ランタンシャーク&ガスバーナ(3)→タロ(1)

1ターン目

ヤクザ天狗は素早く状況判断した。ガスバーナや新手のニンジャからは距離がある。ならば。「すまんな。本当にすまん」BLAMBLAM!瀕死のグリーンエレファントめがけて無慈悲なトドメの発砲!「サヨナラ!」グリーンエレファントは爆発四散した。「テ……メエーーーッ!」ガスバーナが激怒!

「に、逃げろ!今のうちに逃げろーッ!」ソダワは生き残りのハッカーたちに叫んだ!「アイエエエ!」「オタスケー!」ハッカーたちは出口へ走る!「ス……スッゾコラーッ!」ヤマヒロは死力を振り絞って窓へ!タロは無力な小動物めいて頭を抱え震えている!そしてソウカイ・ニンジャたちは!

マーシレスフィンガーは脳内でバチバチと電子ソロバンを弾く。ガスバーナはヤクザ天狗をめがけて突っ込むだろう。相手は重サイバネとはいえモータル、ニンジャが三人がかりで囲めば勝機あり!「漁師がカチグミ、ガスバーナ=サン、一旦共闘ね!イヤーッ!」ヤクザ天狗へ歩み寄りスリケン投擲!

3D6で[135]=成功。ヤクザ天狗は3D6で難易度HARD回避し[226]=成功。残り回避ダイス4。

だがヤクザ天狗の高性能サイバネアイはこれをとらえる!「スッゾコラーッ!」ゴウランガ!恐るべきニンジャのスリケンを紙一重回避!タツジン!「畳み掛けるね!」ランタンシャークはサメめいた歯を剥き出し笑う!「アイアイ・サー!いくぜェ!」

ドトン・ジツを発動。ニューロン3+ジツ3の6D6で難易度NORMAL、精神力消費1(残り2)。[244456]=成功。脚力の2倍、6マス動いてヤクザ天狗へアンブッシュ。

ドボン!ランタンシャークはタタミを泥めいて溶かし、飛び込んだ!これはサメ・ニンジャクランのドトン・ジツ!そのままタタミの下を高速で泳ぎ、ヤクザ天狗へ下からのアンブッシュ!「くたばりやがれーッ!」アブナイ!

5D6で難易度NORMALの噛みつき攻撃。[13556]=3成功。ヤクザ天狗は4D6で難易度HARD回避し[1245]=2成功回避。残り回避ダイス1。

だがヤクザ天狗の高性能サイバネアイはこれをとらえる!「ザッケンナコラーッ!」ゴウランガ!恐るべきアンブッシュ攻撃を紙一重回避!タツジン!「ウオーッ!」激怒したガスバーナが連続側転でヤクザ天狗へ迫る!

3D6で[335]=成功。さらに精神力を1消費(残り3)して必殺の連続カトン!6D6で難易度U-HARD、[223556]=成功。ヤクザ天狗は1D6で1発を回避するが[2]=失敗!両方とも喰らい2ダメージ!残り体力3!

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「燃えちゃえよォーッ!」KABOOM!KABOOM!ゴウランガ!ガスバーナはさらに両手にインプラントした軍用火炎放射器を連発!さしものヤクザ天狗も三人のニンジャの猛攻は避けきれず、直撃を食らう!「グワーッ!」「や……ヤクザ天狗=サァーン!」ヤマヒロが泣き叫ぶ!

2ターン目

このままニンジャに囲んで叩かれれば死あるのみ!ヤクザ天狗は背中のジェットパックを起動させ、全速力で窓へ飛ぶ!「すまんな、ヤマヒロ=サン。本当にすまん。贖罪の聖戦を、ここで終わらせるわけにはいかないのだ!」CLASH!彼は嗚咽しながら窓を突き破り、夜空へと飛び去っていった……!

「「……ヤマヒロ?」」ソウカイヤのニンジャたちは、その名を聞いて驚いた。自分たちが探していたもうひとりの手がかり、ヤマヒロがここにいるとは!「ヒッ!」怯えるヤマヒロ!だが!「待てやァ天狗野郎!よくもグリーンエレファント=サンを殺したな!」ガスバーナはヤクザ天狗に叫ぶ!

「ええい、ややこしいね」ヤマヒロとガスバーナ、ヤクザ天狗、どれを追うべきか?『ツー・ラビッツ、ノー・ラビット』というコトワザもある。状況判断!「ヤマヒロ=サン、あんたはバーグラー=サン殺しの重要参考人ね!逃げたらブン殴る!」「ハイ!」従順!「そして!」狙うはガスバーナ!

「あんたはインパルス=サンを殺したね!この場でオトシマエつけさせる!イヤーッ!」スリケン!「了解!」カラテ!

マーシレスフィンガーのスリケン投擲。3D6で[134]=1成功、ガスバーナは2D6で[35]=回避成功。続いてランタンシャークのカラテ。5D6で[22245]=2成功、ガスバーナは2D6で回避し[36]=成功。

「ンダッコラー!?」ガスバーナは混乱しながらも回避!ランタンシャークは挑発!「ソウカイヤをナメるなよ、知能の低いガキが!それとも尻尾巻いて逃げるか?ア?」「テメッ……」「バカハドッチダー!」慈悲深きブッダでさえも目を背けるほどの口汚い罵声!ガスバーナのニューロンが爆発!

「ウォーッ!ブッ殺してやる!」

ガスバーナは精神力を1消費(残り2)してランタンシャークへ連続カトン!6D6で難易度HARD、[3444335]=ギリギリ成功!ランタンシャークは3D6を2つで[143][234]=2発とも間一髪回避!

「燃えちゃえよォーッ!」KABOOM!KABOOM!ゴウランガ!ガスバーナは両手にインプラントした軍用火炎放射器を連発!「イヤーッ!」ランタンシャークは間一髪跳躍回避!アブナイ!「これでシンプルだな、ガスバーナ=サン!テメーを殺す!」「ヤッテミロッコラー!」

カラテアトモスフィアが上昇しハードモードに突入!両者のカラテ回避難易度がHARDに!

3ターン目

マーシレスフィンガーとランタンシャークが近寄って殴る。3D6と5D6で[245][22466]=2成功、3成功&殺伐。ガスバーナは2D6を2つで[12][11]=回避失敗!殺伐の出目は3、急所破壊!痛打で体力ダメージ+1、ニューロンに1、精神力に2ダメージ!ガスバーナは合計3ダメージを食らい残り体力1、ニューロンが2に低下、残り精神力0(行動は可能)。

「「イヤーッ!」」「グワ……アバーッ!」サツバツ!二人の情け容赦ないカラテがガスバーナの股間を破壊!「アバッ……クソッタレ……」「おっと、まだ元気そうだな」「い、イヤーッ!」ヤバレカバレのカラテ!

3D6でカラテ、[235]=1成功。ランタンシャークは6D6で[213466]=2成功回避&迎撃!ガスバーナは残り体力0になり戦闘不能。万札10獲得。

「テメエのカラテはヌルいんだよ!イヤーッ!」「ムン」ランタンシャークの反撃!既にフラフラだったガスバーナは、この一撃で昏倒した。

戦闘終了

「よし。カイシャクしといてね。私ヤマヒロ=サンを担いで、ずらかるね」遠くからNSPDのサイレン音。長引けばまずい。「アイ、アイ」「アイエエエ……」ドージョーの奥には立ちすくむ老人、頭を抱えて震える若者、そして茫然自失したボロボロのヤマヒロ。「ブッダ……」「寝てるね」

「イヤーッ!」カイシャク!「アバーッ!サヨナラ!」ガスバーナは爆発四散した。ランタンシャークはその生首を空中でキャッチし、手近な死体の服を引っ剥がして包んだ。証拠品だ。「一丁あがり、と。ヤクザ天狗=サンを取り逃したのはアレだが、まあこんなもんだろ」……その時!

「ザッケンナコラーッ!」BLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!

ガラス窓の外、空中からヤクザ天狗が銃撃!ヤマヒロを担ぎあげたマーシレスフィンガーめがけ!

画像10

精神力1を消費して全弾射出。時間差、連射回数10、射撃ダイス8+6=14、難易度HARD。[1][2][5][6][6][6][11][12][43][15]=5発成功。MFは回避ダイスが4しかない!1発食らって残りを1D6ずつで回避、ヤマヒロを担いでいるため難易度U-HARD![6][1][3][6]=2発命中!体力残りきっかり0、行動不能!

「グワ、グワアバーッ!?」ナムアミダブツ!タイミングを見計らったヤクザ天狗の恐るべきアンブッシュ!マーシレスフィンガーは即死こそ免れたものの、対ニンジャ銃弾の嵐を食らい昏倒!行動不能!「な、なにィッ!?」ランタンシャークは驚愕!「「や……ヤクザ天狗=サン!」」

「贖罪の聖戦は終わらぬ……私はニンジャを滅ぼし、ヤクザを救い出す……」ジェットパックで再び窓から入ってきたヤクザ天狗は、倒れたヤマヒロへ手を差し伸べる。「私の名を呼んで願うなら、私はそれをかなえる……ともに行くぞ、天狗の国へ……」「ヤクザ天狗=サン!」「テ……テメエーッ!

戦闘再開

イニシアチブ:ヤクザ天狗(6)→ソダワ(5)→ヤマヒロ(4)→ランタンシャーク(3)→タロ(1)

ヤクザ天狗は撃ち倒したマーシレスフィンガーを捨て置き、ヤマヒロの救出を優先!彼を力強いサイバネ腕で抱き上げた!「や、ヤクザ天狗=サン!」「私はヤクザを捨てて孤児とはしない……ヤクザのところに帰って来る!」やさしみ!「ドグサレッガー!」ランタンシャークが激昂して襲いかかる!

5D6でカラテ。[13456]=3成功。ヤクザ天狗はヤマヒロを抱えているため回避ダイスが半減し、4D6で難易度HARD回避。[1356]=2成功。

「ヴォラッケラー!」ヤクザ天狗は上級ヤクザスラングを叫びながら倒れ込むように回避!ブッダも照覧あれ!「ニンジャがチョップを海の上に振るうと強い東風が吹き、水は分かれて海は陸地となった……!」ヤクザ天狗は意味不明な一節を呟きながら、ジェットパックを作動させた!「サラバ!」

VRRRRRRRRRRRRRRRRRR…………KA-BOOOOOOOOOOOOOOOM!

颯  爽

戦闘終了

「ダムンシット!」ヤマヒロを拉致され、ランドシャークは窓枠を叩いて悔しがる。「うう……ゴフッ」撃たれたマーシレスフィンガーは瀕死だが、まだ息がある。見捨てるのも問題だろう。ともあれインパルスの仇のひとり、ガスバーナは殺した。グリーンエレファントの死体は爆発四散している。

画像12

ファオンファオンファオンファオン……近づくNSPD車のサイレン音。窓の下にはマッポやデッカーが展開中だ。「御用!御用!」「ハッカードージョー立てこもり犯に告ぐ!大人しく投降しろ!我々は君たちを射殺するかも知れない!」「装甲車も来るぞ!」「御用!御用!」……「チッ」

ランタンシャークはマーシレスフィンガーを米俵めいて担ぎ上げ……窓の下へ飛び降りようとして、やめた。既にかなりのマッポが集まっている。ウカツに飛び降りれば蜂の巣だ。「おい、テメエら」呆然と立つ老人と、震え続ける若者に声をかける。「ハイ」老人だけが反応した。釘を刺しておく。

「テメエらは何も見なかった。いいな。俺たちのことを喋ったら地獄の底まで追い詰めて殺す」「アッハイ」そして!「ドトン・ジツ!」

精神力を1消費(残り1)してドトン。6D6で[233445]=成功。

ズズズ……!マーシレスフィンガーを担いだランタンシャークはタタミに沈んでいく。そのまま床を泥めいて溶かし、ぬるりと一階に降り立つ。そこは閉鎖した商業施設だ。真っ暗闇な屋内は略奪され尽くし、荒れ果てている。「よっと」ランタンシャークは相方を担ぎ直し、外の様子を伺う。

ニューロン判定、難易度NORMAL。3D6で[444]=成功。

「こっちが手薄だな」壁の向こうにモータルたちの群がる気配。しかし、壁を蹴破れば追いかけられる。ならばもう一度!「ドトン・ジツ!」

6D6で[345556]=成功。残り精神力0だが、行動は可能だ。

相方を背負ったまま泥めいて床を溶かし、建物の壁の下を抜け、裏路地に浮上する。「御用!御用!」「突入するぞ!」マッポたちが二階へ突入していく。後はあの老人がどうにかするだろう。「クソッタレ!」結局、倒せたのはインパルスの仇の片方だけ。相方は重傷。犯人は突き止めたが散々だ。

現場から距離を取ると、IRC端末で連絡をとる。「モシモシ、ダイダロス=サン。犯人を始末しました。救援を願います」

エピローグ

評価・C:マズダ三兄弟を殺害もしくは生け捕りにし、オトシマエをつけさせることに成功(タロは取り逃がしていても構わない)。しかしヤマヒロとヤクザ天狗は取り逃がしてしまった。

「……了解」オキナワから帰るなりダイダロスから連絡を受けたソニックブームは、ランタンシャークにIRC端末で状況を伝える。「おう、俺だ。話は聞いた。テメエらにしちゃよくやった」一応のねぎらい。しかし完璧な解決とは言えない。バーグラー殺しの犯人と参考人を取り逃したのだ。

『……ヤマヒロ=サンからは万札10ほどミカジメが未回収でな。責任取って負担しろ』「ハイ」ランタンシャークは唇を噛んだ。ガスバーナから回収した万札がちょうど10。差し引きゼロだ。借金を背負わないだけマシか。『ヤクザ天狗についても調べて、手がかりがあったら連絡しろ』「ハイ」

通信終了。ランタンシャークはふうっと息を吐き、ソファに仰向けに倒れ込んで天井を見上げる。マーシレスフィンガーは入院中だ。このオンボロ事務所から抜け出せるのは、いつの日になることか。

「クソ暑ィな……エアコン、買い替えてェぜ」

【エスケープ・トゥ・グローリー】終わり

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