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紅茶パルプまとめ

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つのが書いた「紅茶パルプ」作品(2018年11月-12月)のまとめとかです。
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#バター茶

【これまでのあらすじ】三宅つの、紅茶パルプを書く。

おれだ。もう知ってるだろうが、noteでは11月1日の「紅茶の日」にあわせて、「紅茶のある風景」というタグでそういう作品(エッセイ、小説、イラスト、漫画など)を募集している。12月2日までだ。賞金と賞品も出る。 ハッシュタグをジャラジャラつけていると、そういうのも目には入る。どうせハイソなバターコーヒー野郎どもが紅茶にバターを入れて喜ぶような集まりだろう。おれはそう思って、特に興味も抱かずにいた。 だが……なんたることか、逆噴射小説大賞が終わった10月31日、ハロウィンの

午後のスーチャ

ドルジェは詰め所の倉庫から「午後の紅茶」の大きなペットボトルを取り出すと、銅製の鍋に注ぎ、火にかけて煮詰め始めた。 「なにしてんだ」「バター茶(スーチャ)を作る」「ああ、頼む」 材料は揃っている。磚茶から作るわけでもなく、木桶もミキサーもないので適当だ。バター、塩、牛乳を少しずつ混ぜ合わせ、分離しないよう根気よく攪拌する。一般的な茶というよりはスープだ。だが、これもれっきとした茶だ。栄養も豊富。贅沢を言えば甘みがほしいが、贅沢は言えない。 「初物は、仏様に供える。あとは