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ゼロ魔クロスSSアーカイブ

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太古の昔、ハルケギニア海に召喚されたクロスオーバー小説群のアーカイブです。
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2019年8月の記事一覧

【AZアーカイブ】趙・華麗なる使い魔 第8回 趙・公明開花!!

◆華麗なる貴族・趙公明、クライマックス!! 『レコン・キスタ』の厳しい包囲網を潜り抜け、2隻のフネはニューカッスル城に到着した。さっそく出迎えを受けるが、念のためとして杖や武器、動物の使い魔は向こうに預けられる。 「おお、殿下! これは大手柄ですな!!」 「やあパリー、積荷はなんと『硫黄』だよ! 全てはこのプリンスのおかげさ! これで我が軍は『レコン・キスタ』に一泡吹かせて、美しく散ることができる!」 「ははは、敵方にはトロール鬼やオーク鬼、それに得体の知れない怪物どもも

【AZアーカイブ】趙・華麗なる使い魔 第7回 趙・天空の王国!!

「嘘!? 貴族派の刺客!? でも、こんなに早く気付かれるハズは」 「内通者だな。王女の側近にも、すでに『レコン・キスタ』の長い手が伸びているようだ」 あの巨大な岩のゴーレムの使い手は、女盗賊『土くれ』のフーケだ。肩に乗っている。 「おやおや、キミは僕たちに捕縛され、チェルノボーグの監獄とやらへ収監されたそうだが」 「見る目のある人はいるものねぇ。救出されちゃったのよ、プリンス」 よく見れば、彼女の傍らには白い仮面をつけた黒マントの長髪という、怪しさ大爆発の人物がいる。アルビ

【AZアーカイブ】趙・華麗なる使い魔 第6回 趙・好敵手登場!!

トリステイン王国魔法衛士隊、グリフォン隊の隊長、ワルド子爵。全貴族の憧れの的、王国の花形スタア参上だ。趙公明は嬉しそうに目を細める。 「ほほう、なかなかの使い手のようだね、ミスタ・ワルド。その通り、僕はプリンス・趙公明。ミス・ルイズ・フランソワーズを守護する、華麗なる騎士さ!」 「初めまして、プリンス。改めて名乗りましょう、『閃光』のジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。爵位は子爵に過ぎませんが、ルイズとは許婚の間柄です」 なんと、ルイズの許婚とは。三女とはいえ公爵家令

【AZアーカイブ】趙・華麗なる使い魔 第5回 趙・王女の密命!!

比較的平和なトリステイン王国にも犯罪者はおり、監獄も立派にある。その名も『チェルノボーグの監獄』。城下で一番監視と防備が厳しく、魔法障壁が張り巡らしてある。 もっとも、『杖』がなければメイジは普通どんな魔法も使えない。多くの貴族の財産を掠め取り、名誉を傷つけた『土くれ』のフーケは、当然もうすぐ縛り首だ。 「あーあ、すっかり調子が狂っちゃったなあ……ヤキが回ったよ」 あのプリンスとかいうふざけた貴族。『貴族らしさ』を戯画的なまでに追求し、エルフと見紛う強大な力を振るう男。

【AZアーカイブ】趙・華麗なる使い魔 第4回 趙・怪盗追跡!!

「ねえ『ヒトー』。あのプリンス・チョウ・コウメイって方、いったい何者なの?」 虚無の曜日の夜。 学院の自室で、ルイズは趙公明と同じ世界から来たという巨大なインテリジェンスソード、『飛刀』と対話していた。壁にかかる大剣に現れた顔が、彼の知る限りの趙公明の情報を話す。 「ん~~、何ちゅうか、恐ろしいお方よ。華麗でゴージャスで貴公子なんだが、『戦闘狂』ってやつでな。もとは俺たちの世界でも上位に入るツワモノで、何千年も生きているから暇なのか、ゴージャスな闘技場を作っては強い敵を招い

【AZアーカイブ】趙・華麗なる使い魔 3回 趙・華麗なる決闘!!

前回のあらまし:C(趙マーク:趙公明が栄光を示したい時に現れる) プリンス・趙公明の挑戦を受け、『ヴェストリの広場』へ向かうギーシュと野次馬たち。しかし、そこに待ち受けていたのは巧妙な罠、じゃなかった、派手派手しい『闘技場』だった。 「と……特設リング!? いつの間に?」 「「恐れずによく来たね、ギーシュ・ド・グラモンくん!! 待っていたよ!!(ドドドドドヴァアアアン)」」 豪華な音楽とドライアイスの煙を伴い、ライトアップされた趙公明がリング中央からせり上がる。口にはバラ

【AZアーカイブ】趙・華麗なる使い魔 第2回 趙・貴公子君臨!!

その一:ルイズの場合 「First kissからっ始まる~ 二人の恋のHistory~♪ ルルル~ララ~ララ~ラララ~…」 趙公明が召喚されて、はや三日。ルイズは得意(デレ)の絶頂にあった。例えばこんな調子だ。 「僕の爵位かい? 僕は金鰲島の麗しき貴公子(プリンス)!つまり最高位の『公爵』ということになるのかな? 王様というより『教主』の下だったけれどね。……ほう、キミも公爵家令嬢とは奇遇だ!(くるくる) では、気軽に『ルイズ』と呼ばせてもらっても、いいかな?(ドン)」

【AZアーカイブ】趙・華麗なる使い魔 第1回 趙・貴族光臨!!

「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ!!  神聖で、美しく、生命力に満ち、そして強力な使い魔よ!!  私は心より求め、訴えるわ! わが導きに応え、ここに現れなさああああい!!」 ドガーーーーーーーーーン ズズズズン ビリビリビリ ルイズの召喚失敗による爆発は、もはや何十回目であろうか。 日も傾き、他の生徒たちの使い魔召喚はとっくに終わっていた。 「ミス・ヴァリエール、日没まで猶予を与えましょう。それでダメなら、残念ながら…」 教師のコルベールがリミットを定めた

【AZアーカイブ】ゼロの蛮人(バルバロイ)ライナーノーツ

おれだ。そういうわけで、ライナーノーツだ。とはいえ10年以上前……過去ログによれば2007年9月23日から11月12日までに投下された作品だ。もはや記憶も曖昧だが、いろいろ思い出してだらだら書き記す。 ヒストリエのトラクスだ。おれが一番気に入っている。おれはルイズのアンタイでもヘイターでもないが、ルイズコピペのやつみたいに熱狂的に愛しているわけでもなく、るるるのルイズから入ったのでそういう印象がある。初期のサイトの扱いがこいつに似ていたので書いた。ただしどう考えてもルイズが

【AZアーカイブ】ゼロの蛮人(バルバロイ)第十五話

《『王宮日誌 シャルロット秘書録』より》 タルブでの戦闘から、数週間後。私は、ルイズの実家であるラ・ヴァリエール公爵家を訪ねていた。ワルドとの結婚が、正式に決まったそうだ。戦友として、私やキュルケも呼ばれた。 ◆ あの瞬間、私は『エア・カッター』で因縁あるセレスタンの首を斬り飛ばしていたが、その場所からトラクスとワルドが闘っているところが、ちらりと見えた。何事かを叫び続けるトラクス、怒り狂い、杖を振り上げるルイズ、トラクスに駆け寄られるワルド。トラクスの魔剣がワルドの右

【AZアーカイブ】ゼロの蛮人(バルバロイ)第十四話

さしもの『破壊の車輪』も、崖下に潜り込んだ敵までは石弾を飛ばせない。トラクスたちは必死に風竜を飛ばし、魔法で飛翔して、どうにかそこへ到達した。マチルダのゴーレムは雨霰と石弾を浴びるが、まだ立っている。 「いヨおし!まずは第一関門突破だ。オレとトラクスと、残りが10人か……中には敵が100はいる気配だな。手強そうなのはまあ、せいぜい20ってところだろうが」 「一人が9人殺せば済む。並みのメイジなら、俺は10人は殺せるだろう」 「並みじゃあなさそうだ。脱走した風のトライアングル

【AZアーカイブ】ゼロの蛮人(バルバロイ)第十三話

「あの娘たちに逃げられたァ!? 何ぼさっとしてたのよ、あんたたち!」 マチルダは、眠らされていた女官からの報告に吃驚していた。眼鏡の下の目がつり上がる。 ルイズとタバサが、アルビオンから脱走した。目付けのユリシーズを『人質』にして、だ。あのルイズは杖があっても碌に魔法も使えない(爆発は起こせるが)駄メイジで、お嬢様だから融通も利かない。女官やイケメンのユリシーズにちやほやされていれば、ぶつぶつ言いながらも大人しくしていただろう。 ならば、タバサだ。確かあの娘はガリア出身

【AZアーカイブ】ゼロの蛮人(バルバロイ)第十二話

《『王宮日誌 シャルロット秘書録』より》 「そこが、この国々と同じ天地かは分からん。月は一つだし、マジナイ師はもっと弱い。アルビオンもトリステインも聞いたことがない。ガリアは西にあるらしいが、お前のいた国かは分からん」 「『スキタイ』は王族たちの名前で、そいつらが治めている諸部族も、皆スキタイという。緩い連合王国だ。北国で冬は寒いが、平原が多く家畜は良く育ち、水は豊かで農耕にも漁労にも向いている。狩りも盛んだ。黒海という大きな内海の北側が、ほぼ全てスキタイの領土になってい

【AZアーカイブ】ゼロの蛮人(バルバロイ)第十一話

「まあいいや、お邪魔するぜ。サー・トラクス」 『開錠』で勝手にドアを開け、ぬしりと入ってきたのは、身長190サントはある巨漢。白髪の短髪を立て、浅黒い肌で筋骨隆々。鉄の槌じみた杖を握り、革のコートと燃えるような気を纏っている。戦士ではなくメイジなのだが、戦士としても充分やっていけるだろう。雰囲気から、年恰好は三十半ばか、四十の頃か。 恐ろしさを増幅させているのは、その顔だ。額の真ん中から左眼を包み、頬にかけて古い火傷の跡。右側は眼帯をしており、堅気ではない事など火を見るよ