縄文人とアイヌとの遺伝的連続性(篠田謙一抜き書き)

その1

《近年、北海道の縄文人とオホーツク文化人、アイヌの人たちのミトコンドリアDNAの分析が進んだ結果、この地域での集団の成立について新たな事実が浮かび上がってきた。分析の結果、アイヌの人びとは単純に北海道縄文人の子孫というわけではなく、オホーツク文化人の遺伝的影響を強く受けていることが判明したのである。そのため現在では、アイヌ集団は北海道の縄文人を基盤として、オホーツク文化人の遺伝子を受け取ることで成立したと考えられるようになっている。最近の形態学的研究もそれを支持しており、アイヌ集団の成立にオホーツク文化人が強く関係していることは間違いない。》
※篠田謙一「本土とは異なる成り立ちを示す北海道、琉球の祖先達」(『歴史REAL日本人の起源』2019所収)。

その2

《図7-5は、北海道のミトコンドリアDNAハプログループの割合の、時代的な変遷を示したものです。縄文時代にはなかったハプログループYがオホーツク文化人によってもたらされ、両者の混合によってアイヌが誕生した様子が見て取れると思います。》                                ※篠田謙一『新版日本人になった祖先たち』(NHK出版 2019年)
附表 図7-5に相当。北海道住民のミトコンドリアDNAハプログループ比率の変遷。※篠田「本土とは異なる成り立ちを示す北海道、琉球の祖先達」(『歴史REAL日本人の起源』より。

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その3

《本書の冒頭に紹介した船泊縄文人と現代アイヌの人たち、そして東アジアの現代人集団のSNPをもとに行った主成分分析の結果を示したものが図7-6になります。アイヌの人たちが帯状に分布しているのは、本土日本人との間の混血の影響だと考えられますが、船泊縄文人がその延長線上に位置しません。この船泊縄文人からのズレは、アイヌに人たちにオホーツク文化人のDNAが入っていると考えると説明できます。》                                ※篠田謙一『新版日本人になった祖先たち』(NHK出版 2019年)

附表 図7-6。上記篠田書より。

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