ペトロールズ野音があまりにもすばらしかった件

2023年12月3日(日)
ペトロールズ -Cruisin’- 追加公演 @日比谷公園大音楽堂

これが大変すばらしかった。
ちょっとした事件だったので徒然なるままに感想を記したい。

ペトロールズのライブスケジュールは各地のZEPPを中心に回っていくツアーを年2回実施するのがルーティンだ。最近では追加公演が定番になってきて、大阪だとなんばHatch、東京だと今は無きSTUDIO COASTなど、ちょっとわくわくする箱で締めてくれるケースが多い。今回の締めはどこかしら、なんて考えていた折飛び込んできたのが、「野音」との第一報だ。

冬に、ペトロールズが、野外、だと?

長年のペトロールズファンはご存じの通り、彼らは雨男だ。冬の野音で雨でも降ろうものなら、洒落にならん寒さだ。これは根性がいるぞ、と気合を入れてチケットを取ったのだ。

追加公演の前の本公演には、野音の2週間前に開催されたZEPP DiverCity TOKYOの回に参加した。その時の長岡氏は喉の調子がベストではなさそうだった。セトリ序盤の「Girl」では、第一声の「朝が来てー♪」の高めの領域の音が不安定だったのに加え、一番のサビは戦略的撤退を感じさせる無歌唱だった。とはいえ、その後は大きく乱れることもなく、かつて東京事変の「おいしい季節」で声域お化け、と評された美しい高音の片鱗を見る(聴く?)ことができた。(公式YouTubeから出ているので、「おいしい季節」ぜひ見てくほしい。)

個人的に、ペトロールズは屋外がよく似合うバンドだと思う。曲調も含め、長岡氏の声質も力みすぎない心地よいだるさが、外にピッタリなのだ。夏の太陽さんさんな下もいいが、冬の空気がピンとした中のペトロールズの方が好きだ。野音はきっといいライブになるんだろう、と期待が高まっていく。

野音当日、奇跡的(?)に晴れを引き、午後の日が高い時間帯にはあたたかさすら感じられるライブ日和だった。最高だ。だがしかし、野外フェスに参加したことのある人は知っている。夏のFUJI Rockですら、日が落ちたらあっという間に寒くなることを。

これは完全に余談だが、野音は飲み物の持ち込みが大体OKだ。日比谷駅のスタバで持参したタンブラーにあったかいラテをいれてもらい持参したが、大正解だった。ライブが終わるまであったかい珈琲片手にペトロールズを楽しむことができた。

開始10分前には座席へ着く。椅子があるってやっぱりいい。ライブハウスのすし詰めも嫌いではないが、コロナ下の椅子ありを経験してしまうと、なかなかつらいものがある。パーソナルスペースの確保はライブの感度を10倍は高めると思う。

ペトロールズにしては珍しく、10分押しでついにライブが始まった。

喉は、、、東京の時より悪化していた。一曲目の「TANOC」から異変を感じる。2曲目は「闖入者」だ。本公演とセトリが変わっている。3曲目も、例の「Girl」から「SHAPE」へ変更だ。でもいい、3曲でじわじわとペトロールズワールドに没入した。

開けてMC。長岡氏から声がいまいちであると公式の宣言が下される。続いて「俺の声が出ないところはみんなで歌って補っておいて」と、客側でよろしくやっといてスタイルが提案された。とてもペトロールズらしい。
先述の通り、ペトロールズは年2回ライブツアーをしてくれるフットワークの軽さだ。そして、チケットも当たりやすい上、必ず当日券を用意するなど、「求めよ、さらば与えられん」の精神にあふれたバンドだ。今日がダメになっても、必ずまた次やってくれる。そういう信頼関係がファンと構築できているバンドだと思う。だから、野音であっても、中止にする選択をしたとて、大丈夫だったと思う。それでも、ライブを開催したペトロールズ、そして、よろしくやっといてのペトロールズ。根はやっぱり真面目な労働者なんだな。どうか、マヌカハニーでもなめなめしてよく休息をとってほしい。
だが、ひとつだけ物申してよいだろうか。客席によろしくやっといてスタイルを提唱するのであれば、やっぱり歌詞カードはつけるべきだと思うの(最近はついてるけど)。

脱線した。

第二ブロックは、「SMOOTH ME」⇒「エイシア」⇒「また逢う日まで」⇒「Talassa」⇒「HIGH LIGHT」の構成だ。比較的最近の曲である「また逢う日まで」(音源未リリース)の歌詞を初めてちゃんと聞き取れたような気がする。やはり、座席のゆとりは耳のゆとり。そして同じく、比較的新しい曲である「HIGH LIGHT」。これはボブ氏の作品だが、もはやライブの定番となってきているような。新旧のペトロールズを余すことなく楽しめるブロックだ。

開けのMCでは、ジャンボ氏が服装のチョイスを間違えてあまりに軽装で来たとのこと。急遽ヒートテックをスタッフさんが買いに行ったが、レディースのLしかなかったという衝撃の告白。そんなことある!?と思わず心の中で突っ込む。レディースヒートテックからちらりする胸毛は想像したくないが、野音でもMCは変わらないペトロールズだ。

あっという間に最終ブロック。ここまですでに1時間以上スタンディングしているが、全く疲れない。ZEPPではあんなに疲れたのに。やはり、席のゆとりは…(以下略)

最終ブロック、控えめに言ってもぶち上った。「Not in Service」からの「ホロウェイ」という鉄板セトリ。続く「No」。これも「HIGH LIGHT」と同時リリースのボブ氏の作品だが、出だしでボブ氏が響かないシンバルっぽいの(名称不明)を一定のリズムでシバいているだけで体が沸いてくる。そして「Profile」。このブロックの中で一番高音を使うのではないだろうか。長岡氏の声もかすれる。かなりハスキーな横顔から「止まれ見よ」である。私の一番好きなペトロールズ曲は、何を隠そう「止まれ見よ」である。止まれ見よはいいぞ~。歌詞も最高に励まされるし、いつ聞いても元気になるぞ~。と人生で何度も「止まれ見よはいいぞお姉さんBOT」になったことがある。だが、今日だけは心配だ。なぜならキーが高いから。
大丈夫?大丈夫なの?止まれ見よ♪止まれ見よ♪出る?と固唾をのむ。そして、それが君なんだ♪の「れ」が無事に出て思わずこちらがガッツポーズだ。勝ちが確定した。続く「インサイダー」と「FUEL」はもはや覚えていない。いや、嘘だ。「インサイダー」出だし迷子事件があった!止まれ見よ、を超えて安心したのかな?声が残念なのに、なぜか原曲より高いキーで歌い出す自滅行為に出る長岡氏。まあ、ここまで来ればそんなのどうでも良くなるくらいゾーン入っちゃってるんですけどね。Excellent!

とんでもないものを見せられたのに、颯爽とステージを降りる3人。呆然とする私。アンコールの拍手に力がこもる。いつも通り素早く出てきてくれる3人。

第三ブロックの熱気からややクールダウンし「KAMONE」をしっとり。愛してると言って差し支えない、というフレーズ、あまりに天邪鬼で癖が強くて、いまだに納得(?)はしていない。ツンデレすぎる。ああ、次の「雨」でしっとり終わるんだと思ったその刹那、爆弾が投下される。

長岡氏「新曲持ってきました」

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ここ最近のペトロールズ、および長岡氏ソロの音源リリースラッシュご存じ?ペト以外にもサポートミュージシャン界隈で忙しいの知ってるよ、私たち。新曲いつ作ったん??ペトロールズ勤勉すぎる。ありがとう、ありがとう。アルバムはよ出してくれなんて高望みしないよ私。しかも新曲のイントロ、めっちゃかっこいい。え?なにその音?ペトロールズのギターでそんな事変っぽい音でるの?作ったの長岡氏でしょ?と、ここまで怒涛の感想が脳内1秒で展開される。良かったです。。。

楽しい時間はあっという間で、2時間以上経っていても足は全く痛くならず、体は燃えるように熱く、年末に最高のプレゼントをもらってしまった。ペトロールズのライブはいつ行ってもすごく楽しいけれど、今回の野音はなんか、ダイレクトに刺さってしまった。シチュエーション・コンディション・音・構成、なんかもうすべてがど真ん中だったんだ。こんなライブ年に1回あるかないかだ。ありがとう、ペトロールズ。来年も絶対に遊びにいくからね!

おわり。


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