TRPG100『ないシナリオ概要選手権第1.5回』で考えたことをまとめるだけ

※この記事はTRPG100の人間でないとなんのこっちゃわかりません。

【この人生はフィクションです。】

タイトルを見たときまず考えたことは、
「そもそもTRPGそのものが強くフィクションを内包するのに、さらにシナリオでフィクション要素を扱うのか……。」
でした。

TRPG内でフィクションを扱う以上はそれが二重のフィクションであることをプレイヤーに伝えられなければなりません。
ただただフィクションの中でフィクションをやったところでそれはただのフィクションで、二重フィクションにはならないだろうってことです。
段ボールの中にただ段ボールが入ってたとき「この段ボールいる?」って思うのと一緒です。

肝心のオチで
「これは現実ではありませんでした。残念。」
って言われても、めんどくさいオタクたる私にしてみれば、
「いやそもそもTRPGなんだから現実じゃないでしょ……。」
ってなるだけなんです。
シナリオに入り込めない逆張りオタクで申し訳ありません。

しかし、シナリオ内で『現実』と『非現実』の2つを用意して『現実』を強く意識させることができれば、この『非現実』は二重フィクションになります。
段ボールの中に2つの段ボールが入ってれば「これは2つの段ボールをまとめるための段ボールなんだな」とわかるので意味が出ますよね。

「これは現実ではありませんでした。そして現実はこうでこうなります。」ってフィクション後も続いてくれればめんどくさいオタクたる私でも「このTRPGではそうなんだな……。」と得心がいくわけです。


ではなんのためのフィクションであるか。
フィクションでない部分の人生は、フィクションを経てどうなるのか。
ここを詰めていかなければなりません。

そこで私はこのフィクションを、『今後現実に起こることへのシミュレーション』として利用することにしました。
そうすればフィクションで得た経験を現実で活かすという、筋の通ったルートを辿ることができますし、タイトルの『は』を活かすこともできます。

でもただそれをやるだけでは規模が小さいし、そんなことをTRPGでやるのはとてもしょーもないので、どうせなら人間が滅ぶレベルがいいなと思いました。発想が極端。

しかし人間が滅ぶレベルの大問題。
それが自然災害なら解決のしようがありませんし、それが人為的なものなら実行までに長い準備期間が必要で、その間に数多くの人間が解決に動くでしょう。

それじゃあ全くヒロイックじゃない。
TRPGの主人公は俺だぞと。
俺にカッコいいことさせろよと。

なので折角のTRPGですし、システムはCoCにして弱めの神話生物にでも人間を滅ぼさせればいいじゃないか。そしてそれを解決すれば最高に主人公になれるじゃないか。そう思ったわけです。
ですがそんなのを解決できるのはその辺の一般人ではないだろう。もっと日頃から訓練を行っており戦闘に慣れている人間だろう。そう思い至ります。

ああ八方塞がりだ、この路線ではダメかと原点に立ち返ろうとしたとき私は思い出しました。
存在するだけであらゆる無理をも実現できるような、CoCプレイヤーの最低九割は知っている最も便利な神話生物。

そうですニャルさんです。

奴ならば「人間の問題だし人間が解決すりゃええやろ」と思ってくれるだろう。
奴ならば「でもただ蹂躙されたらかわいそうだし一回チャンスあげよ」とか考えてくれるだろう。
奴ならば「でもちゃんと解決できる力をもった人間を選んでもしょうがないし、ギリギリ解決できるくらいの人間を選んじゃお」とほくそ笑んでくれるだろう。

みなさん、ニャルをそんな便利アイテムかのような目で見ていませんか。見ていますよね。見てるんですよ。私もです。

ということでニャルに都合のつけづらい部分を丸投げして完成したのがあれです。

シナリオ内の非現実が「世界が滅びる」、シナリオ内の現実が「マジで世界が滅びるから非現実での体験をもとに世界を救う」といった感じ。
ですが本当に世界を救うことができたかは想像に任せるかたちのエンディングを想定しています。
すっきり終わるより、後味悪めで想像の余地を残すほうがTRPG、特にCoCっぽくて良くないですか?

なのでこのシナリオは、フィクションで世界を救うことにギリギリ失敗して、ニャルに「次は現実だから頑張ってみてよ」と言われ、先程までニャルに見せられていたフィクションの導入と全く同じ描写をして終わります。

あなたたちをカッコいい主人公にしてはやりません。
残念でした。



【一息に舞う】

安直アレルギーなのでこれのシナリオ概要で『一息』と『舞う』関連の言葉を使わないことを心に決め、どのようなシナリオにするか考えていくことにしました。

「舞う」という言葉は主に「踊ること」と、「宙を舞う」「舞い散る」から連想してか「重傷を負う、事切れることの隠喩」のどちらかで使われるケースが多いように思います。

TRPG的な観点から言えば、人間を後者の意味で『舞わせる』ような力を持ったバケモンなぞいくらでもおりますゆえ、この『一息に舞う』の『舞う』は後者の意味合いで使われているのではないかと考える人も多いのではと思います。

しかしそれはあまりにもこのタイトルを製作した誰かさんの思う壺。
意外性があってこそのシナリオ概要選手権。
「こんな解釈が……!」と思わせてこそ文字書きというものでしょう。というのが建前。

逆張りを信条に四半世紀を生きたミソッカスオタクとしては、死んでもそんなストレートな誘導に乗っかってやるわけにはいかんというのが本音でありました。

ではこの『舞う』をどのように解釈していくか。
『舞う』をシンプルに前者の意味で使ってしまえば、タイトルの深さが損なわれてしまう。しかしクソほど個人的で稚拙な理由により後者の意味で使いたくはない……。

悩みに悩み、なにも思いつかなくなったので『舞う』を一度置いておき、『一息に』という部分にスポットを当てて考えてみることにしました。

この『一息』は名詞であり、解釈の幅があるわけではない語句です。
また、日本語は大変曖昧な言語なので、助詞が多少違おうが意味が通りますし、それなりに伝わります。そこで『に』も無視して考えることにしました。

では『一息』からなにが連想できるか。
小学生時代スイミングスクールに通っていた自分はまず真っ先に『水』にたどり着きました。

水中において人間は基本的に酸素を得られません。
水上で息をいれ、その呼吸分の活動を水中で行い、水上に戻る。
これを繰り返さなければ人間は生きていくことができません。

水は人間の生活と密接に結び付いた物質でありながらも、人をも殺す脅威になりうるということです。
恐怖する心が怪異を生み出すのならば、水が怪異になり得ない理由はないでしょう。
システムはエモクロアで決まりです。

では先ほど置いておいた『舞う』をどう処理するか。水中で舞うようなものってなにかあったか……?

『シンクロナイズドスイミング』があるじゃないか。

これならば一息で舞えるぞ。
シンクロで水中で舞う部分といえば犬神家パートくらいしかないから一息で舞ってるとは言いづらいけどここまできたらそこには目を瞑ろうじゃないか。
他にいい案が出る気がしないんだ。許せ。

ですが『シンクロ』だけではTRPG的に少し難しい。
キャラクター同士の関係性を設定する上で『シンクロで繋がった関係』を強いてしまっては、キャラ作成におけるシンクロの比重が大きくなりすぎてしまう。
しかも戦うべき相手が『水への恐怖心から生まれた怪異』です。シンクロで関係性を広げるような人が水に強く恐怖するでしょうか。そんなわけがありません。
さらにシンクロはあまり身近な競技ではないため、プレイヤーのロールプレイもぎこちなくなってしまうでしょう。

ではどうすればよいか。
学生の部活としてシンクロを取り扱えばいいんです。

部活動としてならばキャラ同士の関係性は「たまたま同じ学校で同じ部活に入った」で問題ないためフレーバーを差し込む余地ができます。
部活動としてならば「水への恐怖」と「失敗できないことの恐怖」が混ざり、戦いもより緊迫したものになります。
部活動としてならばロールプレイを自身の他の体験で補いつつ行えます。
完璧だ。

ようやく全ての問題点を解決して一本筋の通ったシナリオになる展望が見え、無事、概要に『一息』『舞う』関連の言葉を使わずに提出することができました。
これこそが逆張りオタクの生きる道。

深いなぁ……。

水だけに。



【時は止まらない。明けない夜はない。】

一見すると深そうなんですけど、めちゃくちゃ普通のことなんですよね。
時が止まることはないし、太陽がそこにあり、地球が自転公転をしているならば夜は明けるものなんですよね。

ではこのシナリオ名にはなんの意味もないかと言われればそんなことは決してありません。
標語やことわざなんかも普通のことしか言ってないものが多いんですが、それはその『普通のこと』が大切であるからです。
大切なことだからこそ、当たり前のことでも脳に刷り込んでおく必要があり、
そうやって大切なことを先人から引き継いできたからこそ、それが当たり前になっていくものです。

つまりこのシナリオ名は『夜が明けること』が大切であるわけです。

太古の昔、火を得るまでの人類から見た夜は、ただ恐怖に怯える時間だったと言います。
今だって程度は変われども基本は同じ。夜は視界が通らず、いざというとき助けを求める相手は少ない。

そこからか『夜』という言葉には恐怖感や不安といったネガティブな要素が含まれる場合が非常に多いです。
その『夜』を明かし、光を得ることがこのシナリオの終着点となるでしょう。

となればよかったものを、私の脳裏に一つのアイデアが走ります。

『いや朝をタイムリミットにしたらむしろ面白くないか?』

ここから話は難航するかと思いきや、存外こういう時ほどアイデアとは降りてくるもので、

『朝の描写を入れて「タイムオーバーです」なんて言ってもなんだか現実味がないしつまらない。どうせなら現実の朝をタイムリミットとしよう。』
『それならば分割プレーはよくないな。一気に進めてもらうための注意書きも入れなくては。』
『朝と言っても国によって時間が異なってしまう。居住地は日本で固定にしよう。』
『ああ、そういえば日本では■■■■■があるな。それを使って特殊ギミックを作ろう。』
『光といえば■■■だよな。そういえば■■■■に■■■があったな。朝がタイムリミットである理由はそれでいくか。』
『そうだ。■■にも■■■■■■しよう。それならシナリオ開始時刻は22時半が好ましいな。』

って感じで脳内で次々に組上がりました。朝をタイムリミットにする案が浮かんでから5分もかからなかったと思います。

そんな感じです。

そのうちちゃんと書こうと思ってます。
大まかな流れは決まりきってるんですが、細かいイベントを考えるのが一番めんどくさいんです。




ということで上記3つについて考えたことを書きました。
ICBMは書けませんでした。タイトルに全てがつまってて、逆張りオタク的にいじるのがどうにも難しかったんです。

とても楽しいイベントでした。またやりたいですね。

おわり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?