世界陸上のパラ版、世界パラ陸上が神戸で開催中
世界パラが神戸で
TBSが世界陸上を取り上げ、人一倍陸上熱を持った織田裕二氏がMCを勤めたことにより、日本での陸上の認知が広がりました。世界のヒーローが4年に1回オリンピックだけでなく2年に1回世界陸上でも取り上げられたことも、陸上人気に大きな影響を与えてきました。その世界陸上のパラ版でもある世界パラ陸上選手権大会が5月17日から神戸で開催される。残念ながら知っている人はあまりいませんでした。
そもそも競技人口を比較してみると、たとえば100mの世界陸連のランキングに載っている選手だけ見ても、男子が4500人、女子が4200人なのに対し、世界パラ連の100mのランキングは障害種・重度別28のクラスに男子では少なくて8名、多くても100名ほどの選手しかおらず、女子はもっと少ない状態です。そのため、異なる障害のクラスを一緒にして競技を行うことも少なくないです。
競技人口だけみてみると、圧倒的に健常アスリートと比べると少ないですが、世界記録の差を見てみると、実はそこまで大きくありません。またタイムや記録だけでなく、義足や車椅子など用具を使用したり、ガイドランナーとのコンビネーションのようなパラ陸上特有のおもしろさもあることが魅力となっています。
せっかくなので、東京パラリンピックの時のように独自目線での注目選手紹介をしようと思っていたのですが、残念ながら選手のエントリーリストは今だ公開されておらず、前日や当日にならないとオープンにならないようなので、すでに出場する選手の中から1名おもしろい経歴の選手の紹介をします。
異端児ブレイクリーパー
アメリカ代表、ブレイクリーパー選手は先天的に両足下腿がなく、小さな頃から義足を使用していました。初めて世界の舞台に立ったのがロンドンパラリンピックで、100mで5位、200mで銅メダル、400mで銀メダルと輝かしい記録を残しました。
暗黒期
2015年にはコカイン使用によるドーピングによって2年間の大会出場停止処分がくだされることになりましたが、パフォーマンス向上が目的でないことから、1年間に短縮されることになりました。その1年後リオパラリンピックのアメリカ代表選考レースにも出場し、そこでも見事100mで2位などになり、リオパラリンピック出場権を獲得しました。
1位になったのはXiborgではお馴染みのJarryd Wallace選手、2位に入ったブレイクリーパー選手の義足がゴールの時に義足が脱げて転んでいるのが印象的なレースでした。しかし、その直後スポーツ仲裁裁判所は、彼のドーピングにより大会出場停止処分をもう1年継続させるとし、リオパラリンピックへの出場は叶いませんでした。
オリパラ両方出場への夢
その後、ブレイクリーパー選手はオリンピックとパラリンピックの両方への出場を目指し、精力的にレースに参加することになります。2018年には日本で開催されたゴールデングランプリの100mにも招待され、後半の驚異的な追い上げとまたしても義足がゴール付近で脱げて転んだことに会場も盛り上がりました。
そして2019年、驚くべきことに彼は400mを44.38という驚異的なタイムを打ちたて、パラだけでなく健常トップアスリートの中に入っても遜色のない走りをするようになりました。このタイムは日本記録を大きく上回る記録です。そして、その年のアメリカの世界陸上代表選考会でもある全米選手権にも出場し、400mで5位に入賞しました。
このレースの1位がフレッドカーリー、2位がマイケルノーマンであることからもレベルの高さがわかるレースです。5位に入賞したブレイクリーパーは4x400mのリレー代表に名前を一度は連ねたのですが、義足が長すぎる、有利ではないかという理由から世界陸連から出場の許可は降りず、出場は叶いませんでした。
東京オリンピック、パラリンピック両方の出場を目指すブレイクリーパーはスポーツ仲裁裁判により2021年オリンピックへの出場ができないという判決なされ、オリパラ両方への出場の夢は消えてしまいました。
https://www.tas-cas.org/fileadmin/user_upload/Award__6807___for_publication_.pdf
パラリンピックへ
そして2022年、ブレイクリーパーは新たに世界パラ陸連の規制通りのスポーツ義足を使用しはじめ、再びパラリンピックへの出場を目指すことになりました。ここからXiborgのサポートが始まりました。
そして2023年、ブレイクリーパーは見事7年ぶりにアメリカ代表に復帰、その年のパリで開催された世界パラ陸上で2位となり10年ぶりメダル獲得を達成しました。
この、ブレークリーパー選手は今回神戸パラ陸上では100mと400mに出場する予定です。
5月19日(日) 100m 予選 17:49〜
5月20日(月) 100m 決勝 19:36〜
5月25日(土) 400m 決勝 18:07〜
5月26日神戸ランニングクリニック
神戸パラ陸上が終わった直後、5月26日9:00から神戸市みなとの森公園で義足ユーザのためのランニングクリニックを開催します。初めての方も大歓迎、ブレードの貸し出し・付け替えもも行います。そして、今回紹介したブレイクリーパー選手も今の所きてくれることになっています。ぜひこの先週に会いにきてください。
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