【#08山梨県3/16】支援施設の整備や自治体内の投資など!走り始めた山梨県のアクセラレーションプログラム
※この記事は約8分で読めます。約4000字
読んで欲しい方
・自治体施策を活用したいけど概要がわからない
・実証実験のメリットを知りたい
・どのような成果があるのか知りたい
山梨県アクセラレーションプログラムとは
山梨県が提供するアクセラレーションプログラムであり、『Try!YAMANASHI!実証実験サポート事業』と対を成すスタートアップ支援事業です。
本事業では金銭的な支援はありませんが、
・成果報告会までの目標設定や事業計画の策定
・約3回/月のきめ細かなメンタリングを専属メンターから受ける
(各企業の事業内容ごとに専属メンターをアサインいただけるだけでなく、より専門的な内容については個別でプロフェッショナル人材にメンタリングをしていただくこともできるようです!!)
・スタートアップ企業に必要なビジネス知識を全5回に分けてレクチャーを受ける(県内企業とのマッチング支援も本事業に含まれています)
対象となる企業はいわゆるシード期やアーリー期のスタートアップ企業に限らず、ミドル期のスタートアップ企業も対象となっており、門戸は広く開かれている事業です。
さらに、オープンイノベーション枠として地元の有力企業向けのプログラムも用意されており、企業内に存在している課題を提示し、解決策を有するスタートアップ企業とのマッチングによるオープンイノベーションを図っていくプログラムになっています。
今回は成果報告会にて全11社の発表がありましたが、その中でもいくつかの企業をピックアップして、事業内容や本事業を通じて得られた成果を紹介させていただきます。
採択企業全8社中3社の実施報告レポート
【スタートアップ企業】
株式会社アドダイス
AI開発を手掛けるスタートアップ企業であり、複数のプロダクトを有しているが、本事業では「ResQ AI」という、うつや不安などの心の不調リスクを評価するAIプロダクトの事業成長に取り組んだ。
●参加理由
既に山梨県が提供する実証実験サポート事業「Try!YAMANASHI!」にも採択されており、山梨県下で健康な高齢者/勤労世代にフォーカスして実証実験を行った経験がある。この実証実験を通じて、心の問題は喫緊の課題であると再認識し、更なる事業成長を目的として本事業に応募された。
●今後のアクション
既に実証実験の経験などから、「ResQ AI」によるリスク評価はうつや不安の予防に役に立つと期待できるレベルにある。
更なるエビデンスを重ねるため、現在は山梨県下の病院と協力して臨床研究の実施を検討中。
HOME - Gaia-X
GAIA-Xは22年9月に創業したばかりのスタートアップ企業であり、汚染された土壌の浄化を事業として行っている。
●参加理由
山梨県はリニア新幹線の開通や中部横断道の開通に伴うトンネルの採掘などによって大量の汚染土壌が発生してしまう。この汚染土壌は国内に現存している大型プラントで処理を行ったとしても40年は要する計算となっており、この問題をGAIA-Xが有する特許技術によって解決したい。
●今後のアクション
本事業の中では山梨県下のゼネコン・ハウスメーカーへの市場調査を中心に行ったが、この市場調査において毎週目標を設定しながら伴走支援を受けることが出来た。今後は24年の第一号常設プラントを山梨県下に設置することを目標に事業を進めていく。
KB-eye株式会社
KB-eye株式会社は本社を山梨県に置く地元のスタートアップ企業であり、人手不足が常態化している警備の現場にAIを導入していくことで、より安全で持続可能な現場を創っていくことを目指している。
●参加理由
警備会社を経営している中で、警備員が現場で事故の被害にあうを何度も目にしてきた。そのような不幸を減らしたい。さらに警備の現場では、職場イメージから若者の離職率が高く、人員不足が常態化している。この状況を打破したいという思いでKB-eyeを開発に至った。
既にプロダクトは開発しており、すぐに全国へ、海外へと展開を目指しても良いが、事業成長の形として先ずは地元の課題を解決し、実績を積んでから次のステップに進んでいきたいと本事業に参加。
●今後のアクション
今年度の売り上げは昨年度の5倍の事業進捗であり、山梨県のサポートのおかげで大いに実績を積むことができた。今後は国内の交通誘導警備市場においてシェアを広げ、さらに先の未来では自動運転化がなされた世界における交通誘導整備にも対応できるプロダクトを開発していきたい。
【オープンイノベーション実施企業】
株式会社アルプス
株式会社アルプスは創業47年目を迎える山梨県下の老舗企業であり、施設や店舗を運営することで、関わる全ての人をサービス・接客を通して幸せにしていくことを目指す総合サービス企業。
●参加理由
労働集約型のビジネスモデルであるため、人口減少時代を迎えたことで人財不足は喫緊の課題であるものの、まだまだ作業効率化、省人化は進められていないという認識があった。
また、こういった課題を画期的な方法で解決していくのはスタートアップという存在であろうと考えていたところ、今回本事業へのお誘いを山梨県からいただき参加に至った。
●成果
店舗運営のデジタル化・省人化/バックオフィスの効率化/農業へのイノベーション(閑散期の業務量の平準化を目指して)/空きスペースを活用したユニークな商品の販売の4つのテーマを募集し、16のスタートアップ企業から様々なご提案をいただいた。時間的制約もあるため選考を行い、無人店舗のソリューションを有する企業と県内初の無人店舗の実現に向けて事業を進めている状況。
●今後のアクション
時間的制約から本事業では1社を選定し、無人化店舗の実現に向けて準備を進めている。
本事業を越えたところでは5-6社との事業相談を継続しており、いずれもビジネスとして花開くことを期待している状況。本事業で非常にいい機会をいただけたと思っている。
xGメディア事務局まとめ
山梨県のスタートアップ支援事業は令和5年度の補正予算にて承認が得られる見込みとのことで、予算確定前のため明確な表現は避けられておりましたが、テストベッドの聖地として来年度も大きく動きがあるようです。
その中でも興味深い内容は「インキュベーション施設の整備」と「自治体による投資」です。
「インキュベーション施設」は、予算が通れば令和7年の開業に向けて整備を開始するとのことで、「自治体による投資」については自治体初の『投資する自治体』を掲げて、VCと共に協調投資を行っていくことも検討しているとのことです。
小さくコンパクトにまとまっている県だからこそ、スタートアップに寄り添いきめ細かな支援を実現している山梨県に今後も注目していきたいと思います!
本記事では山梨県のスタートアップ支援事業としては、『Try!YAMANASHI!実証実験サポート事業』と対を成す『やまなしスタートアップアクセラレーションプログラム』について紹介して参りました。
「メンタリング」「レクチャー」「マッチング」により、幅広い事業フェーズのスタートアップ企業に対して事業成長を促してくれる本プラグラムは、県外企業にも門戸が開かれており、今後ますます人気が高まっていきそうだです。