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【日本ダービー鉄の掟】(皐月賞6人気以下かつ6着以下の馬はダービー好走不可能)が1999年以来続く理由


◆1.【日本ダービー鉄の掟】とは

「皐月賞出走組は5番人気以内だった馬か皐月賞5着以内だった馬しか日本ダービーで3着以内に好走することができない」
という法則。

この法則は1999年以来続いています。

つまり、この法則を最後に破った例が1998年の日本ダービーでした


◆2.鉄の掟が最後に破られた1998年スペシャルウィークが勝った日本ダービー

武豊騎乗の1番人気スペシャルウィーク5馬身差で圧勝。
スペシャルウィークは前走皐月賞を1番人気に支持されながらも3着に敗れ、そこから巻き返して圧勝で優勝を飾りました。
まあそこはどうでもいいのですが(どうでもよくないが)

問題は14番人気2着のボールドエンペラーです。
そもそも日本ダービーで14番人気の馬が2着に来るというだけでもとんでもないのですが、3着も15番人気ダイワスペリアーという大荒れです。

※1998年の皐月賞の極端なトラックバイアスを生んだ現在と異なるコース変更ルール

ボールドエンペラーはスペシャルウィークやセイウンスカイ、キングヘイローらとともに前走皐月賞組で、9番人気6着に敗れています。

大外枠から不利な外を回して追い込んできて上がり1位で3着のスペシャルウィークと同じく外枠から不利な外を回して追い込んできて上がり2位で6着のボールドエンペラーが次走の日本ダービーで1着2着という、後になって考えると分かりやすい伏線が張られていた。

当週の中山競馬場の芝は週末に雨が降ったことで、皐月賞の前日は不良馬場。
晴れて徐々に馬場が回復して皐月賞は良馬場開催ではあったものの当日も途中まで稍重馬場で、当時のコース変更(仮柵の移動)はG1開催時であっても、外から内に移動することもあった。
つまり、この時のように天気が荒れて馬場が荒れ、徐々に馬場が回復していく中でコース変更した場合、内の馬場だけが完全に綺麗で、外の馬場は荒れている状態、いわゆるグリーンベルト(内側の芝だけが綺麗な状態)が生まれてしまい、そのようなトラックバイアスの場合、内枠から先行すれば常に綺麗な馬場を走れる上に、距離ロスも少なく完全に有利な状態で走れます。
逆に外枠を引いた場合、ただでさえ距離ロスがある上に、常に内枠の馬より荒れた馬場を通らされ、圧倒的な不利を被り続けることになります。

この圧倒的な不利を被った結果、大外枠を引いた上に外を回って追い込んだスペシャルウィークは皐月賞で敗れてしまいました。
逆算すれば圧倒的不利を被っても僅差3着まで追い込んできたスペシャルウィークがダービーで逆転するのは当然でしたし、同じく6着とはいえ不利を被っても見所ある末脚を見せてきたボールドエンペラーも次走の日本ダービーでパフォーマンスを上げてくるのは当然でした。

まあ比較的外枠でも僅差2着好走のキングヘイローのように先行していくか、もっと早仕掛けしてロスを減らせばスペシャルウィークの絶対能力とスタミナなら不利を軽減させて勝つこともできたと思われますが、武豊騎手は当時ダービー未勝利だったため、スペシャルウィークには常にダービーのための走りを教え込む戦法なので仕方なかったようです。
まあ今でも2022年ドウデュースなど、ダービー前哨戦仕様の差し届かない皐月賞騎乗をよくやっていますが。

つまり、スペシャルウィークのダービーのパフォーマンスの高さを考えても、皐月賞で外枠を引いた上で外を回ってきた馬の不利は圧倒的だったことが推測でき、そのため同じく外枠を引いて外を回して皐月賞で9番人気6着だったボールドエンペラーも日本ダービーで大幅なパフォーマンス上昇を見せたといえます。

◆3.日本ダービー鉄の掟が何故1999年以降続くのか

※1999年からG1開催週直前の不公平なコース変更は行わないようになった

1998年皐月賞の後、馬場の不公平さについて、武豊騎手や白井壽昭調教師らスペシャルウィーク陣営は抗議したといいます。
その結果、翌年1999年からG1開催直前のコース変更のルールが見直され、グリーンベルトが生まれやすい外から内への仮柵移動をG1開催週に行うことはなくなったようです。

つまり、このコース移動のルール変更が行われたのが1999年から
まさに日本ダービー鉄の掟とはコース変更のルール改正後の歴史を表しています。

1998年皐月賞のような極端に能力を見誤るような不公平なトラックバイアス・展開による結果が生まれにくいルールに変わったことで、皐月賞以前の段階で6番人気以下かつ6着以下の馬は、ダービーで盛り返してくるだけの未知の要素を発揮できなくなったと推測できます。

つまり、1998年皐月賞のボールドエンペラーのような、圧倒的不利な中でも6着まで盛り返してきた"実は強い馬"が、1999年以降の比較的公平に改正された後のルール下では、当たり前に皐月賞で5着以内に好走できてしまうようになったのでしょう。

おそらく1999年以降のルールで1998年の皐月賞が行われていたらスペシャルウィークは大外からでも弥生賞のごとく悠々と外を回して追い込んで皐月賞を快勝し、ボールドエンペラーも同じく悪くとも追い込んで皐月賞5着以内に入っていたでしょうし、もしかしたら3着争いまでしていたかもしれません

そうなるとボールドエンペラーは皐月賞5着以内の馬に該当してしまうため、日本ダービー鉄の掟の通り、皐月賞5着以内の日本ダービー好走可能性が高いデータに合致し日本ダービーでも好走できる馬と見なされることになり、14番人気まで人気を落とすことはなかったでしょう。


◆4.2024年の日本ダービーとボールドエンペラーの再来は生まれるか

(1) 自作自演の圧倒的不利被害馬ビザンチンドリーム

個人的にはビザンチンドリームに注目しています。
ビザンチンドリームは皐月賞では大きな出遅れ4コーナーでの不利を受けて13着惨敗
ビザンチンドリームは人気も8番人気だったため、日本ダービー鉄の掟で考えると、皐月賞で6番人気以下かつ6着以下だったので日本ダービーで3着内に入れる確率は0%になってしまいます。

ただ、2024年皐月賞は結果的には先行・中団の馬が有利の展開になり、出遅れてなくても後方から外を回すような馬にはチャンスがない展開のレースだったので、ビザンチンドリームは元々後方追込戦法かつ、出遅れている上に、4コーナーでも不利を受けているので全くまともにパフォーマンスを見せられなかった可能性があります。というか、それしか鉄の掟に抗える可能性がありません。

今年の3歳牡馬世代はレベルが平均的に高く、頑張って5着前後かもしれず微妙な所ですが、ボールドエンペラーに似てる所が他にもあります。
ボールドエンペラーはダービーの前にきさらぎ賞でもダービー馬スペシャルウィークの2着に入っています。
ビザンチンドリームきさらぎ賞に出走して優勝しています。

個人的には皐月賞でも頭まで含めて注目していた馬なので、鉄の掟で完全に諦めたくないと思っています。


(2) 皐月賞競走除外(除外直前11番人気)のダノンデサイル

ダノンデサイルは皐月賞は出走直前で除外となり未出走なので、厳密には鉄の掟に該当しません。
出走すれば11番人気前後で、ほぼ間違いなく6番人気以下だったとはいえ、基本的に先行できる馬なので、無事なら5着以内に入っていた可能性もかなりあります。
11番人気とはいえ、当時の巷の評判は割と良い印象で結構本命指名している人を散見した記憶があるので、11番人気だったことが驚きです。
京成杯では日本ダービーで5番人気以内に入ると思われる皐月賞4着のアーバンシックに先着しているので、実績的にも皐月賞を好走していても驚きはありません。

ダービーも正直予想してて簡単に消せると思える馬が全然いないので、かなり平均レベルが高いというか、粒揃いで個性のある面白い世代だと思います。
王道種牡馬(ディープ、ハーツ、キンカメら)産駒がいない種牡馬戦国時代に入った影響もあると思いますが、そういう意味でも今年久々に鉄の掟が破られるかもしれません。


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