2023年東京優駿(日本ダービー)回顧

結果

1着 消 タスティエーラ D.レーン騎手
2着 ▲ ソールオリエンス 横山武史騎手
3着 ★ ハーツコンチェルト 松山弘平騎手
4着 △ ベラジオオペラ 横山和生騎手
8着 ○ ファントムシーフ 武豊騎手
17着 ◎ スキルヴィング C.ルメール騎手
落馬競走中止 △ ドゥラエレーデ 坂井瑠星騎手

個人的にも本命にしていたスキルヴィング号が入線後に倒れ、結果的に急性心不全で亡くなるという事故が起こり、後味が悪さが残るダービーになってしまいました。
今回に限らず今後の成長と活躍が期待される素質がある馬でしたし、青葉賞で下しているハーツコンチェルトが僅差3着に善戦しているのを見ると、彼が無事ならダービー馬になれたのではという夢を見たくなります。
とにかく残念で言葉が見つかりません。

また、スタート直後に落馬した坂井瑠星騎手ドゥラエレーデも心配でしたがそちらは人馬ともに(ほぼ)無事な様子で良かったです。

レース自体は前述のこと以外にもペースや位置取りなど予想外のことが起こって、レベル云々はともかく期待した通り面白いレースでした。10回やり直せば10回とも違う展開と結果になるかもしれません。
皐月賞が重馬場開催でありながらハイペースになったのとは対照的にスローペースになり、良馬場のダービーとしてはかなり遅い時計になりました。

無敗の三冠馬になる怪物かと思われたソールオリエンスは結果的には僅差2着で強さは示しつつも不完全燃焼の競馬でした。
騎乗内容によっては勝てたということで賛否があるものの、現状では仮にやり直したとしても勝てる可能性はそんなに高いわけではない気がします。
仮にソールオリエンスがもっと上手く立ち回ってタスティエーラをかわすことができたとしても、ハーツコンチェルトももっと上手くいっていればその上をいった可能性があり、そしてスキルヴィングが無事なら突き抜けていたかもしれません。

オークスとダービーのタイム差

馬場状態:どちらも良
オークス 2:23.1 -2.1秒 リバティアイランド
日本ダービー 2:25.2 +2.1秒 タスティエーラ

1980年以降では史上4例目のオークスの勝ち時計がダービーより早い年となりました。
現状では、結局今年のクラシック世代の牡馬はレベルがあまり高くない、または牝馬のレベルが高いという可能性を示唆する結果です。


従来のデータやジンクスの結果

①サドラーズウェルズ持ちの不振→×

母父父父サドラーズウェルズのソールオリエンスが2着に入りましたが、勝ちきれなかったという点で同じく人気を背負って2021年2着のエフフォーリア(父母父父サドラーズウェルズ)と同じような結果に。

②青葉賞組は勝てない→△

青葉賞2着ハーツコンチェルトが3着好走。勝てませんでしたが久々に青葉賞出走馬が馬券内に入りました。スキルヴィングが無事であれば…。

③テン乗り騎手は勝てない→◎

テン乗りのD.レーン騎手鞍上のタスティエーラが見事優勝し、69年振りにテン乗り騎手を乗せた馬がダービーを制しました。

④皐月賞組は皐月賞5番人気以内or5着以内の馬しか3着内入らない→×

1着は皐月賞2着タスティエーラ
2着は皐月賞1着ソールオリエンス
3着は皐月賞未出走のハーツコンチェルト
4着は皐月賞3番人気10着のベラジオオペラ

ハナ差4着のベラジオオペラが3着に入っていても皐月賞3番人気の馬ということですから、この法則は1999年以来未だ継続になりました。
今後もなかなか覆す馬は出てこなそうです。

各馬感想

1着 消 タスティエーラ D.レーン騎手

レーン騎手はテン乗りでダービー制覇。それ自体はタスティエーラとレーン騎手は手が合いそうでしたからそんなに驚きではありません。

タスティエーラが皐月賞で最も強い競馬をしたことは分かっていたものの、だからこそ内容的にも、状態的にもダービー制覇に足りないと思いました。
もしソールオリエンスが差し届かずに勝ちきっていたとしても、ダービーでは難しいのではと思ったのですが…。
結果的には展開も向きましたが、その上で展開に対応した好騎乗で見事な勝ち方でした。

あと日本のスピード競馬には合う印象が薄いサトノクラウン産駒というのも印象を下げて消していました。サトノクラウン自体が凱旋門賞出たら良かったのにと思うくらい、当時の現役最強馬キタサンブラックが惨敗した2017年宝塚記念で勝ったり、不良馬場になった天皇賞秋で僅差2着と好走したり、海外G1香港ヴァーズを勝つなど、日本の主流条件から少しずれた所に適性を持つ馬でしたから、その産駒となるとダービーは合わないかと思っていました。

僅差ではありましたが皐月賞と併せると2戦連続連対、どちらも強い競馬をしてるので現状3歳牡馬の最強馬はこの馬だと思います。

2着 ▲ ソールオリエンス 横山武史騎手

横山武史騎手はまたもや僅差2着と残念な結果。
しかし見た目ほど惜しくないというか、2021年のダービー2着エフフォーリアに関してはもし記憶を持った上でレースをやり直せるなら8割以上勝てそうな気がしますが、ソールオリエンスの場合はそう簡単な話ではないように思います。
進路や追い出しのタイミングなどもあって期待したほどの脚は使えなかったとはいえ僅差2着なので十分強いことは証明していますが、現状では皐月賞のパフォーマンスの見た目ほど強い馬ではないことも匂わせた内容だったと思います。

2019年サートゥルナーリアはダービー勝つ前から「ダービー勝って凱旋門賞行く」という宣言がされていましたが、そもそも皐月賞でもそれまで手が合ってたように見えたデムーロ騎手から謎の乗り替わりでルメール騎手で皐月賞、そこはなんとか勝ったものの、そのルメール騎手がダービーは騎乗停止で乗れなくなったらデムーロ騎手に戻したり日本の騎手にするのではなく短期免許騎手で当時はまだぽっと出の感があったダービー初騎乗のレーン騎手を起用するなど、ちょっと競馬界を馬鹿にしたような扱われ方で、本番では出遅れたや暑さによる発汗の影響もありますが4着に負けてしまいました。

2023年今回のダービーもソールオリエンスは関係ないかもしれませんが、皐月賞の後に「今回はダービー優勝馬の関係者が馬車パレードを行う」という発表が出ました。
皐月賞前までは「今年の3歳牡馬はレベル低い」「今年の3歳牡馬は混戦」という前評判だったのが皐月賞後に一気に「ソールオリエンスは怪物」「ソールオリエンス1強」みたいなムードに変わっていて、その上でのこの発表だったので、なんだかソールオリエンスの関係者でパレードをやる青写真を描いた上でという印象を個人的に受けて、少し嫌な予感がして、それで本命にしなかった部分もありますが、案の定、期待したパフォーマンスになりませんでした。

3着 ★ ハーツコンチェルト 松山弘平騎手

ディープインパクトやハーツクライ、キングカメハメハなどのダービーに向いた主流種牡馬の産駒が少なくなり、血統的には有力といえるのはこの馬だけでしたが、見事に好走。
個人的にももっと高評価したい所もあったのですが、前走の青葉賞で結構力を出し切っての2着というのが不安要素でした。しかし結果的には松山騎手の好騎乗もあって、展開や立ち回り次第では勝ち負けもあったという走りを見せました。
今後の成長次第では世代の頂点も目指せる馬かもしれません。

4着 △ ベラジオオペラ 横山和生騎手

皐月賞人気を背負って完敗からの逆襲で4着とはいえ好走してくれました。
横山和生騎手は横山武史騎手をアシストとかではなく自分が勝つためにいい騎乗してくれたなと思います。

8着 ○ ファントムシーフ 武豊騎手

武豊騎手としてはドウデュースのように弾ける末脚を想定してたかもしれませんが、ペースの遅さもあって持ち味を活かせませんでした。
思った通りというか、懸念したとおり後方からのレースとなりましたが、ハーツコンチェルトやスキルヴィングらと共に上がっていけるタイミングはあったもののそれを活かせず。
皐月賞1~2着馬がダービーも好走しただけに皐月賞3着のこの馬ももっと見せ場を作ってほしかったなと思います。

17着 ◎ スキルヴィング C.ルメール騎手

とにかく残念としかいえません。
後から思えば、出走が確定するまで時間が掛かった所など、状態面に不安があったのでしょう。
道中の雰囲気は悪くなかったものの直線に入ってから沈んでいき、ゴールの後に悲劇が起こってしまいました。
共に位置を上げていっていた青葉賞の戦友でもあるハーツコンチェルトが僅差3着まで来ているのをみると、この馬が無事なら勝ってた可能性があるのではと思います。

落馬競走中止 △ ドゥラエレーデ 坂井瑠星騎手

ハーツコンチェルトと並んで、ドゥラメンテ産駒のこの馬も主には血統で評価しました。
海外ダートのUAEダービーを経て参戦というローテーションは不安があるもののホープフルSを勝っているG1馬ですから、別に評価してもおかしなことはないわけで混戦模様の今年の3歳牡馬路線なら十分好走もあると思いました。
しかし結果的にはスタート直後に躓いて騎手が落馬。騎手も馬も無事だったので良かったですが、残念でした。

ただ、この後に3歳で宝塚記念挑戦を視野に入れているということで、イクイノックス1強の雰囲気が漂う宝塚記念の楽しみが増えそうで楽しみです。


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