どこで道を踏み外したのか

腕には無数の傷跡、OD薬は一箱満杯、瀉血用針はいつもスタンバイ、壮絶ないじめを受けることもなく、両親の愛情を一身に受けて、僕はなんでこんな「人生から降りた」人間になってしまったのか。
明日もメスで腕切る予定だ。解雇も怖くない。どうせ死ぬのだから、が脳内でこだましている。それはもう数十年。早くタヒにたい、早くタヒにたい。エレベータの調子が悪い。いつか僕を乗せている時に落下しないか夢見ている。
はやくベゲタミン飲みたい。ラボナ飲みたい。人生。明日はハシゴ先の病院でロラゼパムとゾルピデムをもらう予定だ。早く殺してくれ。ここにはなんにもない。なんにもない。激越な虚無だけが全てを飲み込んでいく。
目を開くと雑音がすごい。この全てを終わりにしたいという気持ちが激しく強い。僕が死んだら僕の世界は無に帰する。それがどうしようもなく救いだ。物質に救われたい。夾竹桃は僕を殺さなかった。カフェインは僕を殺さなかった。何が僕を殺してくれるのだろう。バルビツール、バルビツール、バルビツール。死にたい。近々20Fのマンションに引っ越す予定だ。だめならそこから飛び降りよう。もう無理だ。何が無理なのかわからないけれど無理だ。殺せ、殺せ、殺せ!「理屈じゃないんだよ」じゃないんだよ、「早まるな」、って10年以上熟慮しても言われる、お前らの声はみんな雑音だ。せめて静かに殺してはくれないか。

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