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急性腎盂腎炎(きゅうせいじんうじんえん)で入院した話

膀胱炎を悪化させ、32歳の時に急性腎盂腎炎で5日間入院しました。症状が出てくる前から退院までをつづります。

快復した今は「あんな思いは二度としたくない」と思いますし、他の方にも同じ思いはしてほしくないです。

2018年7月頃
仕事は基本的に内勤です。当時は仕事が忙しかったこともあり、PC作業が捗り始めると尿意を感じてもすぐにはトイレに行きませんでした。

もともとお手洗の回数が多いほうではなく、

「いまキリの悪いタイミングなんだよな。この作業が落ち着いたらトイレ行こう。」

という感じで尿意をコントロール(してるつもり)する日々でした。

暫く尿意サインを無視していると、ある時から排尿時、尿道が痛むんです。痛い、でも排尿しないと。あぁ痛い。の繰り返しです。

その当時は、「あーコレが膀胱炎というやつか。面倒くさいことになったな。」

初めての経験でした。しかし良く聞く名前だし、勝手に自己診断して病院にも行かず、ドラッグストアで簡単に手に入る膀胱炎治療用の薬も入手しませんでした。

我慢していればそのうち治るだろう、早く痛みも引くといいな、という安直な考えで過ごしていました。

2018年8月
あっという間に過ぎる毎日。ふと気がつくと例の排尿時の痛みも無くなっていました。

「あー良かったぁ。膀胱炎治ったんだぁ。」

安直な考えです。結論から言うと治っていないどころか、むしろ悪化していました。膀胱で痛みが出た段階で対処していれば良かったのに、細菌は音もなく腎臓のほうに移りつつあったのです。

表面上は排尿時の痛みが消え去り、一見良くなっているように見えました。

2018年9月
腎盂腎炎の影がじわりじわり登場します。

9月中旬には友人の結婚式があり、仕事が忙しい中でも楽しく過ごしていました。

結婚式に参加した翌日、若干の気だるさを感じていると、夜に発熱しました。38℃くらいだったと思います。

「え?風邪?」

まだ残暑を感じる9月でしたし、もともと風邪もほとんど引かないタイプでした。

夏の疲れが出たのかなと思い、解熱剤を飲んで1日過ごすと、翌日には37℃くらいまで下がりました。気だるさもなくなっています。

当時は数年後にコロナウィルスが猛威を振るうことなど微塵も想像できず、熱が下がったからもう大丈夫、と予定していた買い物に出かけました。

その晩、また発熱しました。翌朝、熱は少し下がり、まだ病み上がりだったかなと思いながらも、その日は家族の住む関西に移動予定でした。

散々迷いましたが、もし休養するなら家族と一緒に一つ屋根の下にいたほうが安心すると思い、家族の了承も得て移動することにしました。

昼間に新幹線で移動、新大阪駅に到着しました。

在来線へ乗り換えようと移動していると、徐々に体がゾワゾワしてきました。悪寒です。

「ん?だるくなってきたな。嫌だな。」

と思っていた矢先、とにかく数分も経たないうちに寒くて寒くて仕方なくなるほど悪寒が全身を駆け巡りはじめます。

なんとか在来線に乗り換えて座りましたが、悪寒が止まりせん。もう戦慄です。

止めようと思ってもコントロールできず、震えが止まらないのです。あの時隣に座っていた人、きっと驚いたと思います。ごめんなさい。

歯をガタガタ振るわせ、冬でもないのに震えが止まらない。

とにかくこのワケの分からない寒さをどうにかしてくれという思いでした。最寄駅までの時間が永遠かのよう感じられ、とにかく頭が混乱していて何も考えられませんでした。

9月、まだノースリーブで過ごせるほど暑い日でしたし、実際にその日は軽装で移動していました。

新幹線に乗車していたほんの20分前まで元気だったのです。それがものの数十分でこの有り様です。

戦慄は止まらずもなんとか最寄駅に到着し、いつもならバスで帰宅していましたが、その日は悠長なことは言っていられません。

タクシーに乗り込み目的地を伝えます。走り出すタクシー。

寒い。残暑ですが、とにかく寒い
まだ9月なのに、私だけ寒い。

奇妙に思われることを承知でドライバーさんに寒いので冷房を切ってくれとお願いしました。あまりの体調の悪さに驚きながらもスイッチを切ってくれ、心配もしてくれました。

あの時のドライバーさん、驚かせてごめんなさい。文字通りのガクガクブルブルで、まともな会話も出来ずにひたすら家まで耐えました。

9月下旬 関西到着後
帰宅後はすぐに横になり、家族も看病してくれました。ただ当時は風邪を疑っていたため、私も家族も市販薬と睡眠で回復すると思っていました。

オシッコが原因なんて想像できなかったのです。

とにかく体調が悪いので食欲もなく、服薬、ポカリスエット、睡眠の繰り返し。

1日経過しても良くならないため、市立病院の夜間救急外来を受診しました。

当然ですが膀胱炎を発端としているとは誰も想像できず、念のためインフルエンザの検査をして陰性を確認しました。

「早めに日中の診察に来るようにね」と告げられると同時に解熱剤を処方されて終わりました。

帰宅後服薬して就寝しますが、体調は悪化します。
ポカリ生活が続きます。

帰宅後3日目になり、布団から這いずり出て近くのクリニックを探します。

この時、クリニックではなく夜間外来で訪れた市立病院を再訪し尿検査をしていれば尿検査で判明したと思います。

なぜかその時は近くのクリニックを優先してしまいました。土地勘が無いため、近所で評判の悪くなさそうなところを選んだのだと記憶しています。

結果的にこのアクションが更なる体調悪化を招きます。

家族が運転し、私は車内で横たわるようにして小さなクリニックに到着。

10分ほど待っていると医師による腹部の触診が始まりました。1分くらいで診察を終えると、「お腹から来る風邪でしょう」と診断されました。

藁にもすがる思いでしたので、とりあえず医師の診断が下りほっとしました。体調はとにかく悪かったのですが。

2〜3日安静にするようにと指示され帰宅し、そのまま布団になだれ込みます。

が、落ち着くどころか更に悪化します。家族もさすがに慌て始めます。

待っていられないとばかりに心配した家族が翌日クリニックに電話を入れ再訪しました。

この時わたしはもう体力の限界で、クリニックの駐車場で嘔吐してしまいます。

医師はまたもや風邪と判断し、とにかく安静にするようにと同じ指示を繰り返しました。

2018年9月最終週
翌日(関西に帰宅後4日目)、見た目にも体力的にもいよいよまずくなってきた私を、家族は地域の中核病院に連れていきます。

この病院でついに急性腎盂腎炎と診断されます。

病院へ向かう車内では横たわり、到着してすぐに内科を受診。ベテラン(そうな)担当医師の「ひとまず尿検査しましょう」の一言で全てが判明します。

尿検査の結果を待っている間もとにかく辛かったです。待合室の椅子に座っていることさえ辛かったのです。とにかく横になりたい、その一心でした。

暫くして診察室に呼ばれた私と家族は検査結果を見せられ

「ほら、ここの数値ね。おしっこが汚い。細菌感染ですね。」

と言われました。

(未だに「おしっこが汚い」というストレートな言葉は記憶に残っています。本当にあからさまな数値でした。)

ついに原因と思われる核に辿り着き、喜びと安堵で力が抜けてしまいます。

「良かった(良くはないけど)。原因が分かったんだ。」

体力の限界に来ていましたが、おそらくコレだろうという答えにに辿り着いた嬉しさはありました。

入院指示が出て荷物を取りに戻ることになりましたが、泌尿器科の医師が午後から不在のため、当日の入院は出来ないことが発覚したのです。

私たちが一度病院を離れている間に発覚しました。

慌てて入院準備していた家族は、そのことを伝えるために電話してくれた病院からの着信に気が付かず、荷物をまとめ、私を連れてまた病院に戻ってしまいました。

入院できないことを知った私はついに力尽きてしまい、その場の応急処置で点滴を受けました。

ほぼ倒れるようにして診察室に横になったため、あまり当時の記憶がありません。

私が意識朦朧とする中で点滴を受けていた間、家族は尿検査を担当した医師に頼んで隣の市立病院への紹介状を書いてもらえるよう頼み込んでくれていました。

そうして入手した紹介状と、点滴でほんの少し復活した私を車に乗せて再出発しました。

あの時検査してくださった先生、応急処置の点滴をしてくださった看護師さん、優しい受付の皆様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

意識が朦朧としており、きちんとお礼が伝えられずに申し訳なかったです。

2018年9月末〜10月1週目
最終的に紹介状を持ち込んだ市立病院ですぐに入院となり、その場ですぐに点滴を受けました。

点滴後は驚くほど発汗し、そして辛かった体は一時的に楽になりました。

入院後は毎日抗生物質で細菌を殺す日々。

原因不明の日々では食事が喉を通りませんでしたが、入院3日目くらいには病院食をほぼ完食できるくらいまで復活しました。

入院5日目にようやく退院許可が下りました。
体重は1週間で4キロほど落ちていました。

まとめ
退院後は食欲も戻り、膀胱の違和感もありません。

忙しくてトイレに行く時間もないという方も多いかもしれません。でも、尿意は体からの大切な合図です。尿意を感じた時はトイレに行きましょう。

膀胱炎は比較的良く聞く病名ですので、そこまで不安になる人はいないかもしれません。

でも、ひとたび大切なサインを無視すると、膀胱だけでなく広範囲に悪影響を及ぼします。

私ははっきり言って膀胱炎を舐めていました。

尿意を無視して自分を過信した結果、家族にも迷惑をかけ、忙しい医療従事者の皆さんにも迷惑を掛けました。

自分で防げる可能性のあった病気です。

入院中は忙しくしている病院関係者の皆さんをベッドから眺めながら、不注意が原因で入院してしまったことにただただ申し訳なさを感じました。

健康であることの尊さを、たった5日間の入院で思い知りました。

今、膀胱炎の症状を感じている方、すぐに病院に行って相談してください。

長くなりましたが、急性腎盂腎炎の体験談でした。
お読みいただきありがとうございました。

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