フジツバメ

音楽と哲学をかじっています。古川本舗が好きな人。

フジツバメ

音楽と哲学をかじっています。古川本舗が好きな人。

マガジン

  • (閲覧注意)冗談

    言葉を紡ぐためだけのショートストーリー集です。

  • 音作り講座

最近の記事

(閲覧注意)拳銃のない

イヤホンから騒音を流し込む。 車を停車させ煙草を吸う女。 退屈な商人の話。 駅には知らない人の顔ばかりが通り過ぎていって、ひどく悲しい気持ちになった。 彼らも、君も、俗っぽい話にうつつを抜かしている。 僕から伸びる糸は全て呪いの色をしていた。 全てが台本通り進む舞台に、僕の居場所はない。 スポットライトはただその空間を照らしいている。 街路灯や電柱につけられた無数のスピーカーからは 「本日の上映は終了いたしました」 と、けたたましい音声が広がる。 脚の折れた木製の椅子

    • 一人暮らしを始めて半年が経ちました。

      タイトルのとおり。 意外とまだ半年しか経ってないんかい!という感じもする。 まず良かった点から。 良かった点①:都内なので諸々のアクセスが良い 交通面がマジでありがたい。 職場までドアtoドア25分くらい。まじ?? 実家だと3.5倍くらいかかってました。 それと、SNSとかで見かけたイベントに、仕事帰りや気まぐれでフラッと行けるのが強すぎる。 良かった点②:買い物しやすい 立地面。 普通にバチクソ駅チカなので、金さえあれば大体なんとかなる。 そもそも近くに目当ての

      • (閲覧注意)待合室

        朝焼け。 通りすがっては消えてゆくような。 散らばっている紙屑。 踏切の音はもう聞こえない。 僕は、また身体を汚しに来た。こんな日にもとうに慣れてしまった。 それは例えば、撮った写真を見返さないように。 僕たちは儀式を大切にしすぎてしまっている。 家の近くにある神社から鳥たちはいなくなってしまった。車椅子の彼が薬品をぶちまけたらしい。 駅前で、老婆は余命宣告を受けた街の風景を描き続けている。鉛筆の、薄く滲んだ灰色で、街の空気のあるがままを表している。 墓標のようなビル

        • 歌詞についての一所見

          どうもフジツバメです。 今回は歌詞の話をします。前置きは短いほど良い。 セックスがうざい歌詞に出てくるセックス関連のワードって何であんなにウザいんでしょうね。セックスを指す単語はもちろん、「コンドーム」とかも苦手です。 以下、仮説を立ててみます。 ずばり、「俺はセックスを歌詞に登場させることができるくらい、異性との性的関係が身近なんだぜ」という作者の意図的な部分と、「歌詞に登場する」という事象が有する「現象の特別視」の二律背反がキショいから、ではないかと考えます。 意味

        マガジン

        • (閲覧注意)冗談
          8本
        • 音作り講座
          5本

        記事

          (閲覧注意)逃げ出して

          目の前で、壊れた無数のブラウン管テレビの山の上に下品に座る女。ビールの空缶を大切そうに握っている。 暗い部屋。窓。美しい夜景に背を向け、笑いながら走り回る痩せこけた少年。 空気のひどく汚いこの部屋を出る。扉を開き、数歩進む。 晴れ渡る空の下、何処かの舞台の上にいた。目の前では群衆が大通りを埋め尽くしていた。何をしようとしていたんだっけ。思い出せないまま、スピーカーに繋がっていないマイクをスタンドごと蹴り飛ばすと、今度は拍手喝采が聞こえてくる。 急に降り出す雨。豪雨の中で

          (閲覧注意)逃げ出して

          【音づくり講座⑤】歪み編Ⅳ

          どうも。フジツバメことスぺ丸です。 前回から随分間が空きましたが音づくり講座です。 本来やるはずだったイコライザーの話や空間系の話は、PA講座に吸収されてしまったので、今後はのんびり書きたいこと書いていこうと思います。 今回は歪みペダル解説その2。 前回からさらに購入したりしたオーバードライブ・ディストーション・プリアンプと、ファズ、ベース歪みの話をしつつ、僕の音作りの特徴や趣味など好きなものについて語れればいいかなと思います。 下記のとおりペダルごとに小見出しを、話題ご

          【音づくり講座⑤】歪み編Ⅳ

          (閲覧注意)空気色の窓を割って

          駅前のロータリーに、たった1人車椅子に座ってじっと眠っている老婆。 踏切の前で十字を切る女性。 殺してしまいたい、と呟いたどこかの誰かがエレベーターに乗り込む。 そのまま暖かい家に帰って今日も平凡で幸せな日々を送っているのだろう。 道端ではネズミが死んでいる。誰かにとってはこれは喜ばしい風景なんだろうか。 そういう私も、それを横目に通り過ぎる。きっと明日には忘れてしまうんだ。 ふと気付くと大嫌いな音楽が流れていて、二度とこの場所に来ないと決める。またやり直しだ。 そのまま

          (閲覧注意)空気色の窓を割って

          (閲覧注意)真っ白い部屋から初めて出た少女の話

          「私は世界に興味もないし、他人に興味もない、ましてやあなたになんてもっと興味がない。」 「じゃあ、何になら興味があるのさ」 「鳥が飛んでいるから。」 「雨が降ってくれないのに」 「ずっと同じ場所から動かない虫はいずれ石になってしまうの。」 「ひどく退屈な話だ 吐き気がする」 「そういってあなたはまた金儲けの話ばかり読んでいるね。」 「僕の家のまわりには蛇がいて 悪い虫や動物をみんな飲み込んでくれる」 「でも、そのせいで窓が割れたの。」 「この部屋に窓なんてなかった」 「そんな

          (閲覧注意)真っ白い部屋から初めて出た少女の話

          (閲覧注意)赤くて丸い

          あなたの全身は刃物みたいで、そのことで僕達の生活は快適に回っているのだろうけれど、あなたが僕に触れるたびに僕は血まみれになってしまう。それであなた自身が傷ついていないか心配になる時もあるけど、あなたにはあなた自身のことは見えていないみたいで、何だかもうどうでも良くなってしまった。 崖の上には木でできた十字架と一輪の花があって、隣にあるログハウスにはもう誰もいない。世界が全部逆さまになれば彼も、彼女もまた戻って来るんだろうか。 絞首した自死体が並んでいるのを見て、次は自分の

          (閲覧注意)赤くて丸い

          (閲覧注意)かさぶたはかゆい

          まだ傷が痛む。 でも、やっと、ちゃんと傷と向き合うことができるくらい立ち直れたということかも知れない。 部屋には山ほどの服が片付けられないまま放置されている。 ハンガーから外して畳んでしまえばいいのに、そのままカーテンレールなどにかけたままでいる。 次第にそれは絞首した死体に見えてきて、もし僕が生きるための犠牲者だとすれば懺悔しなければいけないし、これまで蔑ろにしてきた自分自身だとすれば恥ずかしいなと思う。そのうちに自分と他人の命の境界が曖昧になっていく気がしてくる。 主

          (閲覧注意)かさぶたはかゆい

          (閲覧注意)宇宙に溶ける

          畑の真ん中で夜空を見る機会があった。周囲には街灯も家の明かりもなく、星がやけに綺麗に見えた。地平線側の空の縁は青くて、今踏みしめている場所が球体であることを思い出させる。 右手を開いて空へ向ける。星空が指の隙間から僕の手を侵食してきて、その手は次第に夜に溶けていく。 翌朝。夜空と一体になった手をポケットに突っ込んで通勤電車を降りる。改札を出ると、イヤホンで世界を塞いだはずの僕の脳みそに、政治家の街頭演説が降り注ぐ。彼らはいつも僕達に考えることをやめさせてくれない。頭の中で「

          (閲覧注意)宇宙に溶ける

          道しるべPA講座

          おつかれちゃんです。スぺ丸こと18のえんどうです。 タイトルのとおり、PA卓の使用講座です。PA卓の話だけするので、配線等の話はすっ飛ばします。今後のために印刷とかしておくといいかも。 2023大祭では出しゃばってPA卓を数度独占してしまったため、後輩への技術承継に失敗している自覚がありますのでここにて贖罪します。 レベル別に見出しをつけるので、自分の立ち位置や目標に合わせて読んでいってね。 [基礎知識]ハウリングって? まず基礎知識。 ハウリングという現象があります

          道しるべPA講座

          春の終わりに

          まずは1曲。 秋や冬の終わりは明確に意識しないけど、夏と春は意識しますよね。 あれ?しない? 夏は8月31日。 そして何となく何故か春の終わりは3月31日な気がします。 (ホントか?) 4月も5月も十分春だけどね。 多分"「春」の終わり"という認識じゃなくて"「春の終わり」"という認識なんだと思うんだけど。 まあやっぱこの季節は1年を振り返るわけですね。 年末年始も振り返ったばかりなのにね。この3か月って意外と大事なのかも。 昨年の3月は間違いなく、冒頭に紹介した曲が

          春の終わりに

          無駄な休日を過ごさないために〜スキマ時間を有効活用しよう!〜

          最近、少しずつ読書をする時間が増えてきている。 元々読書は苦手だったのだけど、バイヤール先生の「読んでない本について堂々と語る方法」という本を読んでから手に取りやすくなった。 この書物自体の話は省こう。 僕たちはなんとなく「ごんぎつね」の物語を語ることができる。それについて他人と共有したり、心にとどめておくことができる。 でも、一字一句を知識として得ているわけではない。 原作を直接読んだのは何年前だろうか。 その作者を、歴史的背景を、作品的な意義を、文学的技巧を、明確に

          無駄な休日を過ごさないために〜スキマ時間を有効活用しよう!〜

          【音づくり解説④】歪み編Ⅲ

          こんしるべ。 前回に引き続き歪み編Ⅲです。 予告通り、今回は個人的な話多めになります。 暇人以外ブラウザバック! ○所有エフェクター(過去含む)私がこれまで所有し使ってきた歪みエフェクターを解説します。 既に売却済みのものも含め思い出せる限り書き出してみました。 思い出とともに振り返ります。 これまでの音づくり解説記事の言い回しを多用するのでご覧になってない方は先にそちらをご覧になった方がいいかも。 ・Carl Martin "Plexitone"(売却済) 大学二年

          【音づくり解説④】歪み編Ⅲ

          【音づくり解説③】歪み編Ⅱ

          こんしるべ〜 スペ丸ことフジツバメことえんどうです。 音作り解説やります、第三回。 今回は歪み編Ⅱ。 今回は歪みペダルの分類のお話。めっちゃ主観。 暇人以外はブラウザバック! ○ツマミの違いまず個別の話に入る前に、歪みペダルのツマミについて少し書きます。 歪みペダルには、"BASS"、"TREBLE"とか"LOW"、"MIDDLE"、"HIGH"とかのイコライザーのツマミがある場合と、"TONE"というツマミだけがある場合の2種類があります。これ、実はちょっと違いがあ

          【音づくり解説③】歪み編Ⅱ