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留学したい

海外留学に憧れる若者は多いだろう。かつての私もそんな一人だった。

もう20年ほど前の2003年、大学4年生だった私は大学が募集した海外体験プロジェクトに見事当選した。その旅で夏のTexasを10日間体験することになったのだ。プロジェクトの目的は海外経験のない大学生が、アメリカ文化と大学を体験することだった。

留学と言うにはあまりにも短すぎるが、10日間のTexasは初めて海外に行った20代の若者にとっては、エキサイティングな毎日だった。そして、半年後には卒業旅行と称して、インドへ一人旅に出た。1ヶ月間の放浪旅のつもりだったが、滞在日程の大半は旅行者が集まる安全な場所で目的もなく食事と寝泊まりを繰り返し、それ以外は都市から都市への移動をしただけだった。海外に出れば新しい刺激を受け、自己実現できると考えていたのかもしれないが、そうではなかった。それ以来ピタリと海外へ旅立つことをやめてしまった。海外に対して感動と挫折を感じて終わった学生時代だった。

そんな私が、仕事で行った最初の海外は中国だった。古いパスポートを確認すると2014年に3日間、中国へ出張している。学生時代にアメリカやインドを旅してから10年の年月が経っていた。その後、台湾やタイなどアジアを中心に出張ベースで何度か海外へ行った。どの出張も全て日本語で仕事していたのだから、満足のいくものではなかった。

初めて海外で暮らすことになったのは、それから7年後の2021年だった。突然、上司に呼ばれアメリカ出向の辞令を受けた。渡航準備をしながら何度も辞退したいと思う程、出向という立場でのアメリカ行きに不安を覚えたりした。淡い憧れはあったはずだが、会社員生活の中で既に諦めていたんだと思う。だから、突然の辞令に準備や心構えもなく、不安に潰されそうになっていた。

結局、2024年に帰国するまで2年半をアメリカで過ごした訳だけれども、アメリカでの仕事や暮らしで様々なことを学んだ。学校に通った訳ではないけれど、仕事や暮らしを通して、多くのことを学んだし、成長も感じたことから、自分にとっての留学と定義しても良いのではなだろうか。

日本から飛び出すことで気がつくことがある。人生の目的を見つけるかもしれない。私もアメリカで暮らした2年半が、自分に大きなインパクトを与えたことは間違いない。40歳を過ぎて、私なりの留学ができたことに心から感謝している。多くの興奮や喜びがあったし、色々なところを旅行することができた。しかし、付け加えなければいけないのは、実力不足で挑戦すらできなかったこともたくさんあった。そして、私なりの留学は帰任辞令という形で突然終わりを迎えた。

ここで実力不足と感じたのは、一言で表現すれば『英語力の不足』であった。

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