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四万十新聞バッグ

 四万十新聞バッグのインストラクター講座に行ってみた
 新聞紙でバッグを作る。それが、川を守り海を守ることにつながる。そして、地球を守り、地球をも包んでしまおうという取り組み。                           

 今年の1月1日、学生時代の友人から、「四万十新聞バッグのインストラクター資格を取りに行きませんか。」と書かれた年賀状が届いた。その時私は四万十新聞バッグが何であるかも知らなかった。そして、そのまま2月8日9日の二日間その講座を受けるべく高知県に飛んだ。

 四万十新聞バッグって何
 講座に先立って担当者から説明があった。
 四万十新聞バッグは、日本人が昔から持っている「もったいない。」という気持ちから生まれた。同じ様なエコバッグとしての新聞バッグの取り組みは、いろいろな所でなされていて、本を出したりしている所もある。それらとの違いは、この「もったいない。」という精神と、「折り紙の手技」だと。
 2002年に高知県在住のデザイナー梅原真さんの提案でスタートした。それまで主流だったレジ袋をやめて、すべての商品を新聞で包もうと言う発想。
 今のようにレジ袋が出回っていなかった頃、魚でも肉でも野菜でも商店では新聞紙にくるんでくれた。そこに戻ろうということ。

 レジ袋を減らす取り組み
 どこでもレジ袋を減らす取り組みは行なわれている。レジ袋を有料化したり、エコバッグ持参の人には値下げをしたり、ポイントをつけたりさまざまだが目的は同じ。ビニール袋を減らして環境を守る。
 この環境を守るというのが、四万十では目に見えるという。
 最後の清流と言われる四万十川は、ひとたび台風で増水すると,道路のすぐ下まで水が上がってくるというのだ。そうは言われてもにわかには信じがたいほど、川は静かに流れている。川幅だけでも200メートルを超える広さで、水が流れているところは、中心のわずかな部分だけ。その流れの上に沈下橋が渡っている。その名の通り川が増水すると沈んでしまう橋だ。
 水がひいた後、川の両岸の高さ4、5メートルはある木の枝には、ビニール袋が引っかかっているのだそう。

しまんと 縮小

 
 いざ、新聞バッグを作ってみよう
 新聞紙で作るバッグ。そんなに仰々しく言わなくてもたかが折り紙。と、あなどっていた。
 先生がまず見本をみせる。それを見た後、自分の席に戻って作るのだが、いざ始めてみると、先生のようにスムーズにはいかない。もう、しっちゃかめっちゃか。自分では手先は器用な方だと思っていたし、記憶力も若いときよりは衰えたとはいえまだまだ捨てたものではないと思っていたのが、うそのように何もできない。
 久しぶりに学生にもどった気分だ。
 新聞紙1枚で作る小バッグは、出来上がり16×18×7㎝くらい。2枚で作る中バッグは、21×22×7㎝くらい。5枚で作る大バッグは、30×30×9㎝くらい。それぞれの作り方の違いに悪戦苦闘しながらも、とりあえず次々に制作して、一日目は終了。
 そして、言われた。明日の試験に通れば皆さんは立派にインストラクターになれますよと。「試験。」これは一大事だと焦った。なぜなら、この時、その日に習ったものを作れと言われても、おそらく一つも作れなかったのではないかと思う。

 学生気分も吹き飛ぶ卒業試験
 講座を受ける人はみんな同じホテルに泊まる。夕ご飯は担当者や先生も一緒に食べて、その日の講習に付いて話す。
 先生に、「今までに、とれなかった人はいませんから、大丈夫ですよ。」とにこやかに言われても、やっぱり試験は嫌なもの。
 二日目。試験当日。
 一日目と同じに、まず先生の実演を見る。この時に録画してもいいとお許しが出たので、録画をする。それでも、いざ始めてみると手順が頭の中から消えてしまい、どうしようかと焦る。録画を見ながらでは作業ができず、見ては止めて少し作る。不安だから、また少し見る。こんなありさまで、なんとかなるのだろうか。私は、試験におびえ、ひたすら覚えようと作り続けた。
 「では、作ったものの中から小、中、大それぞれによくできたと思うものを出してください。」
 試験とはそういうことだったのか。ほっと胸をなでおろす。机の上に自分で良くできたと思う新聞バッグを並べる。先生は、それをひとつずつ丁寧に見ていく。
 1人ずつ、先生の前で作らされると思っていたので、本当によかった。
 「みなさん、大丈夫ですね。無事終了です。」
 こうして無事にインストラクターの資格を取得した。

 ただの新聞紙されど新聞紙
 廃品回収のたびに束ねて出す古新聞紙。束ねると重い古新聞紙。
 ところが、今回この講座を受講したことで古新聞紙の見え方が変わった。英字のページが素敵に見えたり、広告ページのあざやかな色に心がおどったりする。
 捨てられるだけの新聞紙に光を当て、ビニールによる様々な弊害に目を向けた新聞バッグは、古いけれど新しい。川にも海にもやさしい四万十の取り組みだった。
 最後に、新聞バッグ作りの会場になった建物は、100年以上の歴史を持ちながらも児童の減少から廃校になった広井小学校だった。

 

  


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