見出し画像

信じつづけていたつもり #1

詩「アップデート」山本ウタ

共感するよりももっとむずかしいこと、おもしろいこと、不安な想像をしてまで、救われる、たいせつなひとのために、してあげられること。ちいさな意味に気づいてしまうのだから、このいのちがちゃんと落ち着く瞬間を、まっていられる、余計なことはなにも言わないのか、余計だとすら思わないから浮かんだことばをなんでもつたえてしまうのか、かなしみの、さきで、色の濃い、いまがつくられていく、そして自由になっていく。ぶつかり合って、わかったよ、なにものこらないように、なにものこさないように、きれいなかたちを保ったまま、それぞれの情熱、わかってたよ、おとなになるということ。じぶんだけの情熱、このかべをのりこえたいとか、そんなまぶしい火を、あつかわないでいい、えらんだみちの、さきで、色の濃い、いまがつくられていく、こんな世界のなかにもじぶんの意思が存在する、こんな世界のなかにもじぶんの声が存在する、救われる、この手をにぎって、くれたのは、いままでのぜんぶの、いのち。まだそこにいますか、と、疑って、でもせいいっぱいのやさしさが、まだ、熱かった。おとなになるということ、何度でも、じぶんだけの哲学にふれてあげる、余計だった、なにもかもが、いまもずっと。


感想「プリズム」鈴木龍也

等速的に浮かぶことばたちは きれいでとうめいでさいあくだった
抗争のために必死で ブルーで武装した 透明と迷彩のことばたちは
呼吸 かすかな読点ひとつで こわれる
没落の瞬間は横断的だった

ただようことばのすべてに意味なんてない
夏の残照はただの季節の様相で
実態としてのあなたはただの光の錯覚で
モチーフの色は単なることば遊びでしかない しっている

破壊と再生 ぼくの人生を創世記としてくれるのなら
いままでのぜんぶの、いのち ひとつひとつに名前をつけたい
細胞は無邪気にらせん状の夢に取り憑かれていて
だれにも言えないことは だれにでも言えることで
知っているじぶんはここにはいない しっている?

破壊と再生 あなたの人生を創世記としてあげるから
いままでのぜんぶの、いのち ひとつひとつに華を添えてくれ

小さな女の子が たましいとして踊っている
ことばにはあまりにも死の匂いが漂いすぎている




詩  山本ウタ
感想 鈴木龍也

ここから先は

0字

いろんなひとが詩の感想を寄稿してくれる

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?