爪痕

まだ君が生きていた あの頃
良く呟いてた 言葉とあの眼差し幾度なく 繰り返される君の声を思い出せば
窓から聞こえてくる 雨音につられ

いつの間にか 涙が溢れた

やりたかった事が 沢山あっただろう
したかった事が 沢山思い浮かんだだろう

明日への思いが こんなにも愛しいと感じただろう
だけど 叶わず君は長い眠りについた 雨の日に

言葉に出来ないこの想いを
もっと もっと伝えれば良かったんだ

生きたいと願った あの日の朝に
君は目を細めて 僕に笑顔を見せた
君のその強さに 眩しくて 眩しくて
僕はなにも 言えなかったっけ

ただただ 君の話を聴いてそうだねと
笑って 東からのぼってくる朝日を見ていた

君に触れたくても 触れられなかった
生半可な想いで 君を傷つけたくなかったから

本当は 今すぐにでも君を抱きしめて
不安を拭ってあげたくても 出来なくて

そのもどかしさに 耐えきれず
僕は 手を強く握りしめていた

明日への希望を 諦めずに生きたかっただろう
夢を叶えたくて 必死に何度も涙をかくしただろう

明日への思いが こんなにも愛しいと感じただろう
だけど 叶わず君は長い眠りについた 雨の日に

言葉に出来ないこの想いを
もっと もっと伝えれば良かった

たった一言でも…たった一言でも
君に 勇気を出して伝えれば良かったのに

力強く握り締めた 掌に残る爪の跡が痛い

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?