0421

初めて私たちに贈られた曲を聞くたびに、春は私たちにとって特別な季節だと実感していた。春の生ぬるくて暖かい空気も、新しい生活に心を躍らせるように急かす空気も全部苦手だけれど、私たちが出会った季節だから、それだけで春が好きだった。十分だった。

わからないや。もっと、整理がついたら伝えたいこと書けるのかな。
とりあえず、日記になってしまいそう

今日からはまたわたしの日常を過ごさなくちゃと思って、心を立て直した。
いつもはコンタクトだけど、少し腫れてる目を隠したくて眼鏡に手を伸ばしたけれど、あなたの眼鏡に似たフレームを選んだことを思い出して、やっぱり少し涙が溢れた。日常にあなたがいることを毎瞬間思い知らされる。
道を歩いていたらたんぽぽの綿毛がわたしに舞ってきた。あなたなんじゃないかと思った。悲しんでいるわたしに舞い降りたのかななんて都合よく解釈してしまったりして。
それでもわたしだけ異世界に来たような、同じように見えるパラレルワールドに来たみたいな感覚に陥って。周りは何も変わらないのにわたしだけ変わってしまったような気分。気を張っていないと頭の回転が止まってしまうような、そんな時間だけが流れていった。
こんな時でもお腹は空いて、課題でグループワークをしながら気まずさに少し笑ってしまっている自分がいて、そんな自分が嫌で。
お昼。家に帰る道の途中、毎日歩いている道にたんぽぽと綿毛を見つけた。毎日通っているのに、急いで歩きすぎて気づけなかった。今さらだね。
裏道を通っていると、おとといみたいに暖かい空気が街を包んで、たんぽぽの綿毛が道のあちこちに舞っていた。また思い出していた。
友人に何気ないメッセージをしたら、いたわりの言葉が返ってきて、泣いてしまった。やさしいねえ。わたしばっかり優しさをもらっていいはずないのにな、とも思ってしまった。つらいのはわたしじゃないのに。
午後からは、画面をスクロールして、考えて、またスクロールして、の繰り返ししかできなかった。本当は手紙を書いて、お花を選んで、贈ろうと思った。でも、時間が過ぎても頭が働かなくて。その場所に行ったら、きっとまだ受け止めきれていないのに、もっと受け止められない何かが押し寄せる気がした。
それから何時間か経っても、無機質な四角い箱を見つめてたらさ、ああ、今日行かなかったら後悔するかもしれないなと思った。22日のその時間がくれば、もう全てが終わってしまう気がして。
電車に乗って、場所まで向かった。先々週行った時は、ここの周りを歩くこともあったんだろうな、同じ景色を見てるのかなと思って嬉しくなった。生きていてよかったなと思った。帰る電車で、嬉しくて泣きそうになるのを堪えた。また行くことになるなんて思ってなかったし、足が重くて、また涙が出た。
わたし人生でお花贈ったことなくて。もっと違う形で贈りたかったけれど、でも、最初で最後でも、最初があなたでよかった。
本当はカスミソウにしようかななんて思ってて。紫の花はグループとかファンとかと縁が深すぎるから、違うのにしようと思ってたんだけど、紫の花束が綺麗で紫にしちゃった。君はなんでも喜んでくれそうで、それに驕ってしまった。甘いね。ごめんね。
思い立ってすぐに家を出てしまったので、道端で手紙を書いた。鼻をすする音ばかりが聞こえて、どうしようもなく胸が痛んだ。一行目に名前を書いたところで目の前が滲んで、雫で視界がぼやけて、流れ続ける涙をどうするでもなくしばらく座り込んでいた。
お花を手向けて、手紙も好きな飲み物も添えて、それから建物の前でしばらくぼーっとしていた。この場所に来てもなお信じられなかった。夢であってほしい願っては、涙が出た。モニターに流れるミュージックビデオの中で笑うあなたを見て、歌詞を思い出して、また溢れた。人懐っこい笑顔でわたしたちの名前を呼んで、また生配信でもしてくれるんじゃないかって思えてしまうくらい現実味がなくて。あなたはきっと私たちが笑っている姿が好きなはずなのに、望むはずなのに、まだ痛くて、どうしようもない。一時間くらい立ち尽くしていた。
あなたが好きだった漢江に行きたくて、隣の駅で降りた。歩いて行きたかったけれど、夜遅くて時間的にも環境的にも出来なそうになかった。
夜の漢江はきれいだった。あなたが好きなのもわかるよ。
ふと、漢江でヒョンと一緒にブイライブしたこととか、子豚の三兄弟の話とか、カメラに映りそうになったカップルを隠そうとするあなたとかを思い出して、くすりとした。
電車に乗って、また涙をこぼしながら戻ってきた。
大丈夫になったように思えても、またふと涙は出て、何度もあなたのことを思い出す。

まだ理解もできないし、受け止められないけれど、でも、社屋のところに行ったから少しだけ心が整理できた部分もあって。
それでもまだ、現実に思えなくて。何回、目にしても、あなたと事実を知らせる文字の羅列がまったく結びつかない。

今、22日の5時4分。2度目の朝を迎えた。
その時が来るのが、まだ怖いな。


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