MH3とヴィンテージ

モダン用セットでもEDH用拡張が?


モダンといわずエターナルフォーマット全般に甚大な影響を与えたシリーズ、モダンホライゾンの第3弾が遂に登場する。1では活性の力/Force of Vigor(6点)、2ではウルザの物語/Urza's Sagaがその代表格だ。果たして3は、この両者に比肩するような大物を輩出するのだろうか?



点数基準

6点

常軌を逸した強卡に対する殿堂的な枠。多くのデッキで使用が当然視される、メタデッキを作り上げた存在である、それの為だけに色をタッチされる、といった力量を備える。
例:Mox Pearl、意志の力/Force of Will、夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream Den、ウルザの物語/Urza's Saga、ロリアンの発見/Lorien Revealed


5点

ヴィンテージの主役級の卡であり、メタゲームを変動させうる存在。それを標的とした対策卡を積まれるレベルの影響力、存在感を示す。
例:切望の宝石/Coveted Jewel、オークの弓使い/Orcish Bowmasters、白羽山の冒険者/White Plume Adventurer


4点

特定のデッキで大きな役割を果たす卡。または特定のデッキに対する有力な対策。
例:一つの指輪/The One Ring、日を浴びるルートワラ/Basking Lootwalla、魂標ランタン/Soul-Guide Lantern


3点

あるアーキタイプでの使用を検討される卡。
例:ポクスウォーカー/Poxwalkers、腐食の荒馬/Caustic Bronco


2点

あるアーキタイプで使われることはあるが遭遇率は3点より低い。サイドボード候補卡。
例:機能不全ダニ/Haywire Mite、無効/Annul、長い別れ/Long Goodbye


1点

僅かながら実績を持つ。または、過去に一定の実績を持つ。
例:溶岩拍車のブーツ/Lavaspur Boots、カルドーサの鍛冶場主/Kuldotha Forgemaster


0点

卡力が低くヴィンテージにおいては存在しえない。
例:Glyph of Life


個別評価

終わりを告げるもの/It That Heralds the End:0点

前から思ってたけど何でドローンなん?

既存のエルドラージ・デッキに最も入りそうなのはコイツだろう。

全体強化能力を活かす、理想的な動きを考えてみた。

1ターン目

  • ウギンの目/Eye of Ugin(1点)をセット

  • エルドラージのミミック/Eldrazi Mimic(0点)を2体召喚

2ターン目

  • エルドラージの寺院/Eldrazi Temple(2点)+Mox2マナ(2CC捻出)

  • コイツ召喚

  • 現実を砕くもの/Reality Smasher(2点)召喚

  • ミミックでリアスマ=バフ込6/6をコピーし、自身へのバフを加算して7/7

  • ミミック2体+リアスマ攻撃、19点ダメージ

純正エルドラージ自体が死滅しているため0点だが、備忘録的に書いた。


白蘭の幻影/White Orchid Phantom:1点

境界石とは特にシナジー無し

CIPで幽霊街/Ghost Quarterを放つ。探してみたが、2マナでこの効果を発動できる既卡は耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures(4点)の魂力のみだった。

2マナ払って1~2マナ相当の能力に飛行クリーチャーが同梱と考えれば、かなりのコストパフォーマンスに思える。特に、基本土地を投入していない相手は恰好の餌食となる。単体での性能は合格だ。

では、どのようなデッキが職場として考えられるか?

白単イニシアチブでの採用はマナベース上困難と思われる。このデッキは白マナの供給が結構カツカツで、WW要求は1ターン丸々それに充てるとほぼ同義である。言い換えれば、2WWのクリーチャーとテンポ上大差ない。幻影を宮殿の看守/Palace Jailerあたりと比べたとき、流石に同格とはいえないだろう。

光輝王の野心家/Luminarch Aspirant型の古典的白ウィニーでなら活躍できそうだ。


空の怒り/Wrath of the Skies:2点

この蜘蛛みたいなのファイレクシア人?

破壊範囲は破滅的な行為/Pernicious Deed(1点)と一致している。素コストが1BGからWWに下がった代わりに分割払いができなくなったものと解釈できる。

X=0,2マナでSoloMoxen+サーガを全滅できるのが非常に偉い。WWが結構重いのはすぐ上でも述べたとおりだが、ここまで強いアクションとなると、多少無理しても入れる価値がある。

具体的にはAzorius Lurrusや、いつのまにか消えていた永久のドラゴン/Timeless Dragon(1点)型のランドスティル等が挙げられる。


記憶への放逐/Consign to Memory:2点

これウルザ?

エルドラージ期のサイドボード常連、儀礼的拒否/Ceremonious Rejection(1点)が2重に改良を施された

Workshop全般(Jewel含)へのカウンターとなりつつ、他のデッキに対しても以下を対象とすることで、最低限度の役割は持てる。

  • サーガの章能力

  • ドルイドの誓い/Oath of Druids(5点)

  • タッサの神託者/Thassa's Oracle(5点)

  • イニシアチブ

特にタッサの解決は勝敗に直結するので、複製でカウンター合戦を制しやすいのが嬉しい。

ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought(2点)デッキなら、1マナカウンターの枠に採用できるだろう。


拒絶の閃光/Flare of Denial:2点

where=the place where=the place to which…

サクっても惜しくない青クリーチャーといえば何があるだろうか?

ドレッジで勝手に出てくるナルコメーバ/Narcomoeba(4点)、秘蔵の縫合体/Prized Amalgam(4点)をサクる案は良さそうだ。

CIPを使い終わったクリーチャーをコストに充てるのも良い。瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(3点)、思考の監視者/Thought Monitor(2点)etc。この分類で最も過激なのはタッサだろう。もっともライブラリーが空でないと信心=0となり勝ちを逃すことは注意が必要だ(実戦上空にして出すケースが大半とはいえ)

さて、拒絶の閃光だが、ピッチカウンターに一番求められる任務、つまり最序盤の防御を果たせないことは指摘しておかなければならない。素で使っても取り消し/Cancel(0点)相当とそこまで酷くはないことを加味しても、FoWや否定の力/Force of Negation(4点)の代替とはなり得ず、採用は限られると予想。


海の先駆け/Harbinger of the Seas:1点

満潮と捉え月要素をさらりと交えてるのが良い

昨今のヴィンテージはサーガが強すぎ、タイプ上書き能力が急速に支持を広げている。何しろ広がりゆく海/Spreading Seasまで大真面目に採用されるほどだ。海の先駆けもそこに連なる1枚だ。

活躍度を予想する手がかりは、月の大魔術士/Magus of the Moon(2点)との比較論だろう。メイガスがそこまで使われてないのに先駆けが使われるものか?これには2つの答案がある。

第一に、先駆けの種族に着目し、マーフォークでの採用に期待するもの。

第二に、ヴィンテージの大多数が青メインのデッキであって、そのマナベースはMox+デュアラン+基本島のケースが多い、つまりデュアランが全部島になってしまったら実質的に1色デッキに追い込める、というもの。

しかし、この手のマナ拘束はさっさと出すことが重要であり、メイガスにも古えの墳墓/Ancient Tomb(5点)経由でのターボ召喚があるが、こいつはダブルシンボルが祟って高速ルートがない。ここはちょっと言い訳ができない。1点で・・・


アヴァシンの創造/The Creation of Avacyn:2点

英雄譚ならではの見事な構図

ライフロスと2ターンのタイムラグがあるが、ライブラリーの任意クリーチャーを召喚できるボーナスは破格。単体で機能し、デッキ構築への制限も求めないオースと言い換えることもできるだろう。

3マナは暗黒の儀式/Dark Ritualから即払えるコストでもあることだし、リアニメイトの構築を換骨奪胎して(あるいは、リアニメイトの納墓/Entombと入れ替えて)活躍できそうだ。

墓地でもライブラリーでもなく追放領域から出すため、墓掘りの檻/Grafdigger's Cageを通過できるのも嬉しい。


悪意の閃光/Flare of Malice:3点

メガンテ!

非常に高性能なピッチスペルの除去卡で、ドレッジで採用したい。封じ込める僧侶/Containment Priest(4点)のような2マナ前後のヘイトクリーチャーを対策するには布告ゆえの不確実性があるが、鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind(4点)対策として待望の存在だ。

ピッチコスト要員も、悲嘆/Grief(3点)・秘蔵の縫合体/Prized Amalgam(4点)・イチョリッド/Ichorid(5点)の3種12枚と十分量がある。特に悲嘆は、UB-Scamの常套手段をそのまま流用できる。すなわち、先にハンデスを解決して相手のカウンターを叩き落としてから悪意の閃光を放つことができる。


ネザーゴイフ/Nethergoyf:4点

タルモゴイフがテーマになるとは・・・

自分の墓地しか数えないが大体タルモゴイフ/Tarmogoyf(3点)であり、軽量化と脱出により一層強化されている。

色の合うデッキと考えれば墓荒らしやDimir Lurrusだが、スタッツ上昇を考えるなら後者が最適だろう。

A - ミシュラのガラクタ/Mishra's Bauble(4点)等
C - オーク、こいつ
E - サーガ
I - たくさん
L - サーガ、フェッチランド
S - ロリアン

平均して1/4/5程度のスタッツを望めること、長期戦志向のデッキであるため脱出がフィニッシャーを務められそうであること、など好条件が揃っている。Vault-Key枠に差し替える等して複数採用できそうである。


色めき立つ猛竜/Amped Raptor:0点

イクサラン?

ヴィンテージ用卡ではないが、バーンを組むのに使えないか?と内なる声が囁くのである。例えばコイツから敏捷なこそ泥、ラガバン/Ragavan, Nimble Pilferer(3点)や大歓楽の幻霊/Eidolon of the Great Revel(0点)が出てくるとか・・・

備忘録につき0点。


集団的防衛/Collective Resistance:2点

抵抗じゃなくて?

帰化/Naturalize(0点)の上位互換は当たり前になったが、アドバンテージを取れる可能性があるものは珍しい。また緊急避難モードも頼もしく、Oathはじめ緑デッキでの採用が期待される。ただ、役割的にサイド含めても1~2枚が限界と思われるため、2点とした。


超能力蛙/Psychic Frog:3点

ストレートな卡名がよい

INV-ODY期スタンダードの英雄、サイカトグ/Psychatog(0点)が帰ってきた。

現に採用されている卡から類例を見い出せば、闇の腹心(2点)や、オーク耐性を買われて、腹心よりも優先採用されている腐食の荒馬/Caustic Bronco(3点)が挙げられる。蛙はこいつらと比較しても互角の性能であろう。

荒馬枠に入ると期待して3点。


こそこそサクサク/Sneaky Snacker:3点

太るよ

通常ドロー+Bazaar of Baghdad(6点)起動により蘇生条件を満たす。発掘で置換しちゃうとドロー扱いにならないので、Hollow Vine系統のデッキで採用することとなるだろう。色も良く、今回追加された閃光サイクルに使える。


苛立たしいガラクタ/Vexing Bauble:5点

こんなの誰が発明したんだ!

今回の大本命である。アゾリウスの造反者、ラヴィニア/Lavinia, Azorius Renegade(4点)相当の能力、具体的にはMoxenやピッチスペルの封殺を、1マナで発揮する。そしてサーガでサーチ出来ちゃう上、随時処分できると機能性もすこぶる高い。

使い方と使われ方を主要デッキ別に整理してみよう。


Dimir Lurrus

使うメリット - 大
最序盤の爆発的な動きを抑止でき、長期戦に持ち込める。そしてルールスが安着すれば、ガラクタをサクって1ドロー→自分のMoxenを消化→ガラクタ張り直し の動きをターン毎に行える

使われるダメージ - 中
Moxやミシュラのガラクタを張れず、マナを伸ばしにくくなる点を過小評価すべきではない。


Jewel Shops

使うメリット - 大
元々、コアに当たる宝石→変形者の連鎖コンボが狼狽の嵐/Flusterstorm(5点)を受け付けない強みがあった。ガラクタによりFoWや精神壊しの罠/Mindbreak Trap(4点)をも遮断すれば、懸念すべきカウンターは呪文貫き/Spell Pierce(3点)程度しか残らない。
一連のコンボにより爆発的に手札を増強し、カウンターも満載したところでそのままVault-Keyを揃えるもよし、ガラクタを解除して逆説的な結果/Paradoxical Outcome(6点)おかわりもよしだ。

使われるダメージ - 中
上記の通り本質的なパーツではないものの、Moxはじめ0マナアーティファクトが特に多いデッキだ。


Workshop

使うメリット - 小
Taxingと相性が悪い。ただし、サーガからのサーチという観点で考えれば、Taxingを出せてない場合のみサーチすると考えればよし。

使われるダメージ - 小
上記の裏返し。


Dredge

使うメリット - 無

使われるダメージ - 中
イチョリッドら勝利手段パートは大体手つかずだが、サポート部分はあらかた死ぬ。特に墓地対策と併設し、FoVを遮断するとき、その効用は最大となる


Hollow Vine

使うメリット - 無

使われるダメージ - 大
ガラクタ自体への打開策も含め、デッキの大部分が死ぬ。ルートワラや虚ろな者/Hollow One(5点)を唱える(そして打ち消される)ことで復讐蔦/Vengevine(5点)を蘇生させるルートがまだあるので、登場即投了とまでは言わないが、極めて重篤な被害となる。


と、広くサーガ系デッキ、特にコンボ勢を一層強化しつつ、Bazaar系アーキタイプを弾圧することが予想され、影響は相当に大きなものとなるだろう。

個人的に3年前からサーガ制限派だが、ガラクタの登場を目の当たりにして制限を望む気持ちが一層高まった。


魔女の結界師/Witch Enchanter:3点

白で邪術師とは

第三の道のロラン/Loran of the Third Path(3点)に近い性能。

白単イニシアチブにおけるエメリアの呼び声/Emeria's Call(3点)と差し替え採用できるだろう。


朦朧への没入/Sink into Stupor:4点

ネオ神河にまだこんな地形が?

既存の青両面土地、海門修復/Sea Gate Restoration(3点)の使い道は2つで、Jewel ShopsかAll Spellsだ。

Jewel Shopsにおいては、爆発的なコンボの仕上げに海門をぶっぱなすことも無くはないが、大半のゲームで島兼ピッチコストの役割となる。

後者は研磨能力を止めない土地であることに最大の意義がある。7マナ出ること自体稀であり、オール・イン的デッキゆえに手札の残枚数も乏しい。

海門の第1面をプレイすることは稀とわかった。その点朦朧への没入は3マナインスタントと軽く、相手のエンドに妨害パーマネントを退けてコンボを始動させる助けとなる。無理なく置換できるだろう。


知りたがりの学徒、タミヨウ/Tamiyo, Inquisitive Student:3点

在りし日の姿

調査のため若干品質に劣るとはいえ、1マナで継続的にアドバンテージを得られるのは、前代未聞の性能。

素直に使うならDimir Lurrusや、最近とんと見なくなったがJeskai Arcanistあたりが職場となろう。

しかし、手がかりトークンにより積極的な意味を見出し、最高工匠卿、ウルザ/Urza, Lord High Artificerと組ませたTinkerというのも考えられる。オークに滅ぼされたRagavan Tinkerの後継である。 

裏面は[-3]で何か1枚でも回収できれば上々だろう。


まとめ

#1 苛立たしいガラクタ/Vexing Bauble
#2 朦朧への突入/Sink into Stupor
#3 ネザーゴイフ/Nethergoyf
#4 魔女の結界師
#5 知りたがりの学徒、タミヨウ/Tamiyo, Inquisitive Student
#6 こそこそサクサク/Sneaky Snacker


近況

8月に出る添削氏の同人誌に寄稿したのでヨロシクな

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