MKMとヴィンテージ

ラヴニカ随一の富豪でヴィンテージ仲間でもあったテイサ嬢が凶刃に倒れたとの報に接した。真相解明の一助となるべく、官庁街、路地裏、酒場、廃墟、公園、銀行、発電所、下水溝、駐屯地、地底海の調査に乗り出した。

点数基準

6点

常軌を逸した強卡に対する殿堂的な枠。多くのデッキで使用が当然視される、メタデッキを作り上げた存在である、それの為だけに色をタッチされる、といった力量を備える。
例：Ancestral Recall、トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy、ウルザの物語/Urza's Saga

5点

ヴィンテージの主役級の卡であり、メタゲームを変動させうる存在。それを標的とした対策卡を積まれるレベルの影響力、存在感を示す。
例：最後の審判/Doomsday、ロリアンの発見/Lorien Revealed

4点

特定のデッキで大きな役割を果たす卡。または特定のデッキに対する有力な対策。
例：一つの指輪/The One Ring、鏡に願いを/Beseech the Mirror、暗黒の儀式/Dark Ritual

3点

あるアーキタイプでの使用を検討される卡。
例：継ぎ接ぎ自動機械/Patchwork Automaton、選定された平和の番人/Anointed Peacekeeper、激情/Fury

2点

あるアーキタイプで使われることはあるが遭遇率は3点より低い。サイドボード候補卡。
例：呪文貫き/Spell Pierce、稲妻/Lightning Bolt、アージェンタムのマスティコア/Argentum Masticore

1点

僅かながら実績を持つ。または、過去に一定の実績を持つ。
例：霊魂奪取/Soul Rend、墓忍び/Tombstalker

0点

卡力が低くヴィンテージにおいては存在しえない。
例：Tidal Flats、Tetsuo Umezawa

個別評価

罪人の焼却者/Incinerator: of the Guilty:0点

昔は神話にクソドラゴン枠があった

オースから特殊召喚し、またオースで生じた大量の墓地リソースを証拠収集につぎ込めば敵軍を全滅させられる。

問題はやはり除去への弱さだろう。除去耐性が無いのは見ての通りだが、攻撃する前に除去を当てられると何の爪痕も残せない。これは、主流である偉大なる統一者、アトラクサ/Atraxa, Grand Unifier(4点)やグリセルブランド/Griselbrand(2点)に大きく劣る点だ。

またアグロ対策としても、セラの使者/Serra's Emissary(1点)ほど徹底していない。

犯行現場の再現/Reenact the Crime:0点

ラヴニカにもサイバーパンク的な技術があるのか

今回のコンボ枠。次のような使い道を考えた。

・鏡に願いを/Beseech the Mirror(3点)ストーム

ミラー連鎖のにこいつを組み込んでストームを稼ぐ方法だ。しかし、ミラーのsequenceを書き出すと、

1. マナ加速

2. ミラー連鎖2～3回

3. ヨーグモスの意志をサーチ＆プレイ

4. 協約したMoxやマナ加速を並べ直す

5. ミラー→苦悶の触手/Tendrils of Agony(4点)

この時点で優にストーム10回は稼げているはずで、これ以上の冗長化は不要だろう。

・リアニメイト

詠唱誘発能力も得られる点が差別化となる。対象としては、絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger(0点)あたりだろう。
※　再現はインスタントゆえ、引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn(1点)を釣るのも不可能ではないが厳しい

これは強力だが、墓地肥やし等の下準備が必要であり、再現自体も4マナと相応に重い割には、決定的でない(勝利確定とまでは言えない)点が気になる。

と、大きな可能性は感じられなかった。やむなく0点。

門衛のスラル/Doorkeeper Thrull:1点

スラルのくせに気取ったポーズだ

CIP禁止タイプはいくつかあるが、瞬速を持つ点が出色。

例えばサーガの3章に対応してコイツを召喚し、そのままファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought(1点)を展開、といった動きも可能となる。
指輪ら重量アーティファクトのCIPを主軸とするJewel Shopに対しても、それらアーティファクトの詠唱に合わせることで実質カウンターとして機能する。それどころか切望の宝石/Coveted Jewel(4点)には、スラルで空から殴ってコントロール移動誘発のみ頂くことも狙える。

ドレッドノート踏み倒しデッキで、踏み倒し部分を担う激しい叱責/Dress Down(3点)や静寂をもたらすもの/Hushbringer(1点)との入れ替え枠となる。ただし、このデッキタイプ自体が非常に少ないため、1点とした。

泥棒隼の事件/Case of the Filched Falcon:2点

この電話ボックスみたいなの何？

今回の新エンチャント・タイプCaseの中でも最軽量の1枚だ。1マナでまず手掛かりを与え、それ含めアーティファクト3つを揃えることで、4/4飛行を作成する。

ヴィンテージにおいて解明条件の達成は容易であり、4/4飛行も攻防に信頼できるスタッツ。起動コストがやや重いが、インスタントタイミングで使えることを考慮すれば許容範囲だろう。

Lurrus Sagaでの利用に期待して2点。6マナ以上あれば、ドロー1枚+4/4飛行が毎ターン得られることになる。相棒条件ゆえの決定打の乏しさをカバーしてくれる見込みもある。入れ替えとしては、除去等の自由枠となるだろう。

長い別れ/Long Goodbye:2点

ミステリーファンにはたまらない1枚らしい？

燻し/Smother(0点)の上位互換。あるいは、単色ゆえ範囲が縮小した突然の衰微/Abrupt Decay(2点)と要約できる。

現在、黒の除去枠としては・・・

• 切り崩し/Cut Down(2点)

• 致命的なひと押し/Fatal Push(2点)

• レイ・オヴ・エンフィーブルメント/Ray of Enfeeblement(1点)

このような1マナ除去が主流であり、Goodbyeは1マナ追加オプションでカウンターを無視できるようになったものといえる。

小型クリーチャーといえども、アゾリウスの造反者、ラヴィニア/Lavinia, Azorius Renegade(4点)、溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe(4点)のようなカウンター合戦自体を抑止する力を持ったシステムクリーチャーは多くあり、これらを確実に葬れる意義は大きい。

DoomsdayやMirror Storm等の黒系コンボデッキでサイドボードに登用される可能性がある。

毒を選べ/Pick Your Poison:3点

モードを選ぶのはこっちなので安心

1マナのutility。

エンチャントのモードで、サーガ除去が可能。

飛行モードは言うまでもなく、鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind(4点)やアトラクサら巨大クリーチャーへの回答となる。この枠は巻き添え/Run Afoul(1点)という先輩も存在する。

悔いが残るのは、アーティファクトモードだろう。脅威となるアーティファクトがあっても、隣のMoxをサクられるだけで手仕舞いとなってしまいそうだ。しかし、最序盤なら減速として使うことは可能だ。

巻き添えのスピードが落ちた代わりに大きな汎用性を手にした卡であり、HogaakVineを中心としてサイドボードで起用されると予想。

総評

今回も低調な仕上がりとなってしまった。卡槽の拡大、それに伴う環境の高速化により、新卡への評価はますます厳しくなっている。