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雑多な怪談の話

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#三題話

SS 怪談ー中止の夏祭り【夏祭り&難易度&世論調査】三題話枠

「世論調査の結果だ……」  町内会長はテーブルに資料を静かに置いた、夏祭りの中止が決まる。公園でドンドコ太鼓を叩かれて、うるさいと苦情が入る時代だ。それに若い人も少ない、夏祭りを盆踊りで楽しむのは老人ばかりだ。 「じゃあ中止と言うことで……」  ぞろそろと部屋を出て行く老人たちはさみしげでもあるが、すこしだけほっとしていた。夏祭りに嫌な思い出がある。女の子が盆踊りの中央の高い櫓で首を吊った。次の年は中止になる、今年から始めようとして近所でアンケートを取った結果が悪かった。

SS 文芸サークル【数え歌&過半数&学生証】三題話枠

「一つとや 一夜明ければ 誰も居ぬ 誰も居ぬ」 「おいやめろ 辛気くさい…………」  同窓会で集まって飲むの六年ぶりだろうか、文芸仲間で小説を書くサークルに属していた俺は、会社の仕事がいそがしくモノを書く事も忘れていた。  数え歌を改変して歌うのは怪談が好きな、Sだ。彼はやたらと怪奇物を好んで書いていた。誰もが彼を変人として扱ったが、小説仲間はみなが変人みたいなものだ。 「Mは来ないのか? 」  女性のMはサークルの紅一点で、童話が好きな彼女は子供用の作品を量産していた

SS 古いガソリンスタンド 三題話【ガソリンスタンド&パッケージ&衆議院】

 仕事帰りに深夜の田舎道を車で走る。衆議院の先生の秘書として働く俺は、速く帰りたかったが、ガソリンが足りない。給油をするためにガソリンスタンドの場所を探した。カーナビで店を見つけて車をまわすと、そこは照明が暗く陰鬱な雰囲気の店だった。セルフなので自分で給油して金を払う。 「ガソリン代がまた値上げか」  俺はパネルを操作しながら料金を払おうとした。故障なのか料金が払えない、俺は呼び出しボタンを押して、店員が来ると期待をしたが、事務所から出てこない。 「なんだ寝てるのか?」

SS 夜の株式会社 三題話【ティーブレイク&株式会社&妥協】

 深夜のビルの窓は暗い。残業する人達が居るのか窓の一つに明かりが見える。夜の株式会社だ。普通と異なる能力を持つ彼らは、妖怪や悪魔と交渉す深夜の戦士。  若いOLが不満そうに係長に文句を言う。 「えー係長、栄光の手って経費で落ちるんですか?死刑囚の手ですよ」 「葬儀屋にコネがあるんだよ、袖の下で使うから計上しといてくれ」 「課長が呼んでます」  若い部下が係長に近づくと耳打ちする。嫌な顔をして、髪の毛がすっかりまばらな係長が課長の席に行く。もう歳で現場仕事に狩り出されるの