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雑多な怪談の話

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2024年4月の記事一覧

孤独な少女【新生活20字小説参加作品】

新しいクラス、新しい友達、新しい無関心で その新しくもない世界で、孤立を望む少女は 何も関心がなく、ただただ椅子に座るだけで そんな彼女を見つめる一人の男子は心揺れる 「彼女と友達になりたい」手を差し出す勇気 いつも彼女を追い求める瞳は、少女に伝わる 「私に近づかないで」無機質で無感動で冷静 「君と友達になりたい」男子は彼女に近寄る 淡く影の無い少女は、彼を見て微笑を返した 「死んだら一緒に」腕をつかみ彼と窓から… #新生活20字小説 #シロクマ文芸部 #

SS 人魚【#水槽のうんこ】 #爪毛の挑戦状

 地下の水槽は汚れてやすいので浄化装置の稼働だけではなく塩素の錠剤を入れる。白い錠剤を入れるとぶくぶくと泡を立てた。うんこをするので浄化のためだ。 「ちょっと苦しいけど我慢してくれよ」  人魚が顔を出した口をパクパクさせている。この施設では彼女たちを実験のために捕獲して閉じ込めていた。人魚が顔を出して俺に話しかける。 「オサカナアル?」 「あるよ」  バケツから鯖をまるごと投げると手で受け取って食べ始めた。人の言葉を理解して真似る事ができる人魚は小学生くらいの知能はあ

SS 黒いオルゴール【#小さなオルゴール】#青ブラ文学部(520文字くらい)

「黒いオルゴールがあるの」 「どんなオルゴール?」 「小さくて、真っ黒なの……」  小さなオルゴールを開くと、美しくきれいな曲が奏でられる。 「先生、これあげる」 「あ……ありがとね」  手製のオルゴールは、どこか歪んだ印象がある。そして黒い色をしていた。  都市伝説でよくある怪奇現象が起きる話で、黒いオルゴールを聴いていると精神を失調して最後は……ありがちな話だ。  生徒達が工作の授業でオルゴールを作り、生徒は自分の作品を持ち帰る。だけど一つだけ余っていた。誰が作

SS 夢 【#春の夢】 #シロクマ文芸部

 春の夢を見たと彼女はつぶやく…… 「――春の夢なんですよ、桜が咲いていてとてもきれい」 「良かったですね」  胸元は鎖骨が浮きでて痛々しい。 「私も桜を見たい」 「もう葉桜ですからね」  布団から体を起こしているのもつらそうに見える。しばらく話して別れの挨拶をそこそこに部屋を出た。部屋の外で待っている母親がつぶやく。 「来年までは、もちません」 「……そうですか」 「婚約を解消しましょう」 「わかりました」  婿入りの予定だった、次男の自分にはもったいないくらい

SS 孤独な男【花冷え全員集合】 #毎週ショートショートnoteの応募用(440字くらい)

「元恋人が部屋の中に座ってるのですか……怖いですね」 「付き合ったつもりはこちらはなかったんですけどね…」  事故物件、それは前の住人が死亡した賃貸の事である。次に借りる人には告知義務があるが、誰か借りた後ならば必要ない。 「それであなたは事故物件専門に住んでいると……」 「はい……安いので」  花冷えがするのか雨で寒い。陰鬱な青年は憔悴して顔色が悪かった。 「それでどうしたいのですか?」 「早く楽になりたい……」 「引っ越すとか?」 「ついてくるのです」  彼は事

SS 発明品【オバケレインコート】 #毎週ショートショートnoteの応募用(410字くらい)

 博士が透明なレインコートを着ている。その前に一人の記者がメモをとっていた。 「博士、発表されたオバケレインコートとは、どんなものです」 「着るとオバケになります」  記者は質問を重ねた。博士の作った素材で霊界と接触できる。画期的な発明で興奮をした記者は 「死んだ人に会えますか?」 「可能です」  博士と記者がレインコートを着て、墓場に到着するとオバケが居る。 「見えますね」 「レインコートの力です」  博士がオバケに挨拶する、記者も取材できた。死んだ理由やオバケ

SS 祈るとき 【#祈りの雨】#青ブラ文学部(760文字くらい)

 薄暗い森に逃げ込む。追っ手の村人は、しげみを棒でつつく。 (もう少しよ) (あい、姉さん)  雨が降らない、雨を降らせるためにはイケニエが必要だ。幼い妹が選ばれる。 「村から逃げましょう」 「でも村のためには……」 「迷信よ、去年はイケニエの娘が死んでも雨はふらなかった……」  賢い姉は大人達の偽善を知っている。少しでも前の年と違うなら口減らしのために女を殺す。そうしないと村に人があふれてしまう。  追っ手が消えて足音を忍ばせて逃げ出すと……若い男が姉に合図する。

殺人少女の告白【#変わる時】 #シロクマ文芸部

 変わる時は誰にでもおとずれる。 「私が祖母を殺しました」 xxx  祖母はやさしい人で怒った事もない。いつもニコニコして誰からも好かれいた。私が友達にいじめられるとやさしくしてくれる。 「おばあちゃん、みんながいじめるの」 「あら、泣いているの? 大丈夫よ」  祖母はブリキの缶から包まれたラムネを取り出すと食べさせてくれた。子供の頃は祖母になついていたが、彼女は老いると性格が変わる。 「私のお金を盗んだでしょ」 「盗んでませんよ、おかあさん」  母は介護ノイロ

【怪談】 公園の風船 【#虎吉の毎月note参加作品】

 春の風がまだ冷たいが、桜の季節…… 「もう四月なのに……」  暗い公園を通り抜けようとしたが、何か潜んでいるようで怖い。でも桜を見たい気分で、大丈夫だと自分に言いきかせる。 「夜桜だぁ!」  街灯の光は、桜のピンク色をより一層鮮やかに照らし出し、夜空に咲き誇る桜の姿は……何か怖い。  ふと気がつくと桜色の風船が浮かんでいた。ちょうど人の頭の高さに浮かんでいる。だらりとぶらさがるひもをつかむ者はいない。 (――なんで風船)  ちょっと意地悪な気分になる、風船を割