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雑多なSF設定

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SF設定の小説を集めます ・ケモナーワールド ・ジェリービーンズ ・猫探偵
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2024年2月の記事一覧

SS 【デジタルバレンタイン】【SFチックな】#毎週ショートショートnoteの応募用

「突入せよ」  ジリジリとした時間から解放される喜びで、下肢が跳ね上がる。任務は単純だ、人質の救出。 「隊長はバレンタイン知ってますか」 「古代の風習だったかな……」  義体の体は高価なサイボーグ素材で作られている。隊長の義体は、ゴリラのような巨大な胸をしていた。 「昔はチョコレートを好きな人にプレゼントしたんですよ」 「チョコってなんだ?」  義体は人間の食べ物を分解はしない。食べられるが溶かすだけで栄養にしない。代わりにサイボーグ用のゲル状の流動食が使われる。隊

SS 帰還 【青写真】 #シロクマ文芸部

 青写真が、机に置かれている。 「間取り図ですか」 「かなり古いね」  図面に描かれた線は、輪郭もわからないくらいに古くかすれている。半世紀前の図面から、奇妙な隠し部屋があるとわかる。 「きっとおじいさんの遺産があるんですよ」 「隠し部屋か、ロマンだね」  親戚は興奮で騒いでいるが、弁護士の私は懐疑的だ。 (わざわざ隠す理由がない……)  遺産があるなら私に真っ先に知らされている筈だ。資産家の故人の男性は、何かの特許で財をなした。あり余るほど金はある。 「さっそ