『みどりいせき』感想というより作者の大田さん絶対に良い人だという直感について

令和版ライ麦か限りなく透明に〜か、文体は町田康さんか。

以上。

という感じでした。

しかも、最初の1ページ目で、あ、これ町田康さんじゃん、となり、
若者でドラッグの話だったらライ麦で限りなく透明に〜じゃん、と直感し、


その直感は最後まで覆ることなくサラッと終わっていきました。


ここ最近は読書といっても学術書ばかりを読んでおり、小説としては、1-2年ぶりにしっかりと興味を持って入手して読んだ作品だったのですが、

期待を大きく超えるような感動はあまり得られませんでした😔


実際、作者の大田さんはインタビューで町田康さんに言及されているし、音楽活動もされていたということで、ある種のそういう属性の人が持つ、一定の才能(バイブス)があるんだろうなと思いました。

そもそも、私自身はあまり純文学や小説というものに詳しくありませんが、
大学時代にサミュエル・ベケットの『ワット』を履修済みなので、
文体ではあまり驚きませんし心が動かされません。


LSDでラリっている表現を、ひらがなのみで書くとか行間・文字間をバラバラに書くとか、まあそうするしかないよねとも思いますし、意外性はないです。

というか、中盤で予想すらしてました。ほらきた、という程度です。


なので、バイブスとか勢いはもうどうでもよくて、基本過去の人生のどこかで通っていて、なかなか真新しいものって出会えないです。

よって、自動的に、表現されている内容や物事そのもので自分の心が動くか?

みたいな自分との勝負のような感覚で、各種芸術作品とは対峙しているんだと思います(小説に限らず、映画、絵画、時に音楽、ライブ体験など)。

その点についても、『みどりいせき』は非常に普遍的で単純なことを述べているので、それはもう一回考え尽くしたよ、過去に通ったよというか、
端的に言って心は動きませんでした。

どちらかというと、子供を虐待する人の心理を知りたくて昔読んだ『鬼畜の家』とか

そういう読み物の方が、感動はしませんが心は動きますし、というか抉られました。


ただし、ここ数年日本の純文学作品で(古典以外)ものすごく心が動いた記憶がないので、自分の感性にもう合わないのかもしれません….

※後から思い出しましたが、ハンチバックはすごい良かったです。自分の想像力の外に出るような、重度の障害のある方が、こんな感覚で生きているんだ、とハッとするような発見が多くありました。描かれる内容や事柄に心が動いたのです。


一つ言えるとすれば、大田さんは大変に性格が良く、真っ直ぐで正しい人だという印象を受けました。

作品自体は私にとって目新しいことは何もなく、月並みな印象を受けたのですが、大田さんという方は絶対に良い人だろう、一生懸命生きているような、素敵な人だろう、ということだけは、記憶に残りました。

なので、小説自体よりもインタビューが良いですね。インタビューを読み漁るのが楽しいです。

自分に正直で、ダメなことにダメと言い、無理をしない、自分の言葉で話すし、愛嬌もあり、非常に魅力的そうな人物だと思いました。

お仕事はゴミ清掃員をされているのですね。

全くの偶然ですが、今年のゴールデンウィークには、夫がデスクワークにより最近メンタルが不調だったので、
良い仕事はないかと思い、
ゴミ清掃員など体を動かす仕事やエッセンシャルワークについて調べていました。(今は夫は回復しました。)

こういう本を読んだり(いつどういう経緯で買ったのか全く覚えていない)

Youtubeを見たり

して過ごしており、大変で素晴らしい仕事だな…. と思っていたので、

大田さんやはり!!!!

と、ユリイカの感覚でした。

小説自体でパキるというより大田さんがゴミ清掃・収集のお仕事をされていると知った瞬間の脳汁の方が強かったかも。


ちなみに私は、数年前から環境問題に興味を持っており、自宅はゴミ箱が5つあります。
可燃 / プラ / ペット / ビンと缶(箱は一つだが出すときに分ける)/ 古紙 です。

さらに、自治体回収よりも企業の自主回収の方がリサイクル率が高いので、近所のスーパーで回収している牛乳パック、ペットボトル、キャップ、食品トレー、古紙は、アパートのゴミ置き場ではなくスーパーに持って行きます。

こうした取り組みによって、私は自分を愛せるように仕向けてきました。ゴミを分別しているときや持参するときに、自己肯定感が上がりますので、みなさんお試しあれです。

※もちろん、そもそもの量を減らすため、過剰包装を断るなどの取り組みも怠りませんよ。

さて、話を戻して、

基本、私は男性と白人が苦手なのですが、例えば好きなアーティストなどは、この人アジア人差別しなさそう、などで好感を覚えることがあります。

大田さんにも、そのような類の好感を覚えました。

差別に厳しく、人権意識が高く、誤りを冷静に指摘されればきちんと受け止め、直してくれそうな印象です。もしくは、冷静に反論や建設的な議論ができそうな人物です。


そのような、好感度の高い人物を形容する言葉を、最近入手しました。

「真実の愛をやっている」人および人たち


「真実の愛をやれる」人でもいいかも。

冬野梅子さんのスルーロマンスから引用しました。

最近私はこの漫画家さんに夢中です。
この方の人物描写は、知っていること・想像の範疇の少し上、外に超えてきてくれるのです。

例えば、私は既婚者なので、独身者でアラサーの女性の絶望を、わかっているようでわかっていないことを思い知らされます。



話が脱線しましたが、大田さんは真実の愛をやっている人なんだなと思いました。

そういう方が世間の注目を浴びるのは、小説という作品や受賞を通じてでも、どんな形でも、社会を前進させる良いことです。

例えば、類似の事例として、米津玄師さんの朝ドラオープニングに関するインタビューなどがあります。内容が、偉すぎる。


時折、「アーティストの人間性と作品は切り離し、作品を純粋に評価すべきだ!」
とかいう愚者がいますが、

アホか、園子温の映画など気色悪くて見てられるか、という感じだし。

なんなら、ピカソも酒癖女癖悪かったので、軽蔑してますよ。

生涯一人の女性を愛し通したエッシャーの版画が大好きです。

※思いついたのが、女性関係や性加害に関する事例に偏りましたが、それだけではないよ。ちなみに、シンドラーは奥さんに冷たかったり浮気性だったそうですが、彼の善性の発動の仕方が興味深く、実際行動も立派なので結構好きです。とはいえ、やはり普段注目しているトピックが性やジェンダーのことなので、やはりそちらに寄ってしまうのかもね。



ということで、小説自体は私の好みにはあまり合わなかったのですが(全然嫌いではないんですけどね)

作家さんがとにかくすごく良い人だと思うので(「真実の愛をやれる」人です)

そういう人が見つかって社会に一石も二石も投じてくれるのは、大変素晴らしいことで、応援したいと思いました。

次回作も、ファン・推し活のような気持ちで、購入して読みたいと思います。

年齢が一つしか違わないので、早く自分も何かしらで身を立てて、一緒にやっていくぞーというような感じで仲間入りがしたいですね……


※とはいえ、ガンディーは30代まで鳴かず飛ばずでしたが、数十年を経て学んできたことや思想・価値観が発酵し、60代で塩の行進を実現させたので、
焦らず大器晩成型の気持ちで、日々の研究や仕事に取り組んでいきたいです。


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