アニメ『境界戦機』の個人的な感想 第9話編③(どうあがいても物別れ)

ゴベールから「ユウセイが自由アジア軍のスパイをやっている」と告げられて大いに動揺するガシン。
彼にとってユウセイは頼れる兄貴分であり、実の父親が死んだ時一緒になって泣いてくれた優しい人であるのだから無理からぬことである。
書いてて思ったのだがガシンのユウセイに対する思い入れの強さ、キャラが変わったのかと思うレベルで強い。そんなぽっと出のキャラにそこまでしてもどうしろというのか?
ともあれゴベールの話を横から聞いていたケイも心なしか困惑している様子であったが、ガシンともとに事の真贋を確かめるため再び『自治区』へ向かうのであった。

ちなみにケイが聞いた情報はガイとナユタにも共有されているがアモウ達には当初知らされずガイがうっかり口にしてしまったりしていた。
アモウとシオンのモブ化が確実に進行しているのを実感する。

浮かび上がる『自治区』の実態

さて、再度『自治区』を訪れたガシンは以前ユウセイが案内してくれたのとは違う場所を見て回ることになるのだが、早々にマトモな舗装のされていない封鎖された道路に出くわす。こんなものは外の日本人の町でも見たことがないものであり、これだけ見ても整備が行き届いていない実態が明るみになってしまっている。

以前は賑やかに迎えてくれた住民であったがその話に聞き耳を立てると「道や橋の修理がまだされていない」と不満を口にしていたり、薬局に足を運べば何かのスプレーが『割安セール』をやっている横で欲しい薬がないかと尋ねる老人に店員らしき人物がまだ来ていないと申し訳なさそうに答えている姿が。

ユウセイが見せてくれたものが偽りだったことに些か落ち込んだ様子を見せるガシン。そんな彼を見かねたケイは「ここの住民の生活水準は高いがそれでも不満というものは出てくるものだ」とどこかズレた励ましをしてしまう。
しかしそんな励ましを無下にするかのように庁舎に向かっているらしい自由アジア軍の車両がガシンの横を通り過ぎるのだった。

庁舎の監視カメラをハッキングし様子を探るガシンはユウセイと自由アジアの軍人のやり取りを見てしまう。

「話が違う」と色をなすユウセイに対して余裕の態度を見せつつ「非公式のこの自治区のことが広まってしまったら存続さえ怪しくなる」と言ってのける軍人。
何か心当たりがあるのか抗弁を戸惑うユウセイに対して軍人は「今から話すことを実行してくれるなら物資の供給について融通してやろう」と言葉を続ける。

もうこれでハッキリと分かるだろう。

ユウセイがスパイをやってまで手にした『自治区』というのは結局は自由アジア軍の管理下で成り立つ砂上の楼閣でしかなかったのである。

それを見られていたとは露知らずのユウセイはガシンに連絡をいれるのであった。

間違いだらけの選択の果てに

ガシンの仲介を挟みヤタガラス本部へやって来たユウセイだったが、キリュウらと会ってすぐにヤタガラス殲滅作戦が展開されることを告げ、すぐに手を打たないといけないと言い出し、キリュウらはこの言葉を受け入れる。
ユウセイはそれだけ告げて帰ろうとするが乗ってきた車がガタがきてしまったのか動かないらしく一泊することに。
そうして夜が更けたあたりで本部を抜け出し夜の車道を歩くユウセイをガシンが呼び止め、二人は互いに拳銃を突き付け合う。
そこでユウセイの目論見であるヤタガラス本部の情報奪取の目論見はキリュウらも含めて看破されており、数日後に自由アジア軍が作戦準備を整える頃には本部は引き払った後であることをガシンは述べて、あえてこちらがユウセイの策に乗ったように見せればユウセイへのお咎めはないだろうと続けた。
それを聞いたユウセイは自分は道化かと悔しげに言葉を漏らした。小さな情報のリークから始まっていきそれが時間が経つにつれ本格的なスパイ活動になっていった。そうして手を汚してはじめて手に入れた自治区への思い入れがユウセイを後戻り出来ないところまで追い込んでいた。
それを察知しつつも改めてほしいという気持ちからか呼び掛けようとするガシンを強く拒絶したユウセイ。
彼はガシンに背を向けて立ち去る、「ヤタガラスとは違う、あくまで自分のやり方を貫く」と言い残して。

以上が9話の大まかな流れであるが、この回ではガシンにスポットを当てた構成になっているはずなのにどういう訳かガシンのキャラがそれまでのものとは大きくブレるような場面が目立ちむしろ彼のキャラクターへの理解を妨げてすらいる。
次回ではとうしてそのようなことになってしまったのかについて、自分の考えを述べていきたい。

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