アニメ『境界戦機』の個人的な感想 第18話編①(迫り来る本当の文脈崩壊)

前回のラストでコンタクトを取ってきたユウニイこと末永ユウセイだが、前回かなり険悪な様子で物別れになったのに一体どうしたのか。自分のとこの自治区に危機が迫って来ており恥をしのんで助けを乞うのかと思いきや「独自のネットワークからユーラシア圏の親日軍人が運営してる秘密の保護区に危機が迫ってるので助けてやってほしい」とのこと。

脚本お前ふざけんなよ。
これわざわざユウニイを出すのは脈絡無さすぎるだろ。どういうことなんだよお前。

また大きな船を貸し出してもらいユーラシア圏へ向かう途上でガシンからユウニイへの謎(ホントに謎)フォローが入る。やむにやまれず自由アジアのスパイやってたユウニイだけどヤタガラスを売らなかったのは理解してほしいみたいに言ってきた。

脚本お前マジでふざけんなよ。
これもうユウニイが出ないか後で酷い目にあうかしか考えられないだろうが。どういう雑な扱いだよマジお前。

ともかく保護区へ向かうヤタガラス一向。今回はゴウケンらも同行しているが、前にゴベールに顎で使われてた時はアモウらだけで行かせたのは何だったんだよと今更ながら思ってしまう。

保護区に着いたら以前救援した東北のレジスタンスの隊員の女の子がいて、彼女の姉の旦那さんが保護区を管理するユーラシアの軍人だったのだが、これならユウニイじゃなくて東北レジスタンスのまとめ役のオッサンから助けを求めさせるのでも良かったんじゃないかと。今回こんなのばっかりだ。

保護区の煙突からモクモクと煙を上げる工場やヨーロッパ風の町並みを写しながら保護区代表の軍人さんが「自分は日本の文化や伝統が好きなんです」と言われても絵面の説得力がない。そんな長話を聞き続けたヤタガラスは依頼を引き受けるのだった。
この流れDASH村ごっこの回でも見かけたような。相手の話を聞き入れて感謝される流れヤラセ番組っぽくて嫌になる。

しかしこの保護区とやらは北米軍からは辺境だの言われてるような所に位置してるらしいが日本の本土を辺境呼ばわりとは東京住まいのスタッフの地方を見下す考えを反映してるのかもしれない。

あとユーラシアでは日本は廃墟になっててろくに議題にも上がらないと言われてたんだがその前の話では北米軍のブラッドやスピアーズが「日本は世界の最前線」とか「北米同盟の発展になる」と言ってたのは勢力ごとの日本に対する認識に落差がありすぎると言う他ない。
さて北米サイドでは軍事予算案がブラッドが縮小派議員を取り込んだこともあり軍の都合のよい方向で決まったのだが、採決の仕方がどう見ても多数決で一人だけの反対派議員がどれ程のものかと言いたくなる。
それと今回は親衛部隊のザックとかいう本来の軍隊の指揮系統から外れてるらしい人間が部隊の指揮をとるだけでなくゴーストのコピーを寄越せとか言ってるようであり、北米軍もどんどんおかしなことになってきている。『親衛』じゃなくて『新鋭』の可能性もなくはないけど公式サイトで情報も掲載されてないので何とも言えない。
そしてザックのキャラも陳腐なイキりキャラと言った様子で没個性かつ魅力を欠片も感じない。強いて気になった所を挙げればアモウと似たような後ろ髪をしていることくらいか。

自分はこのアニメについて作りの雑な脚本だけでマトモな背景設定は用意されてないんじゃないかと常々思ってきたがもう確定してもいいんじゃないかと思えてくる。
『既存キャラの改悪』
『不自然な主人公サイドへの肯定的描写』
『セリフだけは無駄に多いゲストキャラ』
『主人公アモウのモブ化』
『嫌われる前提で用意した陳腐な敵キャラ』
それまでの境界戦機でやらかしてきたものが現時点でこれだけ詰まっているというのは悪夢であると言わざるを得ない。

前回の話までで既に他の方からアモウに関して「話が繋がってない」「辻褄が合わない」「文脈が崩壊している」という趣旨の感想が多々あったが、今回の話ではアモウどころか作品全体の整合性が取れなくなってきており、終盤での空中分解すらあり得てきた。
日本や日本人への扱い、世界情勢とそれが日本の戦況によりどのように動くのか曖昧にしてしまっていたツケがここに来て回ってきたと見るべきか。
単純な善悪二元論と空虚な日本人肯定描写の闇鍋アニメ『境界戦機』のこれからが不安になる。

あとこれまだこの話の前半であり、それまでに色々と宜しくない描写をしていて後半で持ち直せるのか?…と思ってる人は流石にいないだろう。

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