アニメ『境界戦機』の個人的な感想 第22話編(ここにきて、捨て回。)

面白いアニメやゲームに触れるとクソアニメの感想文とかやってられなくなる。これは最近得た知見であって更新が遅れた言い訳では断じてない…というのは流石に無理があるか。

まぁとにかくやっていこう。前回では東京にやって来たアモウらが狙撃事件に関与した疑いをかけられて拘禁されつつもブラッドの手引きでホテルから抜け出すまでをやっていた。
それが今回では事件の犯人として扱われているらしく裏路地に隠れて行動する羽目になっていた。しかし映し出される町並みは経済的な困窮とはいかにも無縁そうに見えて、それに対しアモウは何か思うところがないのかと考えてしまう。
しかし実際のところアモウから何のリアクションもないので所詮は設定を反映させてない背景でしかない…というメインスタッフの手抜かりばかりが印象付けられる。
まぁ今に始まったことではないが。

一方新潟?の新日本協力機構(以降新日本)ではそんなアモウらに帰還を促す声明を発表することにしたようだが、これよくよく考えるとこの時点で既に北米側にとって大いに都合がいいことになっているように見えてしまう。
何せ新日本のこの行為は「北米の議員を狙った狙撃事件の犯人を自分達で匿おうとしている」と喧伝しているに等しいのだ。
あえて何も反応せず黙ってアモウらを回収するとかでも良かったのでは?
思うのは素人考えかもしれないがそうすべきではとつい思ってしまう。

そしてアモウを迎えるために車両だけでなくアメインの用意までしだす新日本サイド。北米軍がアメインまで持ち出すのを想定しているんだろうが後先考えてないだけとも取れる。
あとこのシーンでヤタガラスの隊員のマサキがユーラシア軍の軍人…アレクセイの副官と何かしらやり取りしていたが、雑な『フラグ立て』以外の意味はないので内容は省略。

実際北米サイドも事を起こすのは前提で動いていて、ノリノリで追撃部隊を引っ張り出してきたりしている。
ブラッドもゴーストもといブレイディファントムで出たいというものの今回は後詰めを言い付けられる。それに対して「自分は父親の役に立ちたい」とゴベールにこぼしているのだが、当のゴベールもその父親と通じていてブラッド切り離すことになってもいいやとか言ってたのを知ったらどんな顔をするだろうか?
ゴベールはゴベールでこれから戦争という経済を回していこうとまるで黒幕かのように振る舞っているが、その実やってることはコンサル兼人材派遣どまりで北米のバカ親子が好き勝手に暴走してるという印象である。

さて場面はアモウ達に移るが、いつの間にか市街地を抜け出して森の中でシビエ焼き肉に興じていた。

オイコラ。お前ら追われてるって自覚あんのか?(半ギレ)

しかし二期に入って大真面目な振る舞いをしていたアレクセイがここにきて一期で描写されていたイロモノ感を出してきてズッコケそうになるが、それに輪をかけてアモウが酷いことになっている。
アレクセイにブラッドに強い敵意を見せたことについて問われたアモウはブラッドが策謀を巡らしておりトライヴェクタの施設襲撃も彼の仕業なのではないかという考えを述べた後に「子供達に『手を掛けた』ことを俺は絶対に許さない」と口走るのだった。

オイコラアモウテメーコノヤロー。何勝手に子供を殺してるんだよ?
お前あの施設では子供に怖がられたのがトラウマになってるような描写なのを全無視していきなり何言い出してやがる?(全ギレ)

一応「手をかける」という言葉には攻撃するという意味もあるとはいえ作中の描写を見るに標的にされていたのは施設の人間てある。
それなら「施設の人たちを手にかけて子供達すら危険な目にあわせた」とかの法がまだしっくりくる。

まぁそんなこと話してると北米の追手に追い付かれて逃げ回ることになり、危ういところで友軍に救われるという展開になるのだが、ここがまた何とも締まらない。似たような構図と色合いの細かいカットが連続していて時間としては決して長くないのにダレてしまっているのだ。
加えるなら『追手に捕まりそうになる寸前で助太刀が入る』という他の作品でもやり尽くされた展開であることも無関係ではないだろうとも付け加えておく。

さて続く戦闘シーン、敵が棒立ちしてるのに「動きが素早いぞ!」みたいな噛み合ってない所は相変わらずなのであるが(普通のアニメであれば)見所となる場面がある。

まずレイキの強化である。
翼部と背面にミサイルランチャーを、腕部に機関銃を搭載し火力は大幅増強しているものの過剰積載なのか動きが鈍くなっており撃ち落とされないか心配になってくる。
ランチャーも弾を撃ち尽くしたらデッドウェイトにしかならないだろうが切り離すでもなく何故か青く光るようになったナギナタで近接戦闘仕掛けてるあたり武装に過信して運用が雑になっているのかもしれない。

次に味方サイドのキャラ、それも序盤からいたキャラから犠牲者が出てしまったことだ。それは他ならぬマサキ副隊長である…

……………………

えっ?マトモな出番もなかったキャラがいきなりこれ?そんなの死なせても反応に困るよ…?

ただしここの展開自体は途中までは中々に痛ましいものになっていて、まず味方を庇った際コクピットに敵弾が直撃する。そこで左足に血が飛び散るほどの重症を受けながらも「足の一本くらい!」…と気を吐いて敵に反撃、どうにか撃破に成功する。

そしてここからが問題なのだがいよいよ危ない所で味方から「すぐに脱出しろマサキ!!」と言われたマサキは「り、了解!」と返事した直後に機体が爆破するという『悲痛な描写のはずなのにテンポがギャグシーンのそれ』なんてことになってしまう。これ実物見てもらわないと中々伝わらなさそうで「キャラの最期の場面を茶化すなんて!」とか言われそうなのが…

これに対して悲しみ怒りを覚えたアモウらは敵に向かって猛反撃を加えて撃退に成功してはいる。それでも長らく戦ってきた仲間を失ったことはヤタガラスの面々(一部除く)に大きな心の傷を残すのだった…

さて今回の話は一見するとそれなりに出来の悪くない感じに見えなくもない。

だが実際は作画の動きのぎこちなさ、描写とセリフのミスマッチ、そもそものここまでに至る話のデタラメさが重なった結果『やるだけ意味のない時間潰しにしかなってない』と言わざるを得ない。

一期の時点でかなり酷かった話運びがここまで悪化するとは正直予想できていなかった。
複数勢力相手から一つの勢力に変更するって聞けば複雑な構想が解消され見やすくなると思われることがあるかもしれないが、このアニメでその理屈は通用せず、むしろかつての敵勢力がいい加減な流れで合流してくる展開に頭が混乱してくる可能性すらあるのだ。

一期の時点で日本人相手にイビり散らしてた連中、それもあるエピソードでは民間人の巻き添えも意に介さない戦闘までしていたのにそんな奴等と手を組んでアメリカ…じゃなくて北米軍を退けたところで日本の民間人は納得するのかと疑問が出てくるが、どうせ肯定されてしまうだろうとしか思えない。

無駄に時間を浪費して色んな意味で取り返しがつかない所まできてしまったこのアニメ、次回は一体どうなるのやら…


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