アニメ『境界戦機』の個人的な感想 第15話編②(唐突なキャラ変更?、それとトニー・ブランク大尉に思うこと)
このアニメ『境界戦機』だが戦争あるいは武力を用いて抵抗する人々を扱った作品としては奇妙なところがあった。
それは人間同士の命のやり取りの描写を徹底的に避けているように見える点で、作中での描写ばかりか敵が無人機を中心に運用していたりと設定込みで徹底されているようだった。
もっとちゃんとするべき所は沢山あったろうにと言いたくなるが、それは置いておく。
どうしてそうしたかはある程度予想がつく。このアニメでは不自然なまでの善悪二元論的なキャラ配置を行っており、善玉の日本人サイドが人の命を奪う…つまり手を汚すことをさせたくないという考えが存在しているのだろう。
しかしこの15話ではそれまでとは打って変わってハッキリと日本人サイドが敵の命を奪うという描写を入れている。それも序盤で命の奪い合いに少なからず抵抗のある様子をみせていたアモウがである。
これは主人公の豹変を見せて視聴者を驚かせてやろうというつもりで入れたのかもしれないし何故そうなったのかに興味を持たせたかったとも考えられるが、(少なくとも自分は)驚きよりも違和感の方が強く感じてしまった。
何故そう思ったのか。
前回言及していなかったがアモウは隠岐の島でゴーストを止めようとして爆発に巻き込まれた後、ミスズ達に救助され行動を共にしており、そこで何かしらがあったらしいことを匂わせているが具体的な説明もないので「このアニメのことだから変な理由とかなんでしょ?」みたいな不埒な考えが頭をよぎる。
まぁ流石に何かしらの話が差し込まれるとは思いたい。
それに今回始末したアメリカ…もとい北米軍のキャラのことを考えると始末しない方がおかしくね?みたいにも思ってしまうのもある。
(色んな意味で)かなり危ない男、トニー・ブランク
それでは話をトニー・ブランク大尉に移していこう。
このキャラなのだが初登場時部下に向かって格好つけた物言いを披露してたり日本人を蔑ろに扱い命を奪うことにも躊躇いがない…という風なキャラ付けがされており、これは一期5話で登場していた自由アジア軍の少佐であった悪代官キャラにそっくりであることは以前にも述べた。
一方でヤタガラスを陥れる為に間者を送り込み、それを口封じのために始末する、アモウに命を握られた状態でもその要求を突っぱねて反撃するなど自由アジアの悪代官よりかは一貫性のあるキャラ付けが一応はされていたりもしている。
ただしこのキャラ付けこそこのアニメのおかしな所である。
まず北米軍は真意はともかく表向きは日本人への態度も穏当であり比較的好意的に見える描写がされたおり、それが二期になってメインの敵役になった途端このようなキャラを出してくるのはいくらなんでも脈絡が無さすぎる。少なくとも一期の時点で『日本人を快く思わない北米軍人』くらいは出してもよかったのではないか。
そして何より彼は民間人に対して平然と攻撃を行っているのだ。14話の描写だけなら軍部が意図してない行為、後々のAIの暴走展開の伏線である可能性ではないかと強弁することも出来たが、今回トニーの口から日本人への敵意と蔑視を口にさせたばかりにあれははじめからそうするつもりだったと見るしかなくなった。
そして彼は信じられないものを見るような表情を浮かべてアモウに始末されてしまった訳だが、まさかあそこまで言っておいて見逃してもらえると思っていたのかと言いたくなる。
ひとまずこんなところか。
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