アニメ『境界戦機』の個人的な感想 第9話編②(身内贔屓が酷すぎるガシンくん)

オープニングを挟んで公園で談笑しているガシンとユウ兄。その様子を眺めるアモウ達にケイからユウ兄について説明がされる。
ユウ兄こと末永ユウセイはかつてレジスタンスの一員であったという。同じくレジスタンスだった彼の両親が自由アジア軍との戦闘で亡くなってからはガシンの父親に引き取られたことで彼の兄弟分となったらしいが、3年前ガシンに何も告げずにヤタガラスを去ったとのことだ。

前から思っていたのだがこのヤタガラスという組織、いくらなんでも足抜けが余りに簡単ではないか?自由アジア軍が取り締まりなりして元隊員がしょっぴかれてしまったら…とか考えていないとしか思えない。

あと自由アジア軍と死傷者が出るレベルで戦闘して『いた』というのも驚きである。
何せ今のヤタガラスはろくに自由アジア軍に対する戦いを挑んでないのだから「昔は戦ってたけど犠牲が大きくてろくに動けなくなってる」ようにも見えるが果たしてどうなのか。

一通り話をした後ガシンとユウセイは連絡先を交換しあって別れる。レジスタンスやってるのにかつて仲間だったとはいえ今は自由アジア軍の支配圏で暮らしているだろうユウセイ相手に自分の情報を伝えてしまっていいものか。
まぁこれくらいはこの作品では些事なのかもしれない。

ともあれ本部に帰ってきたアモウ達。
ガシンがゴーケンらにユウセイと再会したことを告げるのだが、「そうか!」とか「アイツがスーツを着てたのか」とか「それは見てみたかった」とか…そういう緊張感に欠けることばかり言ってくるものだから一瞬「こんなものか?」と錯覚を起こしてしまいそうになる。
彼らには『レジスタンス』としての自覚が欠落しているようだ。あるいはそれはスタッフだろうか?

自室に戻ったガシンは一枚の写真を取り出す。そこには昔の彼と父親、そしてユウセイの姿が写っていた。
「紙媒体なんて珍しい」とケイが言ってきたのに「データは消えてしまったからこれだけだ」と短く返すガシンはふと自分とユウセイが幼かった頃のことを思い出す。
山登りをよくしていた二人はある日道に迷ってしまう。携帯すら繋がらない状況で不安から泣き出してしまったガシンを慰めてくれたかつてのユウセイを見て「あの時ユウ兄は自分の兄貴になってくれたんだ」とこぼすのだった。
一方のユウセイもガシンが持ってたのと同じ写真を感慨深く眺めていた。

な  に  こ  れ
唐突にぽっと出のキャラとの馴れ初めを話し出したガシンくん。スタッフは「戦いに明け暮れて冷淡に振る舞うガシンにも年相応の一面がある」と言いたいのかもしれないが、当のガシンがイマイチカッコのつかない姿ばかり見せているものだから見ているこちらとしては「なんだかなぁ」と言いたくなる。

日が変わりガシンはアモウとシオンを伴い、ユウセイの運転する車である場所に向かっていた。

それはユウセイが作った日本人だけの町だという。

日本人自治区へ

 YouTubeで公開されている第9話より


やって来た自治区は小綺麗で人の賑わいがある様子であり、アモウは感嘆の声をあげる。
ユウセイが言うには「非公式なものであり人工三千人程度の小さな村くらいではあるが自治が認められている」とのこと。そしてその区長にはユウセイが任ぜられてると続ける。
そんな様子を見かけた自治区の住民はユウセイに対して親しげに接していて随分慕われている様子だ。アモウ達も住民から手厚くもてなされ『銘菓自治まんじゅう』なるお土産まで貰ってしまった。
自治区の庁舎らしい建物に着いたガシンはアモウらとは離されてユウセイと二人きりになる。そこでユウセイから「戦いから手を引いてこの自治区で暮らさないか」と言われ、戸惑うのだった。

一体何から突っ込めばいいんだろうか?

まずユウセイは『日本人だけの町』なるものを自慢げに披露して見せるのだが、彼は『そもそも経済圏の人間と日本人の居住区が別々にされてること』を知らないのだろうか?これまで(背景だけとはいえ)作中での描写もあり、なんなら他ならぬガシンがアモウ相手に言及すらしていたのだ。
それを憎々しげに語っていた当のガシンといえばこの『自治区』なるものに対して疑問を抱くどころかあっさり受け入れていたりして、いくらなんでも身内贔屓の度が過ぎる。

それとこの『自治区』についてユウセイが「非公式のもの」だとこぼしたのも引っ掛かる。これについてはこの後自分の解釈も混ぜる形で話そうと思う。

返事を保留してヤタガラス本部に戻り物思いに耽るガシンに声を掛ける者がいた、武器商人のゴベールである。
彼はガシンに対して「貴方のような貴重なパイロットに何か起こるのは困る」などと勿体ぶった物言いをする。
どうやらあっちこっち歩き回らせたり頻繁に外出させたりするヤタガラスの上の人間どもよりかは物を分かっているようだがまぁそんなことはここでは関係ない。
ガシンもそんな彼の態度にいくらか不快さを感じた様子で彼が何を言いたいのか問いただす。しかし返ってきた答えはガシンにとって余りに受け入れがたい(見ているこちらとしては「やっぱりか」と言いたくなる)ものであった。

それはガシンの兄貴分であったかつての仲間ユウセイは、今は自由アジア軍のスパイとして活動しているというものであった。

次回は自治区の実態、それに対するユウセイの思いを中心に語っていきたい。
ある意味この作品の山場である。

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