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【ネタバレ有】シン・ウルトラマン感想箇条書き

観てきた。
で、感想としてまとめるほどでもないまでも、色々と言いたいことが出てきたので箇条書きでここをメモ代わりにしておく。

総評としては個人的には70点弱くらいで、ここは好きだな〜っていうポイントはいくつもあったが足を引っ張っている要素がその倍くらいあったような形だった。

以下ネタバレ有なので実際に観てからどうぞ。





【導入】
最高!!
シン・ゴジラをQの1ストーリーとしてメタ的に位置付けてコンッ ジャーーーン!!をやるのはメチャ良かった。
まあ、メタネタであるとはいえシン・ゴジラとシン・ウルトラマンの世界観を接続すること自体は全然良くないと思うけど……。(だからメフィラスがゴジラを目覚めさせたんだよ!っていう解釈の余地を生むのは、シン・ゴジラという作品のテーマそのものに対して泥をぶっかけてるようにも思うので)

シン・ゴメス、マンモスフラワー、ペギラ等々のカットが続き、怪獣が続々日本に出てきたためにカトクタイが設立された背景を説明するカットもめちゃくちゃ良い。


【ネロンガ戦】
砂煙で大体の位置わかるし温度は隠せてないから透明になる意味ねーじゃん!から入るのはちょっとインターネットすぎないか?

図らずも大怪獣のあとしまつ的なメタギャグの側面があるという意見もどっかで見たが、冒頭にいきなりそれが入ってきたのは個人的にはやや寒かったかも……(ここの温度感が合わなかったのは全体の感想に響いてしまってる気がする)。
有岡大貴の演技が既に相当厳しい。

【音楽】
音楽が本当に良くない……。
曲が良くないと言っているわけではなく、過去のサントラをただ垂れ流しているなのだけで映像のトーンと全く合わず、凄まじく間抜けに見える。
シン・ゴジラの時はそう思わなかったんだけど、そもそもゴジラと初代ウルトラマンだと映像作品としてのノリが全然違う(ウルトラマンは存外軽い)ので、まだ映像のトーンと合致している感じがあったのかもしれないが、にしても映像に対して軽妙すぎる。

これは音楽以外にも全編通して思うことだが「ウルトラマンは結構ゆるめのSF作品ノリである」というところを原作通りきちんと踏襲しようとしつつ、シン・ゴジラ(というかエヴァ)のノリで画面カットや台詞回しをしているせいで空気感がちぐはぐになっている。
シリアスにしすぎないようにしたいのはわかるが、極端すぎる。

音楽に関しては普通に全部新規で作るか過去曲のアレンジをしてほしかった。

【会話劇】
シン・ゴジラは人間の感情描写が入り込む余地がないくらい早口セリフ、カット、早口セリフ、カットみたいなテンポだったし、そもそもドラマを削りに削って人間を舞台装置として置くような作品だったのであんまり気にならなかったんだが、ちょっと今回の会話劇は気持ち悪すぎる。

前段のウルトラマンって結構軽いノリなんだよねというところを重視した結果のコミカルさとか人間同士の面白やり取りを描こうとしたのかもしれないが、それにしてもコントみたいな空気で寒い。
あと各々の演技力が普通にひどい。(神永は訥々と喋るのが外星人っぽかったし、メフィラスは文句なく最高に良かったけどこいつら人間じゃないしな……)

【戦闘シーン】
戦闘シーンに関してはまあ、多かったしそこは良かったんじゃないでしょうか。
カメラアングルとか構図は求めていたものになっていたと思う。

ウルトラマンの3DCGは正直だいぶ荒かったし重量を感じさせないくらいヒョイヒョイ動くのもなんかキモかったが、重力操作で空を飛べる設定ならあのくらい軽々動いてもおかしくないし特にそこに対しては言うことはない。
……あーいやでももっとガッシリ組み合ってほしかったかも!
初代マンは取っ組み合いのシーンが長々あったり投げ技でフィニッシュしたりするのも多いので、怪獣との肉体接触をもっと多くしてくれ〜……と思った。
ああいうの(ガボラの襟巻きみてーなのをもぎ取ったりとかは)CGでやってると難しいみたいな話らしいが……最新映像技術を使ってるのにやれないことが増えてるのはなんか苦しい話だ。

フルCGでやってるくせに「ここはこういう人形を飛ばしている」として想定してそうなシーン(飛行形態とか回転するシーン)はうわキモ〜(嬉)と思った。


【ガボラ戦】
スーツ使い回しネタはここで挟んでくるのか!
ガボラがネロンガに成長するみたいな事前予想ネタよりはスッキリしていて良かったと思う。
先日俺も元のガボラ戦を見直して、こいつ生物として危険すぎねえ?と思ったが、同じような感性を劇中の人物も持っていたのは、共感性は高いけどインターネットっぽいな……。現代の視聴者の目線だなと思った

パゴスと同じだ!パゴスの時と同じ!って言われまくってるのはメタすぎて笑う。


【ザラブ星人周り】
結構ええやん……。

ザラブが現れるとき一旦停電するのとかだいぶウルトラマンに異星人が出てくる時感あるし造形(まあほぼ原作通りだが)や手口も良い……。

メフィラスとかゾーフィもこの後出てくるが、この映画、わりと異星人の描き方は良かった気がする。

ちゃんと会話が通じる相手として出てきたのは若干オリジナルとは異質な怖さな気がする。
各国に責め立てられる日本が、他国の首相よりも異星人との方が会話が成立して密約を交わしてしまう、とか。話のわかるやつほどコエーんだよなみたいな。(その辺のガキに地球くんね?って依頼して同意を得たら侵略しようとするとか命……?そういうのはよくわからんが……みたいな態度を取られるとか、元のウルトラマンの異星人は会話が通じてるようで意思疎通が取れてないのが怖い側面があると思っているので)

ザラブ戦に関しては戦闘シーンも結構良かった。
平成ウルトラマンシリーズみたいな夜戦闘だったのも面白いし見応えあった。



【神永】
「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン」のキャッチコピーをデカデカと掲げる場合、ハヤタ隊員的な合体を果たすよりもモロボシ・ダンの名を借りるスタイルの方がセリフ回収がしやすくないか?とは公開前から思ってたが、当たらずとも遠からずという感じでしたね。
合体はしてるけど精神も一体化しててウルトラマンの意識メイン。人を庇って死んだというのも薩摩次郎っぽい。(あっちは死んでないけど)

かぐや姫的な貴種流離譚の作りにもできるし、友情がテーマの一つなら尚更異星人ウルトラマンとその同僚地球人を描くのは中々試みとしては良かったと思う。まあ肝心の人間が全然描けてないんですが……。

【禍特隊メンバー】
全員演技が厳しすぎる……。
というか、指定されたセリフがそもそもアニメっぽくて厳しすぎる可能性もあるので何も言えることはないのですが、有岡大貴と長澤まさみが相当アレだったかな……。
台詞回しだけじゃなくてキャラ付けとかに関しても全部厳しく、外星人と人間の友情を描こうとする話としては相当ここがネックになっている気がする。

【メフィラス星人周り】
長澤まさみ巨大化からちゃんと入ると思わなかった……これをやったことに対してはめちゃくちゃいいですね。
めちゃめちゃ昼間のシーンにしたのもグッド(合成っぽさバリバリではあったけど……)。

そういえばセクハラがどうのっていう噴き上がりがあるっぽいけど、俺はウルトラ嗅覚の部分に関しては別にそこまでおかしくない描写だと思う(恥じらいがどうのとかを気にせず最適解を導こうとしているだけなのはやはり外星人的というか、ズレている描写としては良いと思うので)。

ただ、巨大化シーンのカメラアングルに関してだけは話の流れにも不必要なノイズだし気持ち悪いな〜と思う。
これに関しては原作のフジ隊員も別にスカートじゃないしやる意味がないのでは。
ケツ叩きに関してもキモいな〜とは思うが、まああれはキャラ付けとして行っただけな気がする。(なので寒いな、とも思うが)

今作のメフィラスはちゃんと紳士的だしちゃんと悪い奴なのも良かったですね。
私の好きな言葉ですって言いまくるのはまあキャラ付けとしては本来キモい気がするが、あの役者の方がいいのかなんかわからんが面白く聞こえた。
ベータカプセルの原理がここから話のカギになってくるのもなかなか今までなくて良かったと思う。

あとメフィラス用ベータシステム起動スイッチがニュージェネ以降の敵用変身アイテムみたいでめちゃくちゃ良かった。お前はジャグラスジャグラーかなんかか?

【宇宙人ゾーフィ】
そんなネタやる!?!?!?!?!?!?
流石に笑ってしまった。最高。

マルチバースという単語を連呼していたが、おそらく主題歌「M八七」の通り、この世界のウルトラマン達はM87星雲の光の国に住んでいて、自分らと同程度の知性レベルになりかねない異星人を監視して、必要とあらばゼットンを放って殲滅する最悪異星人であり、M78星雲とは別枠ってことなんだろうな〜と。
しかしゼットンを操る謎の宇宙人ゾーフィが映像化される可能性について一度も考えたことなかったな……。
初期デザインの通りカラータイマーがなく、ファスナーを隠す背鰭もなく、本来のM87星雲出身の真・ウルトラマンを描いているのにそんなところだけ偽の情報を使ってくるのはズルすぎるだろ。

ウルトラマンは地球の査定に来たけど、子供を庇って死んだ神永の姿(自分の命を他者に差し出すのは外星人にとってはなおさら珍しいことらしい)や、同僚とのやりとりを経て人間を愛し守ろうと決意したんやね……(文字列にするとめちゃくちゃいい話なんだがこのシーンに至るまでの人間描写がもう延々とひどいのであんま入り込めない)。

【コップ】
本当に何だったんだあれは……。
この人はオタクなんですよっていう意味?(フィギュアがあるにせよサンダーバードとかだったし、美少女モノは置いてなかったのになぜまどマギが……)

【ゼットン戦】
ゼットンといえば一兆度の火球、それを放つと銀河ごと蒸発する!をそのままお出しするのはまたなんかインターネットっぽいな〜と思った。
空想科学読本発信だったらインターネットではないんだけども。

そのレベルの攻撃をしてくる奴は規格外の大きさだろう、みたいな連想からああいうスケールになったのかな?

人間の力でゼットンを倒す、というテーマごとリブートしてるというか、ウルトラマンがいらなくなるくらい人類側が強くなるというよりは共同作戦的に人類の底力を見せつつ、最終ウルトラマンが倒すという方向にしたのはなかなか良かった気はする。

やっぱ「ウルトラマン」をやるとしたら最後はゼットンじゃないとねという気もするし良かったんじゃないか。


【終わり方】
えっそれで終わり?という気もするし、帰りマンやりたそうすぎるなとも思った。

この星に資源価値があると判断したマルチバース全土の異星人達が地球に押し寄せてくるっていうのはセブンの話だろうし、第二部としてセブンと帰りマンの異星人・怪獣を相手にするシン・帰りマンをやりたがってる?

【全体的に】
今の技術と資金で俺が好きなウルトラマンをダイジェストながら自分で作りました!という感じの内容で、オタクへの目配せはめちゃくちゃあり、実際喜んだ場面もあったが、正直映画作品としては難がありすぎると思う。
そもそも1話25分完結のSF連作だし、1本の話にすること自体難しいと思うのだがその辺のアレンジはうまく効いていてすごい……というかえらい。
正直結果的にテレビダイジェスト版っぽくはなっているが、こう繋げて1つの話にする!という大筋自体は面白かった。

ただ音楽の使い方と会話シーンがとにかく厳しく、特に人間と外星人の友情がテーマの一つになっている分そこが全く描写できていないのは映画として致命的すぎると思う。

リブートというか初代マンのセルフパロディ的にはぶっちゃけウルトラマンZのほうがうまくいっているな……とも思ってしまい、その辺ゴジラとは違って現行シリーズも頑張っているコンテンツなので比べちゃうと厳しい部分が個人的にはあった。


以上。

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