タイガー&ドラゴンの再放送で思い出したエキストラでのしくじり 1386文字
タイガー&ドラゴンの再放送を見ていたら、ある画角からのエキストラさんたちの配置に母がなるほどぉと感心していました。
母は一回でいいからエキストラをやってみたいの列車に乗っているひとであります。
さて、そんなとき、私は忘れられないあることを思い出していました。
私は以前、役者の養成所に通っていたとき、ありがたいことにいろんな現場に行かせてもらっていました。
それは通り過ぎる大学生として、カフェでお茶してるカップルとして、レスリングの研究生として、裁判の傍聴人であったこともあります。
それは、病院の患者役だったときのことでした。
その日はほかのひとは呼ばれておらず、自分ひとりだけで現場に呼んでいただいた日でした。
すると、何カットか撮ったあと、ADさんが「僕が手を上げたら”えぇ!警察!?”と言ってくれる?」とセリフを渡されました。
はい!と威勢のいい返事をして、いざ本番。
ADさんが手を上げた。
(何も言えない)。
カット!
ADさん来る
「えっと、僕が手あげたら"えぇ!警察!?"って言ってくれる?」
はい!(すみません)!!
では本番。
ADさん手を上げた!
・・・・・
カット!
これを何故か3回ターンくらいして、結局セリフを言えなくて、
ok。
はい、じゃ今日はここまでだから帰っていいよ〜ありがとね〜
とその現場は終了でした。
本当に何故か、分かっているのに声が出なくて、
「えぇ!警察!?」っていう言葉をどうやって出したらいいかわからなかったんです。
ADさん、監督さん、要望に応えられず本当に申し訳ありません、、
ただただ申し訳ない気持ちで帰りました。
これを今思うと、
母のように「エキストラやってみたいなー!」みたいなテンションで行って、
えー!セリフもらえるんですか!やったー!
「えぇ!警察!?」
はい!ありがとうございましたー!お疲れ様でしたー!
と、軽やかに帰ってこられたらよかった。
その頃、色々と頭でっかちになっていたせいもあったと思う。
そしてレッスン、自主稽古、バイト、ダイエット、で頭が働いていなかったことも否めない。
・・・。
この件が、この件から先にもたらしたものは、「要望に応えられる準備をしよう」という意識でした。
もう本当に申し訳なくて悔しくて仕方なかったですね。10年近く経とうとしている今でも忘れられないくらい。
そしてこの件を思い出すたびに、傷をなめるように思い出す現場もあります。
学生役のとき、「声もらえる?同じセリフなんだけど温度を変えて3~4パターン」と声をかけていただいて、収録してもらえたこと。
レスリング研修生役のとき、撮影終わりに「おつかれ!ベスト演技賞はきみね」とガムをスタッフさんがくれたこと。
傍聴人役のとき、主要キャストさんの近くに配置してもらえたこと。
です。嬉しかったです。少しでも、その日の現場に"ハマれた"んだという実感が。
件の声がでなかったこと、
あと別件では稽古を重ねて望んだ演技の評価をつけられる審査会本番でセリフがパーンて飛んだこともありました。
これらの失敗は、"まじでひとは失敗をする。"という大事な経験でした。
どうやって、その失敗という事態に結びつかないイマを重ねるかという大事な稽古のひとつでした。
でもほんとに、あの日の作品に関わっていたすべてのみなさんには、とにかくごめんなさいです。
いまは、業界離れましたが、心得として大切にしておきたい出来事です。