メガネ朝帰り【毎週ショートショートnote】
「……ハイボール、もう1杯」
「今日はペースが速いんですね」
バーのカウンター席。
オーバル型メガネのマスターの穏やかな声。
この店の落ち着いた雰囲気を好んで、最近は週に何度か立ち寄っている。
「今日は少し飲みたくてね」
自分で良ければ聴きますよと目だけで問いかけながら、マスターは完璧な濃さのハイボールを俺の前に置く。
「予想をしていたことが実際に起きて、少し寂しくなっただけだよ」
毎朝、コンタクトをして出かけるようになった彼女の顔が思い浮かぶ。
こうなることは、わかって