3:ゲームをする

文豪とアルケミストのキャラで30日CPチャレンジ(連続で書くとは言ってない)

史実に基づかないし、文アルに寄せてるかも怪しい、完全個人解釈で好きに書いています。
またCPは日によって変わります。閲覧は自己責任。

本日は乱安。お題は「ゲームをする/映画を見る」だったのでゲームの方で。
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「ゲームをしましょう」

 そう言って江戸川乱歩が坂口安吾を誘うの様子は、最近は珍しくなくなっていた。
 ラヴクラフトが図書館に来た時、司書が嬉々としてTRPGなるものを文士たちに熱心にプレゼンした結果、TRPGというものが気に入った文士がシナリオを作成し、集まってゲームに興じるという事がじんわりと流行っていた。
 最初に聞いた話がホラーの世界で自分が作成した探索者が行動をし、調査をし、怪異に飲まれたり生還したりという話だったので、江戸川も最初はホラーのシナリオを書いては好きそうな同志とゲームに興じていたのだが。

「アンタ、それで推理もの書かないのか?」

 と、めちゃくちゃソワソワした様子で坂口に言われ、期待されては書くしかないというエンタメ精神から江戸川も事件の犯人を追いつつ、さらに深入りすると怪異に巻き込まれるようなシナリオを作り、坂口と回してみたのだ。
 その時の坂口は、事件に目を輝かせ、ちりばめられたヒントを拾いきれずもあきらめず真剣に推理し、犯人につながる証拠が集めきれなかったとはいえ犯人自体は当て、情報不足により見事怪異に食いつぶされが、満足そうだった。
 もちろん、怪異に探索者が食いつぶされた事に関しては唐突過ぎるや罠だとかなんやかんやと言われはしたが、背景やギミック、また犯人が疑われないためのアリバイ等の作り方を話してるときは若干頬すら紅潮させ自分の推理があってたとか、ここはこうなっていたのか…!と感心してみたりとか、表情をころころ忙しそうに変えて心底楽しそうに話をした。
 坂口が江戸川のファンだという事は聞いてはいたものの、実際顔を合わせるとあまり会話もなく、正直目もそんなに合わない。少ない会話も何となく皮肉と言うか、斜めに構えているというか、真っ直ぐに話をする印象はなかった。
 しかし、このゲームに誘ったときに見た坂口の様子は、江戸川には見たこともない反応で、それがあまりに面白く、興味深く、もっとこういった坂口の表情を見てみたい……という好奇心から度々シナリオを作成しては坂口に声をかけるようになった。

「ここを調べる際には技能が必要ですね」
「なるほど、何か隠してるってわけだな……賽子、賽子……」

 最後まで書ききらなかったり、犯人を決めきれない時は続き物のシナリオとして、坂口とゲームに興じた。そのため、まだ終わってないシナリオもある。それでも、続きでも新しいものでも、坂口から期待に満ちた目で見られるのは気分が高揚するような、むずがゆいような、なんとも言えない良い心地になる。
 最近では誘う事も珍しい光景でもなくなり、なんとなく2人で、ゆっくりと推理の話をしながら過ごすこの時間が、江戸川にとってかけがえのないものになりつつあった。

「さて、本日はここまでです」
「くっ……いいところでここまでか。次は何時やるんだ?」

 坂口が訪ねると、江戸川はうーん…と大げさに考えこむような態度を見せたあと、続きが出来た際に、と答えた。
 江戸川がこう答える場合、シナリオは書けておらず、少し時間がかかるかもしれないな…と坂口は考えた。
 坂口からすると、途中になっているシナリオの続きも気にはなるのだが、江戸川がまた新しいシナリオを持ってきてくれるのは大変うれしく、またこのTRPGの形式でやるのは、自分の分身の探索者が、まさに江戸川乱歩の世界で自分の推理や行動をしながら真実に迫ったり、世界を知ったりするので小説を読むのとは別の面白さがあり、大変気に入っていた。
 元々別の文士たちと遊んでいたのは見ていたのだが、その様子から、推理ものでこのゲームをしたら相当面白いんじゃないだろうかと思い、なかなか最初は声をかけられなかったのだが、偶然にもゲームが終わって雑談も終わって一息ついていたという絶好のチャンスがあり、声をかけた。
 本当はそのゲームで推理ものをやりたい、と言いたかったのだが、書かないのか?という質問にとどめてしまったのは、今一歩坂口自身が前のめりに江戸川にお願いするのに気恥ずかしさがあったのか勇気が足りなかったのか、やりたいという気持ちを何となく隠してしまった。
 シナリオ作成しても坂口自身が関われないのはそれはそれで悔しくて、悶々と考え込んではいたのだが、まさか書いたと江戸川からゲームに誘われると思わず、それこそ二つ返事で了解し、それから何となく江戸川からある程度シナリオが出来たタイミングで声をかけられるようになった。
 坂口にとっては幸運でしかなく、元々江戸川の推理もの小説が好きでもあったが、せっかくこの図書館でともに戦う仲間としていられるようになったのだ、生前より少しは近しい、親しい間柄になれればとは常々思っていた。

 ゲームを終えると、すぐさま元の2人に戻るのだが、ゲームに興じてる間だけは、2人だけの世界と言わんばかりの空気になっていることを、まだ2人は自覚していない。


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TRPGやろうぜ!笑。
安吾先生がめちゃくちゃ江戸川先生のファンだけど素直にまっすぐ好きです!(?)と言えないような感じの関係かなぁと思っていますがどうなんですかね。
確か、何だろう、割と正式な式に江戸川先生が安吾先生呼んだものの、ブッチしてバチギレしたけど、誰かから「アイツ照れ性なんでお会いするのが恥ずかしかったんですよ(すでに亡くなってる)」って聞いて、あー……てなった話があったようななかったような。

なのでまぁ、図書館で少しは距離縮むと良いな!という感じです。

あ、あと、江戸川先生誕生日おめでとうございます!!!!

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