2:抱きしめる

文豪とアルケミストのキャラで30日CPチャレンジ(連続で書くとは言ってない)
史実に基づかないし、文アルに寄せてるかも怪しい、完全個人解釈で好きに書いています。
またCPは日によって変わります。閲覧は自己責任。

本日はだんだざ。
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 本日は晴天。太宰と檀は司書に呼ばれて、図書館の本の虫干しを手伝っていた。侵蝕によって文学が失われるのを防ぐために戦っているが、本自体の劣化を防ぎつつ保管するのもこの図書館の役目だ。
 今日の分は一通り出し切って、適当なタイミングでぱらぱらとページを捲る。なるべく空気に触れさせ、乾燥させる。好きな本を読みながら、他に作業もないので穏やかに過ごす……と言うには、太宰は少し落ち着きがなかった。

「はぁーっ。やっぱり芥川先生の小説サイコー……!」

 パタン、と本を閉じ、感慨にふける。先ほどから太宰は芥川の著作を読んでは感嘆し、壇にどこが良かったかを常にプレゼンしていた。
 檀は檀で、太宰の本を手に取り、話を聞きながら太宰の小説の良い所をピックアップし褒める。そうすると、さらに太宰は瞳が生き生きとし、自信に溢れた笑顔をたたえ、大きく胸を張りつつ全身で喜びを表現する。それこそ、今にも踊り出すんじゃないかという勢いだ。

「まぁやっぱりほら、俺、天才小説家ですから?」
「あぁ、太宰は天才だ。特にここの表現なんかは―――」

 檀は話に花を咲かせながらも、他の虫干し中の本も少しパラパラとめくる。仕事は忘れていない。太宰は話に夢中で、正直何とも言えない。
 虫干し中の本は無頼派の本が中心のようで、他に坂口安吾、織田作之助の著作も並んでいた。よく記憶に残ってる本、読んだ覚えがあるようなないような本、おそらく生前は手にすることはできなかったであろう本……檀は概ね読んでいたが……懐かしいような、良く知っているような、不思議な気持ちを想起させる。
 まぁ転生などして、死別した相手と再び邂逅するなんて事にでもなれば、不思議な気持ちにならない事などないのかもしれないが。

「どうしたんだ?檀」
「え?」
「なんかすげー嬉しそうな顔してたけど。良い事でもあった?」

 太宰にそう言われて、壇は思わず口元を抑えた。良い事なんて、太宰が生きているだけで常に起こっている。

「太宰が生きているからかな」
「な、なんだよそれ!」

 檀が素直に思ったことを口にすると、太宰は驚いて顔が一気に赤くなる。不意打ちだったのか、いつものような大いに感謝しろというような態度ではない。素の反応だった。
 特に取り繕う事などせず、自分の前で素直に反応する太宰に、檀も嬉しいやら愛しいやらの気持ちがこみあげてきて、太宰を思わず抱きしめた。

 こんな幸せな事があって良いんだろうか。

 図書館は荒事があるにはあるが、何よりも大事に思う人と再び出会え、共に過ごす事が出来ている。今度こそはこの幸せを逃さないようにと、太宰を抱きしめる腕に力を込めた。

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中庭からのシャッター音に気付かない二人。翌日、図書館の新聞に掲載された……と付け加えようと思ったけどやめました。オチを付けるな。
それに別にこの2人のそういう記事はスキャンダルでも何でもなくない?そうでもない?

ちなみに今日安吾先生とランボー先生の誕生日だそうですね!おめでとうございます!!!!!
安吾先生は明日書くから!!!(CPをほのめかすスタイル)

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