時間帯を制する者は仕事を制する 「セクションウェア」

セクション(時間帯)については、すでに解説しましたが、

個人にせよ、組織にせよ、セクションを上手く運用すると生活も仕事もはかどります。

その際、重要となるのが「セクションは与えられるもの」から「セクションは自分たちでつくるもの」へと発想を切り替えることです。


セクションをつくる

セクションをつくることをセクション・デザインと呼びます。

現時点では確認されていませんが、将来的にはこれを専任する役割も登場するでしょう。セクション・デザイナーなどと呼ばれると思います。


セクションウェア

つくったセクションを整理したものを
セクションウェア(Sectionware)と呼びます。

プログラマーはソフトウェアをつくりますが、
セクション・デザイナーはセクションウェアをつくります。


セクションウェアの構成要素

セクションウェアは以下を含みます。

  • 名前

  • nつのセクション

  • 概要やコンセプト

  • 対象者や非対象者

  • 適用日


例: 単純なセクションウェア

単純な例として、「典型的な社会人の時間割」というセクションウェアを見ていきましょう。


まず名前は「典型的な社会人の時間割」です。


次にセクションとしては以下を含みます。3つありますね。

  • 「午前」

    • 9:00 ~ 12:00

    • 業務的拘束がある、業務を行う

  • 「昼休憩」

    • 12:00 ~ 13:00

    • 業務的拘束がある、業務はしなくてよい

  • 「午後」

    • 13:00 ~ 17:00

    • 業務的拘束がある、業務を行う


概要やコンセプトとしては、次のようになります。

  • 昭和時代から採用されてきた、典型的なセクションウェア

  • 一方で、現代はVUCAかつ多様な時代であり、働き方ももっと融通を利かせるべきである

    • そのための現状認識として、改めて言語化・整理したのがこのセクションウェアである


対象者や非対象者は、以下のとおりです。

  • 対象者

    • リモートやフレックスに馴染みがない、すべての会社員

    • 新しい働き方を模索している人


最後に適用日ですが、以下のとおりです。

  • 適用日は営業日である


セクションウェアは共通言語

上記の例を見ると、ただの言葉遊びに見えるかもしれませんが、違います。

セクションウェアは、働き方を変える議論を行う際の「共通言語」として使えます

働き方の主な構成要素は時間帯です。その時間帯を、セクションウェアという形で明示的に捉えて、これを用いて議論を行うのです。プロトタイプという言葉がありますが、まさにプロトタイプの一種と言えます


セクションウェアがあると、働き方を変える議論≒セクションを操作する議論になります。

上記の「典型的な社会人の時間割」にしても、ではどのセクションをどう変えるのかとか、どんなセクションを増やせばいいか、減らせばいいか、はたまた順番を変えればいいか、といった形で議論ができます。


セクションウェアをつくるためのヒント集

最後に、セクションウェアをつくるためのヒントを雑多に紹介します。


セクションの種類や性質を知る

どのようなセクションが存在するか、またつくれるかは、一から考えるよりも既存を知った方が早いです。

下記記事にて、いくつかの観点で取り上げています。

「セクション」なるものの理解を深めてください。ある程度深めてから、つくりにいった方がつくりやすいはずです。


セクションは多層になる

セクションは多層として扱った方が、融通が利くと思います。


たとえば「就業」というセクションは、大部分の人にとって避けられないものしょう。これは変えられない制約(必須セクション)として受け入れてしまいます。

その上で、その内部をどうデザインするかを考えれば良いです。たとえば「午前」「昼休憩」「午後」とする「典型的な社会人の時間割」はすでに述べたとおりです。

この「午前」セクションも、さらに内部はデザインできます。たとえば

  • 「今日やることを考える」

    • 30分

  • 「創造的な仕事をする」

    • 1時間

  • 「休憩とか雑談とか」

    • 30分

  • 「作業的な仕事をする」

    • 1時間

このようにデザインすれば、メリハリを持って過ごせるようになります。

上手くいかないなら、このセクションウェアをベースにして微調整すれば良いです。時間を伸ばしたり、減らしたり、要らないセクションを消したり、新しいセクションを増やしたり、あるいは並び替えたりするかもしれません。


セクションと予定は違う

よくある疑問が「予定との違いは?」ですが、違いはあります。

カレンダーなどで扱う予定は受動的ですが、セクションは自らが定める能動的なものです。

また、予定は「~~をするための時間」ですが、セクションは「~~をするための時間」であり、単位感が少し大きいです。


たとえば予定を扱うセクションウェアをつくるとしたら、次のようなものがつくれます。

  • 「ひとりでがんばる」

    • 9:00~11:00

    • この間は一切の会議を受け付けず、コミュニケーションツールも見ない

    • スケジュール上もブロックされており、他人が予定を差し込めないようになっている or 差し込んでも無視する

  • 「コミュニケーションする」

    • 11:00~12:00

    • 会議は受け付けないが、コミュニケーションツールは見る

    • また雑談もする

  • 「昼休憩」

    • 12:00~13:00

  • 「予定をこなす」

    • 13:00~17:00

    • 会議を受け付ける

    • むしろ会議はこのセクションで集中的にこなす

  • 「整理」

    • 17:00~17:30

    • 休憩しながら今日と明日の整理をする

    • 会議は受け付けないが、コミュニケーションツールは見る

「予定をこなす」セクションには複数の予定が入ります。



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