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関節リウマチを知る

自己免疫疾患

リウマチは自己免疫疾患で「インターロイキン6」の過剰分泌によって起こる。

滑膜の繊維芽細胞に血管内皮増殖因子が分泌されることで本来必要ではない血管が作られ、滑膜が肥大化し腫れることで、インターロイキン6などの炎症性の情報伝達がおこり、マクロファージが滑膜に浸潤することで破骨細胞に変身することがリウマチの原因。

アクテムラ

アクテムラ」は国産初の抗体医薬。2008年に市販開始。情報伝達分子(受容体)をブロックすることでインターロイキン6のシグナルをブロックする。

レミケード」はTNFと結合する抗体。TNFを捕捉してシグナル伝達をブロックする。

インターロイキン6の抗体は、人間のインターロイキン6の受容体をねずみに注入するとネズミの免疫は抗体を作る。

この抗体を人間に入れると異物とみなして抗体を捕まえる抗体を作り出してしまうので、ネズミの抗体と人間の抗体を合体させたキメラ抗体を作る。

1990年、中外製薬の貞広隆造は大阪大学の岸本を訪ね、抗インターロイキン6受容体抗体で新薬を作ることを提案した。

キャッスルマン病

キャッスルマン病は非常に稀なリンパ増殖性疾患で、腫大したリンパ節からインターロイキン6(IL-6)というサイトカインが過剰に生成され、それらが健常な血球と結び付き、異常な免疫血球に変化し、正常な細胞を攻撃することで生体内で様々な炎症を引き起こす病気であったが、岸本等によって開発されたアクテムラにより、克服することができた。

当時の日本では抗体を使う治療は承認を得られる可能性が皆無であったが、インターロイキン6受容体の抗体を治療に使う空気が生まれてきた。

関節リウマチにもインターロイキン6が深く関わっていることが判明し、研究成果としてネイチャーなどに論文が掲載されたが、日本の製薬会社では中外製薬以外に関心を示さなかった。

悪液質

悪性腫瘍や白血病でよく発生する。悪性腫瘍の末期における、炭水化物やタンパク質の代謝変化などを原因とする悪液質を癌悪液質と呼ぶ。炎症や痛みは、インターロイキン6を抑制できれば全身の症状が改善できる。

まとめ

日本の大手製薬会社は「ウイルス」を使った製薬や、抗体医薬のようなことに積極的に取り組もうとはしない。この度のコロナワクチンでも、mRNAのような医薬には及び腰になる。

この手の製薬のデメリットとして、

投与方法が限定的
抗体医薬品は、タンパク質からできており消化酵素で分解されてしまうため経口投与が難しく、注射や点滴によって投与される。自己注射が可能な製剤も増えているが、投与方法が限定的(市場が小さくなる)であることが課題。

従来の低分子医薬品より高価
低分子医薬品の多くは原材料が比較的安価で、製造プロセスも複雑でないため、コストを低く抑えることが可能。一方で、抗体医薬品は製造や開発に多大なコストがかかるため、薬価も高額になりやすく、患者の経済的負担や医療保険への負担が課題となってしまう。

製造設備の不足
抗体医薬品を製造するためには、専門性の高い技術や設備を専用化する必要がある。現在、日本では高分子医薬品の多くを輸入に頼っており、国内の製造技術基盤や生産拠点の整備の遅れも課題の一つ。

つまり、患者のことより、開発コストと市場規模と成功率の兼ね合いで、取り組みに消極的なことが原因のような気がする。

逆に中外製薬のような中堅のほうが、積極的な取り組みがうかがえる。

小野製薬と京都大学の本庶佑特別教授の「オプジーボ」をめぐって利権の争いが裁判にまでなった。これも小野薬品という企業規模が有利に働いた結果であったが、開発者とお金でもめるというみっともないことになった。

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