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後ろから前へ3

 相手から打ってきたボールにどう対応するかより、自分が打ってから相手が打つまでの間に、自分が打った場所からどこに、どれだけ『ずらし』という動きが入るかということが大切であることを前記事で書きました。この『ずらし』の動きは移動距離が大きければいいというものではなく、必要性によってはあまり移動距離は大きくない方がいいときもあります。要するに、自分が打ったボールに対して相手の返球をどこで、どういう向きで待ち構えればいいのかということです。この相手自分が打ったボールに対して、相手からの返球を正しく待てる状態を『正対』といいます。 #いわゆる 『一歩目の早さ』の、その前の話✊ 

 では、この『正対』について詳しく説明しましょう。

 自分のショットを正しく打つには、フォームとかグリップとかスタンスといった打ち方ではなく、どの方向から、どこへ向かって飛んでくるボールなのかに対して、正しく捉えることが大切です。ここで大切なことはパーマネントフィクスチュアではありませんが、コートのライン、ネットは関係ないので無視することです。『正対』はネットやラインに合わせて立つことではないですし、自分の次に打っていきたい方向も関係ありません。また、打ち方は関係ありませんが、とくに一般愛好家の方で多いのがバックハンドの苦手意識のための歪な『正対』です。私がレッスンで生徒さんにバックハンドを教える目的は、この歪な『正対』を直すためでもあります。#『見える』ばかりではなく『見えない』も大事だね😄  #←その方が抽象的にシンプルに物事が見える✌️

 それでは、トップ選手たちの『正対』をみてみましょう。まずはデュースコート展開の雁行陣同士の場面です。

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 雁行陣同士のラリーの中で、サイドへ深いボールを送ったときの場面です。すでに打った側はサイドへ深く打ったボールと、それに対する相手の入り方で『ずらし』を入れています。

 続いては雁行陣からアプローチをボディについて、前をとりにく場面です。

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 一般愛好家の方でよく見かける歪な『正対』として、ここでセンターに寄ってフォアハンドボレーをしたがることです。相手の入り方や自分のボールでは根拠がないにも関わらずセンターに寄ってしまうのです。技術的には自分に入ってくるボディバックが必要です。バックボレーとは右肩を入れて横を向く、ラケット面を地面に対して立てておかなければならないという意識が強い人は打てません。

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 自分に入ってくる軌道に対してボディバックで待つ方が、相手の前衛がストレートを意識せざるおえません。実際にはストレートにもコントロールできますし、逆クロスにすべらせることも可能です。

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 続いてはアドバンテージコート展開の雁行陣同士の場面です。

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 雁行陣同士のラリーの中で、サイドへ深いボールを入れた場面です。場面はデュースコート展開と同じですが、『正対』の場所が少し違います。次にサイドへ返ってくる相手からのボールを、軌道の内側に入っての回り込みフォアハンドで待ってはいけません。この待ち方をしてしまうと相手の前衛が見えません。また、この待ち方からバックハンドを選択したらストレート、センター系にコントロールミスしやすいです。ボールの内側ではなく、自分に向かってくる軌道として打つフォアハンドを待つのであればOKです。この待ち方でバックハンドを選択した場合は、軌道の内側に入っているため相手前衛の動きも見れます。 #この画像の相手の入り方見る限りバックサイドに打ってくるね 😄

 続いては、後ろ並行陣に対して、アプローチで前に出た場面です。

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 この画像のフォアハンドを打とうとしている入り方が、軌道の内側に入るフォアハンドです。 #こうなると 、ほぼストレートに打ち込んでくるね😄

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 この形になると逆クロスに打ち返すのが難しくなります。打てたとしても、この形は逆クロスへ打つのがコース予測しやすく、前並行陣をとってきた相手に回り込みフォアハンドを打たれやすいです。基本的にこのフォアハンド返球はストレート、センターにしか打てませんし、そこは前並行陣の二人に待たれてます。

 サイドのボールを内側に入ってフォアハンドの回り込みをかけるのは、よっぽどコースが先に読めていたり、甘かったりと自信があるときのみで、それ以外のサイドのボールは、軌道の内側をみるバックハンドで処理する方が前衛の動きが見えます。また、フォアハンドを選択する場合は自分に向かってくる軌道になるため、左肩からターンしようとはせず、むしろ早く左をどかして右腰が前になるようにして打つフォアハンドが必要です。

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 打ち方としての技術においては、スウィングやボールの速さ、威力、回転ばかりが着目されがちですが、打った後のバランスや、コントロールに対しての次の動きである『ずらし』が入れれるかなども考慮せねばなりません。むしろ打った後のほうが大切であると言っても過言ではありません。

 相手が打ったボールに対して、より早く反応して、より速く移動するといったフィジカル的な要素も大切ではありますが、それよりは『その場』に飛んでくる状況を作り出す工夫に、もう少しこだわるべきではないかと感じます。そうすれば後ろから前へと進んでいくことができて得だと思っています。 #僕がフィジカルトレーニングをしたことがないのは人間性の問題であり 、本記事とは一切関係ありません😅


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