武見厚労相,パンデミック条約は国際連携での強制措置のためと明言

武見敬三厚生労働大臣が,令和6年6月28日(金)10:50~11:22 の記者会見においてものすごい(と私は思いました)発言をしましたので,要点と私の受け止めを解説します。該当箇所全文は末尾に引用します。
なお,武見敬三氏は世界で十数人しかいないWHOの「親善大使」を2019年6月から2022年10月まで務めており,WHOの動向には相当に詳しいと考えられます。ちなみに,日本どころか世界医師会の会長まで務め,日本医療界では「天皇」とまで呼ばれたという武見太郎氏を父に持つ,医師会への影響力は計り知れない人物です。
質問者は高橋清隆さんと仰る独立系のジャーナリスト「反ジャーナリスト」(ご本人の自称に合わせます)の方です。

まず,質問の概要です。

国際保健規則IHR改定について。大臣は2021年4月に、「IHRに強制措置の必要性を入れ、パンデミックに対応する条約を締結する必要性が提唱されている」と発言したが、今回のIHR改正は強制措置を作ることが目標か、またそれは達成されたか?

大臣の回答で重要と思った点を一つずつ挙げます。

IHRというものは、このWHO締約国が守らなければならない義務を課した、そうした規則になっています。

IHRは「義務」つまり基本的に自国法令に優先するものということです。

ただ残念ながらその法的な強制措置というものは効力として持っておりません。

IHRに強制措置を課す力がないことを「残念」と言っています。つまり強制措置は可能であるべきと考えています。

IHRについて、特に欧米ですが、例えばドイツやフランス、EUといったところが中心となり、こうしたIHRの強制措置について議論していました。

日本にも義務を課すことになるIHRの議論が日本抜きで行われていたということです。米国に次ぎ2位の巨額の拠出金(2006、2007年情報)を出しているのにです。

実際今回のパンデミックを経験し、こうした欧米諸国はさらにそれを上回る強制措置が可能なパンデミック条約というかたちで新しいこうしたパンデミックに対応する仕組みをつくろうということをお考えになりました。

人口ウイルスで演出されたパンデミックで対策強化を煽る,まさに「マッチポンプ」です。そして,IHRを上回る強制措置の義務づけを可能とするのがパンデミック条約の目的だと言っています。

残念ながら今回のWHO総会においては合意に達せず、

ここでも,強制措置が可能となるのが遠のいたことを「残念」と言っています。動画の言い方を見ると心から残念そうです。

いずれにせよ危険な感染症の発生は今後も確実に将来起こることが予測されている

忘れないでください,SARS-CoV-2(いわゆる新型コロナウイルス)は人工ウイルスです。

記者から重ねて質問が入ります。

強制措置を盛り込むのは今回のIHR改正では達成できなかったのか?

これに対して,

できていません。この間のIHRは多少強化されましたが、それは条約のようなかたちでの拘束力は持ちません。

「できていません」の言い方がやはり本当に心から残念そうです。

重ねて質問が入ります。

今後パンデミック条約で反映させていくのか。

これに対して,

国際社会における協議のテーマというものは、なにも強制措置の有り様によるものだけではございません。(略)例えば低所得国におけるワクチンのアクセス権(略)など、大変に関係諸国間の利害関係に直結する問題がたくさん含まれており、実際に合意を形成することは極めて難しい(略)強制措置のところだけ取り上げて、このパンデミックの条約を議論しようとすると極めて間違った理解の仕方になる

「極めて難しい」にも相当力が入っていました。これについては私の単なる憶測ですが,強制措置を嫌う多数の国の反発により合意形成が難しいのに,あたかもそれらの国が望むワクチン接種体制に対応できないことが理由であり,そのために難しいのだと強調して見せたのだと感じました。これを見ると一般の日本人は,ワクチン開発や低所得国へのワクチン供与に日本がカネを出すことに積極的になるでしょう。そうやって強制措置から国民の注意を逸らそうとしています。

最後の質問です。

武見大臣はこの強制措置を盛り込んでいくということに推進のお立場と理解してよろしいでしょうか。

回答は,

私は各国の合意がしっかりと構成され、そしてそこで正しいルールがしっかり確認され実行されるということになれば、こうした必要な強制措置があっても決しておかしくはない、特に将来、より危険な感染症が発生する確率は極めて高いです。したがってそのような場合に、1人でも国民の命を救うということは、やはり政治家としての責務だろうと考えます。

「各国の合意による強制措置」つまり,締結国が多数決で合意すれば日本も強制措置の実行を免れないということです。また,繰り返しますがSARS-CoV-2が人工であることを忘れてはなりません。
(2024/07/01追記)また,私も動画を見たとき思ったのですが藤江さんも仰ってたので追記します。武見さんは普段の答弁や会見では,特に労働関係など全くの門外漢のはずですから,ヨタヨタと官僚の原稿を読む感じなのに,ここではとても毅然として自分の言葉で話しています。まるで改憲を語る安倍さんのようです。本気度がハンパないと思われます。

該当部分の動画と,全文です。

記者:
国際保健規則IHR改定についてお伺いします。武見大臣は2021年4月、日本国際問題研究所主催のウェビナー、UHCの今日的意義という基調講演で次の発言をなされました。引用します。「もう1つの新たなアプローチというものが法律家的でアプローチでございまして、こうした国際保健規則といったようなものに、より強制措置をつくることの必要性を求め、それによってパンデミックに対応する新たな国際条約を締結する必要性を提唱するようになってきております」以上引用でした。5月27日から開かれていた世界保健総会で提案されたIHR改正は、この強制措置をつくることを目指したものと理解してよろしいでしょうか。また、この強制措置をつくるという目標は、6月1日のIHR改正案の採択で達成されたとお考えでしょうか。ご見解をお聞かせください。
大臣:
IHRというものは、このWHO締約国が守らなければならない義務を課した、そうした規則になっています。ただ残念ながらその法的な強制措置というものは効力として持っておりません。実際にこうしたパンデミックの問題、あるいは危険な感染症が発生したときの対処方針というものを考えたとき、国境を越えて各国政府が緊密に連携し、その拡大をいち早く抑止することが、国際社会の中でお互いに協力して行わなければならない最大の課題となっております。そうした中で実際にIHRについて、特に欧米ですが、例えばドイツやフランス、EUといったところが中心となり、こうしたIHRの強制措置について議論していました。私はそのことをご紹介させていただいております。その上で、実際今回のパンデミックを経験し、こうした欧米諸国はさらにそれを上回る強制措置が可能なパンデミック条約というかたちで新しいこうしたパンデミックに対応する仕組みをつくろうということをお考えになりました。残念ながら今回のWHO総会においては合意に達せず、改めて今後1年継続して審議するということになったと理解しています。いずれにせよ危険な感染症の発生は今後も確実に将来起こることが予測されているため、いかにそれに対して関係各国が新しいルールをつくり、こうした危険な感染症に対して1人でも多くの人々を、国境を越えてしっかり救済する仕組みを準備しておくことは、国際社会における当然の責務と考えます。
記者:
そうしますと、この強制措置を盛り込むということはこの間の成案、IHR改正では達成できなかったと解釈してよろしいでしょうか。
大臣:
できていません。この間のIHRは多少強化されましたが、それは条約のようなかたちでの拘束力は持ちません。
記者:
それは今後パンデミック条約で反映させていくという理解でよろしいでしょうか。
大臣:
おそらく国際社会における協議の結果であろうかと思います。国際社会における協議のテーマというものは、なにも強制措置の有り様によるものだけではございません。実際にそうしたワクチンを開発した場合、そのワクチンを開発した国以外の受け入れ国となる、例えば低所得国におけるワクチンのアクセス権というものを、どのようにその条約の中で規定するかなど、大変に関係諸国間の利害関係に直結する問題がたくさん含まれており、実際に合意を形成することは極めて難しいということが実態です。したがって強制措置のところだけ取り上げて、このパンデミックの条約を議論しようとすると極めて間違った理解の仕方になることはあえて申し上げておきたいと思います。
記者:
最後に確認ですが、武見大臣はこの強制措置を盛り込んでいくということに推進のお立場と理解してよろしいでしょうか。
大臣:
私は各国の合意がしっかりと構成され、そしてそこで正しいルールがしっかり確認され実行されるということになれば、こうした必要な強制措置があっても決しておかしくはない、特に将来、より危険な感染症が発生する確率は極めて高いです。したがってそのような場合に、1人でも国民の命を救うということは、やはり政治家としての責務だろうと考えます。

武見厚労大臣記者会見概要(令和6年6月28日(金)10:50~11:22 省内会見室)


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