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消え行くフィルム写真の世界 第1回


 今回は初めてフィルムカメラを使う人のために、フィルムカメラやフィルムには沢山の種類があるよ、という導入の話をしていきたいと思います。

カメラの種類


 デジタルカメラにたくさん種類があるように、フィルムカメラもバリエーションが豊富です。

・コンパクトカメラ
・一眼レフカメラ
・レンジファインダーカメラ
・使い捨てカメラ
・二眼レフ(主に6x6)
・中判一眼レフ(6x4.5, 6x6, 6x7, 6x9)
・中判レンジファインダー(6x7, 6x9)
・4x5(しのご、と読みます)
・8x10(えいとばいてん、と読みます)
・インスタントカメラ
・トイカメラ

…などなど。

 一眼レフ、レンジファインダーは35mmカメラなどとも呼ばれます。コンパクトカメラもほとんどは35mmフィルムを使っているのではないかなと思いますが、すごく昔のカメラだとその限りではありません。使い捨てカメラは中身は35mmフィルムです。

 一眼レフは登場したのが1957年、デジタル一眼レフの登場が1999年なので、メインフレームにいたのはたった42年の短い期間でした。でもその手軽さと初心者にもクオリティの高い写真を撮ることを可能にしたという特徴から、本当にたくさんの機種が発売されています。昭和のお父さんが持っていたのはだいたい35mm一眼レフではないでしょうか。

 レンジファインダーはライカに代表される、35mmカメラです。現在、最も近い存在はミラーレス一眼。ボディの中にミラーがなく、レンズの取替ができます。

(120フィルムと135フィルム)

 二眼レフ、中判一眼レフは120フィルムやブローニーと呼ばれる少し大きいフィルムを使うカメラです。二眼レフはすごくたくさん種類があるので、中には半端な規格を使うものもありますが、ほとんどは120フィルムです。

 そして、4x5, 8x10は大判カメラと呼ばれる写真館などで使われていたプロユースカメラです。


 さて、こんなふうにたくさん種類があるカメラですが、フィルムを入れなければ、写真を撮ることはできません。そして使えるフィルムはカメラごとにサイズが決まっています。例えば一眼レフに120フィルムを入れることはできません。そのかわり135フィルムならなんでも使うことができます。

 フィルムのことをSDカードのように考える方もいるようですが、デジタルカメラと比較して考えるとき、フィルムは撮像素子にあたります。カメラの肝ですね。ここが写真の色味やコントラスト、感度(ISO)などを決める非常に大切な部分です。

 デジタルカメラはメーカ毎に撮像素子のスペックが異なり、このメーカなら人肌が綺麗に表現できるとか、このメーカは空の青が綺麗に出るなどの特色があります。もちろんカメラの種類によっても異なります。これが、フィルムカメラの場合はフィルムになるわけです。


※1. 厳密に言うとデジタルの撮像素子のほうがちょっと大きいですが
※2. レンズの性能もありますが、単純化しています

フィルムの種類

(右から4x5, 120, 135)


 先ほどささっと説明しましたが、フィルムにも沢山の種類があります。まずはおおまかな区分から。

□135フィルム

 35mmフィルムともよばれるもっとも手に入れやすいフィルムです。フィルム幅が35mmのため35mmフィルムとよばれるそうです。実際像が映る部分はパーフォレーション(爪を引っ掛ける部分)があるため、24x36mmくらいの大きさ。

 これから説明する120フィルムよりあとに出てきた比較的新しいフィルムで、135というのはスペック番号です。35mmとかぶったのはなぜでしょうね…わざとかな?

 さてこの135フィルム、カラーネガフィルム、モノクロネガフィルム、カラーポジフィルム(リバーサルフィルム)の三種類があります。(※3)
カラーとモノクロは説明するまでもないですが、ネガとポジ。これはなに?

(代表的な135ネガフィルム - PORTRA 400NC。すでに生産は終了していますが、販売は継続されています)

 簡単に言うと、ネガフィルムは明暗・色が反転されて現像されるフィルムです。顔が黒くなり、髪の毛が白くなって出てくるので、現像済みのネガを見ても何がなんだか分からない。それがネガフィルムです。
 一般的にネガフィルムはポジフィルムより安く、扱いが簡単で多少撮影のセッティングが狂っていてもそれほどシビアに画像には現れません。プリント時の補正も楽だといわれています。安いフィルムだとフィルム特有のつぶつぶ感が出るので、あれ? デジタルに比べて粗い…などと思うこともあるかもしれません。

(左:ポジフィルム、右:ネガフィルム)

 一方ポジフィルムは写真に映るものと同じ現像済みフィルムが出来上がるタイプのフィルムです。セッティングが非常にシビアに効いてくるので難しいと言われますが、その代わり出来上がりの写真の色は鮮やかで、色味も忠実なことがおおいです。

 つぶつぶ感はネガに比べると少ない…これはリバーサルフィルムはネガフィルム以上に衰退のスピードが速いので上位製品しか現在では売っていないせいもありますね。店に行くとポジはやたらに高い。試しに撮ってみても街の小さなDPE店では受け付けてくれない場合もあります。でもそのかわり、うまく撮れた時の感動はひとしおです。

(マニア向けにポジ・ネガ両用フィルムなんていうのもあります)


※3. 実はモノクロポジフィルムも流通はしているそうですが、出会ったことがないです。相当流通数は少ない…はず

□120フィルム

 いわゆるブローニーフィルムといわれる135フィルムより少し大きなフィルムです。このフィルムを使うカメラを中判カメラといいます。
 120というのもやっぱり型番で、1900年から今に至るまで使われ続けています。大きさは横幅が6cm、使うカメラによって縦幅が4.5cm, 6cm, 7cm, 8cm, 9cm 12cm, 17cmとかわります。

 135フィルムが24x36mmだったのに対し、もっとも小さいフォーマットでも45x60mm。その大きさがわかるかと思います。
ちなみに135フィルムと同様、カラーネガフィルム、モノクロネガフィルム、カラーポジフィルムの三種類があります。

□4x5, 8x10フィルム

 大判で使われるフィルムです。この大きさ、135フィルムを現像に出してプリント写真に焼いてもらったとして、その写真よりも大きサイズです。ふつう、特に指定をしない限りプリント写真はL判になりますが、それより一回り大きいキャビネ判のサイズです。
 8x10はさらにその二倍、6つ切り(B5サイズくらい)の大きさです。

 コピーでも画像拡大でも何でもそうですが、小さいものを大きくすると画質が荒くなってしまいますが、4x5, 8x10などの大判用フィルムは元が大きいのでプリントの際の画質劣化がほとんど無視できます。また、画質の細かさもそれより小さなフォーマットに比べて格段によいという特徴があります。小さい紙より大きい紙に書いたほうが情報はたくさん書き込めますよね。フィルムも同じです。

 種類ですが、やはり135フィルムと同様カラーネガフィルム、モノクロネガフィルム、カラーポジフィルムがあります。
大判は滅多に目にすることがないと思いますので忘れてもらっても大丈夫ですが、興味があったらすごくよい写真がたくさんあるので調べてみてくださいね。


おさらい

(二眼レフ)

 以上フィルム・フィルムカメラの種類について説明してきました。おさらいすると

・フィルムカメラはたくさん種類があり、カメラに対して使えるフィルムが決まっている
・135フィルム、120フィルムが現在主に使われているフィルムである
・135フィルムと120フィルムにはそれぞれ、カラーネガフィルム、モノクロネガフィルム、カラーポジフィルムの三種類がある。

 明日はたくさんあるフィルムの特徴と実例(成功作・フィルムの特性がよく現れた失敗作)を紹介したいと思います。お楽しみに!



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