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能・義太夫・歌舞伎・謡かたり「隅田川」

すみだトリフォニーホール開館25周年特別企画。墨田区にある木母寺ゆかりの梅若伝説にちなむ「隅田川」を能、文楽、歌舞伎の第一線で活躍する3人の演者が、コラボレーションした舞台。二人の人間国宝に尾上菊之助が力を借りながらも素晴らしい世界を作り上げている。

能はあらゆるものを削ぎ落とし、反対に歌舞伎は新しい取り組みにチャレンジしてきた芸術。尾上菊之助の演じる母親の子への無償の愛、情愛が胸を打つ。舞は母親役の菊之助一人。船頭や人さらいなどの役回りを浄瑠璃の人間国宝、豊竹咲太郎氏が謡いあげる。小鼓の人間国宝である大倉源次郎氏が絶妙な掛け合いを入れる。なんとも贅沢な舞台。

舞台の最後を入水で終わるのか、静かに立ち去るのかは菊之助に委ねられたらしい。
しかしその演出を見て、どのように感じるかは観客一人一人の受け取り方に任せるのが日本の芸術の良いところだそうだ。

その曖昧さが日本らしいのかもしれない。はっきりとわかる、白黒つけることも必要なこともある。しかし小説の行間を読むのも、読む手の生き方や生活環境など受け取り方は違ってもいいのではないかと思う。人生は数学のように答えは一つとは限らないことも多い。

いろんな考えや生き方があるのは当たり前。育ってきた環境や影響を受けた人、縁があった人、支えてくれた人、成功や失敗。
しかし共に何かを取り組む時は可能な限りベクトルは合わせた方がいい。やり方は違っても目指す方向を同じにすることは仕事では必要ではないか。

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