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「雑談こそマネジメントの良薬。」岡田流個が立つ組織のつくり方

こんにちは、WOMenらぼ編集部の長谷川です。

中途入社4年目。今年に入り、エン・ジャパンの各プロダクトを開発・運用する部署「デジタルプロダクト開発本部(通称:デジプロ)」に異動しました。

新しい環境にもまだ慣れず、ソワソワした日々を送っていたある日。自席でいつものように仕事をしていると、左後ろから「チョコ食べる?」という声が。

振り返ると、そこにいたのはデジプロの部長、岡田康豊さん。

それまで、一度もまともにお話ししたことはなかったのに…!あまりにも自然でさりげないコミュニケーションの始まりに、緊張がふっととけたことを覚えています。

「この前、岡田さんにお菓子をいただいたんですよね」。そんな話をチームの皆にしてみると、「私ももらった!」という声が。岡田さんのことを聞いてみても、返ってくるのは「褒めてくれるから嬉しい」「コミュニケーションがきめ細やか」なんて、ポジティブな声がたくさん…!

みんなから絶大な信頼と人気を集める岡田さん。とっても多忙な日々のなかで、メンバーをどうマネジメントしているの?岡田さんが日々大切にしている、7つのルールが見えてきました。


岡田流・マネジメント、7つの極意

1:「ムダ話」を大切に
2:できる限りの即レスを
3:まずは言葉を受け止める
4:現場の空気を肌で知る
5:常に余裕をつくっておく
6:納得感を醸成する
7:「ユーザー」を主語に語り合う

[プロフィール]岡田康豊
ゲーム会社、Web制作会社、エンタメ系会社など、4社にてデザイナー、ディレクターの経験を積み、2012年にエン・ジャパンに中途入社。
プロダクトマネージャーとして『[en]派遣のお仕事情報(現 エン派遣)』『[en]チャレンジ!はた☆らく(現 エンバイト)を始めとする数々のサイト運用と立ち上げを経験する。
現在は『エン転職』のサイト責任者を務めながら、エン・ジャパンの全てのプロダクトの運用を手がける「 プロダクト企画開発部」の部長としてマネジメントを手がけている。

1:「ムダ話」を大切に

よくお菓子を配っているのは、できるだけ「話しかけやすい」存在でいたいと思っているからです。

部下からしたら、上司って「声をかけづらい」存在になりやすい。なんとなく忙しそうだし、いつ声をかけようか、メールを送るのもこれで大丈夫かなって、一瞬躊躇してしまいますよね。僕自身も新人の頃、上司が話しかけにくかったので…その気持ちがすごく良く分かる。

とくに僕はメンバーたちと席が離れていたり、1日ミーティングで埋まっていることが多くて、そもそも接点が少ない。それに、年齢も離れている。意図的に接点を増やさないと、どんどん「声をかけづらい」存在になってしまいます。

子育て中のママ社員だったら「お子さん元気ですか?」とか、お酒好きな社員だったら「最近良いお店あった?」とか。仕事とは全然関係のないことを聞いてみたり、ときには自分のことも話してみたり。

ムダ話は非生産的という捉え方もできますが、「話しやすい」関係づくりができて、結果的には現場の情報をリアルに知れる近道になると思います。

2:できる限りの即レスを

「話しかけやすい」存在でいるために、些細なことだけれど他にも心がけていることが2つかあります。

ひとつは、メールやチャットで連絡が来たら、できるだけすぐに返信すること。抜けちゃうこともあるけど、スタンスとしては大事にしています。ほっとかれるのって、変に不安にさせてしまうから。できるかぎりですけど、受け取ったボールは全て打ち返したいと思っています。

もうひとつは、作業中に部下に話しかけられたら、キーボードから手を離すこと。忙しいとついついパソコンの画面を見たまま、話を片手間に聞いてしまいがち。でも、それでは部下を「今忙しいのに話かけてしまって申し訳ない」とか「聞いてもらえてないのかな」という気持ちにさせてしまいます。

よく「チームメンバーの心理的安全性をどうやったら高められるのか?」と相談を受けることがあるのですが、最初の一歩としてまず「話しかけられたらキーボードから手を離して」みてください。それで8割解決すると思います。

3:まずは言葉を受け止める

仕事をする上での部下との関わり方は、「否定せずに一旦受け止める」というのを意識しています。

例え報告や相談の内容がまとまっていないものでも、「で、何が言いたいの?」「整理してから来て」とかは言いません。相手の伝え方が良くないんだったら、それをフィードバックしてあげればいい。部下がくれた情報をどう受け止めるかの取捨選択は、僕自身ですれば良い話ですからね。

回数は多くなっても、毎回的確にフィードバックをする。そして、成長した分の変化は、きちんと認めてあげる。悪いところばかりでなく、良いところにきちんと目を向け、言葉で伝えるようにはしています。

でも…なんというか「そうしている」というよりは、「僕にはそのやり方しかできない」というほうがしっくりくるかもしれません。

元々一度の強い言葉で人を動かしたり、引っ張っていったりすることが苦手なタイプなんですよね。だから、一人ひとりと回数を重ねてコミュニケーションをとるなかで、僕の考えやチームとして目指していることを伝えるようにしています。

4:現場の空気を肌で知る

あとは、メンバーがパソコンに向かっている時やミーティングをしている時の表情なんかはよく覗いてますね(笑)暗い顔していないかな?って。

現場から情報が入ってくるのを待ってるだけじゃ、意味はないと思うんです。相談事に関しても、本人が「つらい」と声を上げてくれた時には、もうだいぶ心が傷ついてしまっていることもある。完璧にできているわけではないですが、メンバーの「空気」を肌で感じたいと思っています。

組織づくりは、パズルと同じ。誰にどんな役割や仕事を任せるとチームとして最大のパフォーマンスができるか。それは個々人を知らないとうまく配置できません。だからこそ、メンバーの状態や仕事振りを遠くから見守ることは大事にしています。

5:常に余裕をつくっておく

よく「岡田さんっていつも穏やかですよね」って言われるんですけど、結構気は短いほうです。ただ、感情的になることはマネジメント上不要だと思っているので、コントロールをしている感じかな。メンバーから相談された時にちゃんと向き合えるように、心と頭に余白をつくっておくことは意識しています。

僕にとっては、「タスクが整理された環境」が平静を保つための最低条件。だから、1日のタスクは必ず翌日までに洗い出して、いつどのミーティングがあるのか、この空き時間で何をどこまで進めるのかを事前に全て把握しておくんです。そして、帰宅しながら1日を簡単KPTで振り返る。全ての仕事は「整理整頓」から始まると思っています。

めんどくさくてそれをやらなくなったりすると、途端に心のバランスが崩れるんですよね。タスク整理は、安定剤みたいなものかもしれません。

でも、距離の近い部下からは「岡田さんさっきイライラしてましたね」って気づかれちゃうこともたまにあります。まぁ、基本的に気を許してる人たちには自分のことをすべてさらけ出しちゃってるので、一応部下だけど、もういいかなって(笑)

6:納得感を醸成する

誰かに決められたこと、と「自分で決めたこと」では、成果に対するコミットが大きく違うと思うんです。だから、メンバーが「自分で決めた」という感覚、仕事に対する「納得感」を持てるような環境をつくることが、僕の役割だと思っています。

そういう意味でも、メンバーが気軽に意見を言える雰囲気をつくることは大事かなと。例えば、大人数のミーティングではあえて自分以外の人にファシリテートを任せたり、メンバーの発言をきちんと受け止め、傾聴の姿勢を見せたり。

そもそも、僕たちがやっている仕事って、絶対的な解があることは少ないから。自分の中に方向性が見えていても、メンバーの声を聞かずに考えを押し付けることはしません。

意見を発信する経験と、自分で決める経験を重ねていけば、僕がいなくてもみんなが自分で考えていける。そんな自走した組織を目指しています。

7:「ユーザー」を主語に語り合う

メンバーには、「マーケットのために働ける人」になってほしいと思っています。

入社したてで世の中のことをまだ知らない頃は、どうしても「リーダーの〇〇さんのために頑張る!」といったサポーター的な考えになっちゃいますよね。

でも、“誰か”に焦点を当てるのではなく、「自分は仕事を通して社会にどんな価値を発揮したいのか?」「ユーザーにどんな世界を届けたいのか?」を考えられるようになってほしい。

だから、メンバーの「Will」を問うようなコミュニケーションは常に意識しています。もちろんビジョンなんて簡単に持てるものではないから、「これだ!」と思うものが見つかるまでとことん話し合い、一緒に走りますけどね。


〈編集後記〉

「自分はマネジメントができているとも、得意だとも思ってない」

取材の途中、ぽつりと漏らした岡田さん。続けて、

「僕は、基本的にすごくめんどくさがりなんですよね。抜けているところも多いし。だから、僕がいなくても大丈夫な組織をつくりたいんです」と、いつもの柔らかい口調で話してくださいました。

思えば、部署の方に岡田さんの印象を伺ったとき。

「ちょっと抜けているところが可愛いというか…逆に自分がしっかりしなきゃ!と思えるんですよね(笑)」

こんな言葉が返ってきたこともありました。

管理職でありながら、自然体で飾らない。無理して“部長”を演じない。そんな「人間らしさ」も、岡田さんが愛される理由の一つなのかもしれません。

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