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今までの自分は捨てる!育休復帰後2年でトップセールスになるまで。


こんにちは、名古屋オフィス コピーライターの加藤です。

女性として将来のキャリアを考える上で、「結婚・出産後も働き続けられるか」は、どうしても悩んでしまうもの。時短勤務で働くとしたら、今より短い時間で、会社に必要とされるだけの成果が出せるのか…正直、私はまだ自信がありません。

時短勤務でも成果を出している方は、どんな工夫をされているのか。それを知りたくて、訪ねたのは、同じ名古屋オフィスのトップセールス、福島奈穂さん。

6歳の息子さんと3歳の娘さんを育てながら、育休復帰後2年で社長賞(*)を受賞した営業です。

私も何度も一緒にお仕事をしているのですが、とにかくお客様へ向き合う方。たとえば求人広告を掲載し、思うような採用成果が出なかった時も、お客様から逃げることなく、次の提案をしに行かれます。その姿を、いつもかっこいいなと思って見ていました。

いつも前向きで、ずっと高い成果を上げている方…という印象だったのですが、育休から復帰した直後はかなり苦労されていたとのこと。そこからいったい、どうやってトップセールスになったのでしょうか。

(*)社長賞は、四半期に一度、シンボリックな活躍をした社員に贈られる賞。

【プロフィール】福島奈穂(ふくしまなお)
2007年に新卒でエン・ジャパンに入社。
中途採用支援事業部(現:中途求人メディア事業部)にて求人広告の営業を5年勤める。
その後、途中で産休・育休をはさみながら、人材紹介のキャリアパートナー、求人広告制作のための取材を行なうディレクター、新卒の育成を行なうトレーナーなど幅広い職種を経験。
第二子の産休・育休復帰後には、7年ぶりに求人広告の営業へ復帰し、名古屋オフィスのトップセールスとなっている。

想像以上だった、時間のなさ

第二子の産休・育休後、7年ぶりに営業へ復帰された福島さん。今まで経験した職種の中では、営業が1番、子育てとの両立がむずかしそうと感じていたそうです。どうして、もう一度営業へ戻られたのでしょうか。

「7年も経つと、商品もマーケットの状況も変わっているので、今の環境でも成果を出せるか、チャレンジしてみたくなって。でも実は、やりたい!と強く言ったわけじゃないんです。育休復帰前の面談で、久しぶりに営業やってみたいかも…と、ぼそっと言ったら決まってしまって(笑)」

明るく当時のことを話す福島さん。しかし、復帰直後は本当に大変だったといいます。

「きつそうとは思っていましたが、思っていた以上でした。時短勤務で、営業として成果を出すためには、圧倒的に時間が足りない。もっとしっかり商談準備をしたいのに、今までの6割くらいの準備しかできなくて…」

「今日は時間を取って頑張れそうだと思った日に、保育園から連絡があって早退しなければいけなかったり、慣れない生活で体調を崩してしまって、せっかく取ったアポイントへ行けなかったり…。そんな状況だから、成果にもつながらなかったんです」

なりたい「営業像」とのギャップ

福島さんにとって、理想の営業とはお客様を第一に行動できる人。そんな福島さんにとって、時短勤務は大きな壁だったといいます。

「今まで私は、お客様に全力で向き合うことで成果を出してきました。そのスタンスは、今でも変わりません。ただ、昔は遅くまで会社に残り、他の営業より倍以上の時間をかけることが、私の向き合い方でした」

「でも、今の私は時短勤務です。子育てと両立するためには、どうしても以前のように時間はかけられません。時間でカバーする方法しか知らなかったので、時短勤務の営業は、自分がなりたかった”営業像”じゃないと感じてしまいました」

実際に、なかなか成果にもつながらず、ずっとつらい思いをしていたそうです。そのまま半年が過ぎ、福島さんの中である疑問が生まれるようになります。

「本当に、私は仕事を続けたいのかなって…。続けたいから復帰したはずなのに、営業として成果は出ない。余裕のなさでイライラして、子どもに怒ってしまうこともありました。営業としても、ママとしても、上手くできない自分がイヤでした」

「ママ、あきらめちゃダメだよ」

仕事を続ける理由がわからなくなり、福島さんはついに仕事を辞めることを決意します。最初にその気持ちを伝えたのは、4歳の息子さん。保育園があまり好きではないようで、見送りをする時にいつも泣いていた子だったそうです。

「正直、息子に話したら絶対に賛成されると思って話しました。保育園のお迎えが他の子たちより遅いのも、ずっと不満そうにしていたので…」

しかし、息子さんは意外な言葉を返します。

「ママ、あきらめちゃダメ。やめちゃダメだよって言われました」

「私が仕事を続けることで、一緒に過ごす時間は少なくなってしまうのに、それでも私のために言ってくれたんだと思います。それなら、やらなきゃいけないなって思い直しました」

私でなくてもいい仕事は、人に任せていい

息子さんの言葉で、改めて仕事を続ける決意をした福島さん。しかし、成果が上がらないという課題は解決していません。時短勤務の中で効率よく営業活動をするために、今までの仕事のやり方を変える必要がありました。

ある日、福島さんは以前の営業時代に、先輩から言われたことを思い出します。

「”外を向いて仕事をしなさい”ってよく言われていたんですよ。迷ったら社内より、社外のためになることを優先したほうがよいって。お客様ともっと向き合う時間をつくりたいなら、社内の助けを借りなくてはいけないのかもと思いました」

そこで福島さんは、アシスタントに仕事を全然頼んでいなかったことに気づきます。

「7年前はそれほど分業が進んでいなかったこともあって、アシスタントに仕事を切り出すことに抵抗感があったんですよね。ただ、実際に依頼をしてみると、”私でなくてもいい仕事”がいっぱいあることに気づきました。求人広告の応募効果が分かる分析シートの作成をしてもらったり、手書きで書いた企画書を、パワーポイントにしてもらったり。アシスタントに任せたからって、質が変わることもありません」

やがて福島さんはグループで1番アシスタントに仕事を依頼する営業に。そうしてできた時間を、お客様と向き合う時間につかうようになりました。

タスクは、すべて書き出す

お客様と向き合う時間をつくるために、福島さんは他にも実践されていることがあります。それが、タスクを徹底的に書き出すこと。

「タスクが発生した段階ですべて紙に書き出して、今日中にやることと、明日やることを切り分けるんです。書き出しただけでは不安なので写メを撮って保管して、Webスケジュールにも登録します。やりすぎかもしれないですが、心配性なので…」

最初はとにかく忘れなくて書き出していたそうですが、それは効率的なタスク管理にもつながりました。

「メモしたタスクを見て、常にデスクに戻ったら次は何をやる、その次はこれをやる…って考えているんです。通勤中でも、商談帰りの電車の中でも、頭の中はいつも次は何をやるかでいっぱい。それは時短勤務の中で、効率的に仕事をすることにつながっていると思います」

成果が上がり始めて、気づいた自分の強み

復帰から10ヶ月くらい。アシスタントへの依頼の効果もあったのか、少しずつ成果が上がるようになってきた福島さん。そこで、自分の強みに気づいたそうです。

「いろんな職種の仕事を経験してきたことが活かせていたんです。人材紹介でキャリアパートナーをしていたことで、求職者の気持ちが分かるから、選考方法に関する提案ができます。求人広告の取材をするディレクターをしていたから、広告のことが分かります。いろんな視点で、お客様の相談にのれたんです」

復帰してからずっと、お客様の相談にのっていた福島さん。受注という成果につながっていない間も、少しずつお客様から信頼を獲得していました。そして、その信頼の結果が、10ヶ月目でようやく成果にも現れるようになったのです。

育休復帰後2年でつかんだ、社長賞

自分の強みを時短勤務の中でも活かせるようになった福島さん。成果はぐんぐん上がり、名古屋オフィスのトップセールスに。その結果、社長賞も受賞しました。

「じつは、はっきり狙っていたわけではなかったんです。ただ名古屋オフィスを盛り上げたい気持ちが強く、賞に立候補しました。大変だったから認められたかったという気持ちもあります(笑)」

「あとは、賞をとって、時短勤務の営業のことを知ってもらうことで、もっと働き方の幅が広がると良いなぁと思ったんですよね。在宅勤務とか、フルコミッションとか、自分のためにも、後輩社員のためにも、もっと道をつくりたいなと思っています」

【編集後記】
分からないことがある時は、中途入社4年目で、何個も下の後輩である私にもよく質問してくれる福島さん。ご本人は「心配性だから、つい聞いてしまう」とおっしゃっていましたが、ためらいなく後輩を頼れる方は、じつはそんなに多くないのではないかと思います。

もしかしたら、今回お話を伺った「迷ったら社内より、社外のためになることを優先したほうがよい」という考え方が鍵となっているのかもしれません。社外のお客様のためなら、仮に社内で「先輩なのに知らないんだ」と思われたとしても(思ったことはないですが)、聞いたほうがお客様のためになると考えられているのかもしれませんね。

こうした考え方や、タスク管理の仕方は、時短勤務で働く方はもちろん、そうでない方も参考にできること。私も、実践してみたいと思います。

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