移住者が神社を再建するまで①

「生まれる前の話」

いきなり不思議な話から始まることになるが、私が生まれる少し前から振り返っていくことにする。

今思えば・・・と、母が語ってくれた金縛りの話は、当時から20年以上の時を経て更なる展開を見せる事となった。
母はよく金縛りに遭う人で、幽体離脱の経験もあり不思議な話に事欠かないが、ここでは割愛させていただく。
そんな母がある時、不思議話のひとつとして私に語ってくれたのが金縛りの話だった。

新婚旅行で訪れたニューカレドニア、その晩に大きな黒い犬が数頭息荒く自分の周りをぐるぐるしている

当時は父を怖がらせないようにと、そのことを話さず、長年埋もれていた話だったらしい。

「そうして帰国したら、あなたが生まれた。ここ最近、狼関係で仕事をしているのを見ていたら、あの時の”黒い大きな犬”は狼だったのかもしれないと思う。狼が連れてきた子だったのかも。」

そんな話を横で聞いていた父が驚く。
「自分も同じものを見ていた」と。
父は特に不思議な出来事や金縛りにあったこともなく、50年の人生の中でも、「何か」を見たのはニューカレドニアでの一夜だけのことだった。
しかも、二人はその晩に同じ「黒い大きな犬が自分たちの周りをぐるぐる回っている」のを見たのだと言う。
互いに自分だけが見たものと思い、20年近く伏せられていた話だった。

今でも偶に、茶化して「狼の子」と母は言う。
ニューカレドニアで二人を取り囲んだものは、果たして狼だったのだろうか。
その真相に辿り着ける日は来ないのかもしれないが、始まりを遡るならここなのではないかと思う。

誕生日、7月14日。7(なな)14(いし)と読めるのも今となっては伏線のようではないか。

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