運動

超大型のサイトハウンドであるアイリッシュ・ウルフハウンドの運動については、小型犬や中型犬とは異なる点やサイトハウンドならではの特性があります。健全な発育と健康維持のために、適切な運動を心がけてください。

基本的に気をつけるべき点は、ライフステージにあった運動量=どの年齢でも疲れすぎる前にやめること、そして運動する環境=土や芝など柔らかい地面で安全な広い場所での自由運動、のふたつです。


子犬と成長期の運動

成長期は、体はどんどん大きくなるけれど関節や筋肉はまだ発達途中の時期で、激しい運動の負荷に十分耐えることはできません。健全な成長のためには適度な運動が必要ですが、一方で運動のしすぎ(長時間の運動や激しい運動)は骨や関節の問題の原因になるので、注意をしてください。

ウルフハウンドは成長が遅く、1歳半から2歳くらいまでは成長期です。成長期の終わりには体高の伸びが止まりますが、筋肉が十分発達するのはさらにその後です。長い成長期が終わるまでは、運動のし過ぎや運動環境にとくに気をつかいます。

運動をする場所はやわらかい地面=芝生、土、砂地などが理想です。ウルフハウンドの子犬は体重が重いわりに骨や筋肉が未発達なため、固い舗装道路やコンクリートの上での長時間または激しい運動は、関節や骨を痛める原因になります。なるべくアスファルトやコンクリートの地面では運動させないようにします。

ウルフハウンドの成犬や他の大型犬との遊びも、子犬にとっては危険なことがあります。ぶつかった衝撃で怪我をしたり、体力の限界を超えて遊びすぎたりしがちなので、よく見守りながら遊ばせ、疲れてきたら休ませてください。激しい遊びが続くときも早めにやめさせてください。

運動の前後に、歩様(歩き方、足取り)を気をつけて見る習慣をつけるとよいと思います。運動開始時に比べて足取りが重くなり、疲れが見えたら運動のやめ時です。脚を引きずったり、後脚がぐらついたり、ひねるような感じで歩いていたりしたら、完全に運動のしすぎ。少し運動量を減らしたほうがよいでしょう。運動後にマッサージをしたり、太り気味であれば少し減量するといったケアも有効です。

「運動させすぎない」ことについていろいろ書いてきましたが、適度な運動はとても大切です。極端に運動を制限することは、運動させすぎ同様、心身の発達によくありません。活動的な「運動」とは別に、日中はある程度広いスペースで、自由に歩き回ったり遊んだりできるようにしましょう。狭いバリケンやケージに1日のほとんどの時間閉じ込めるような飼い方は絶対にしないでください。

運動量の目安

適切な運動の内容や量は、その犬の体質や成長の速度などで違ってきます。ここで書くのはあくまで目安ですので、参考にしながら、ご自分の犬にあった運動をさせてあげてください。

ベビー・パピー:生後半年くらいまでは、とくに「運動」を意識する必要はありません。庭があれば庭で、1日に何度か20分程度自由に遊ばせるくらいで十分です。そのほかに、リードをつけて歩く練習を短時間するとよいでしょう。室内では、子犬のペースで動く分には自由にして構いません。床が滑りやすい場合は、滑り止めになるものを敷くなどしてください。

生後3ヵ月から:ワクチンが済んで散歩にでかけられるようになったら、さまざまな環境でさまざまな人や犬に会う経験も大切です。この時期にいろいろな経験をすることで、社会性が身についていきます。ただし、長時間の散歩や、自転車による運動はまだ避けてください。運動のし過ぎを防ぐためためと、硬い地面(アスファルトやコンクリート)が関節にダメージを与えるのを防ぐためです。様子を見ながら、疲れすぎないところで散歩を終わりにします。

生後6ヵ月頃から:すこしずつ「運動」を始めます。土や芝生など地面が柔らかい場所で、1日2回程度の自由運動が理想です。1回の運動の時間の目安は30分程度。これまでと同様、疲れ過ぎないように、様子を見ながら運動量を調節してください。体力がついてきたら徐々に運動を増やしても構いません。週に何度か長めの運動をし、その翌日の運動は軽めにするなどして、負担がかかりすぎないように調整します。

成犬の運動

成長期が終わり、筋肉も発達し、十分体力がついてきたら、それに応じて運動量も増やしていきます。リードをつけての散歩と、土や芝の地面での自由運動をバランスよく行っていくとよいでしょう。リードをつけて歩くだけでは、大型のサイトハウンドにとって十分な質の良い運動にはなりません。広い場所でのびのびとギャロップして走ることが、心身の発育に大切です。毎日できなくても、週に何度かは広い場所で走らせてあげてください。ただしあくまで安全な場所で、周囲には十分気をつけ、他の人や犬への配慮も忘れずに。

歩様を見ながら、疲れすぎないうちに運動を終了することは、子犬のときと同じです。激しい運動や長時間の運動のあと、また老犬などは、運動後にマッサージやストレッチをしてケアするとよいでしょう。定期的に専門医のリハビリテーションを受けることも、足腰の故障の予防になります。

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