血液検査の数値
サイトハウンドの血液検査数値は、一般的な犬の正常値とはずれるものがあることが知られています。ウルフハウンドも同じ傾向があり、白血球数や血小板数が低め(基準値の下限、または下限をやや下回る)で、赤血球数やヘマトクリットが高めの犬が多いようです。平常時に安定してその数値を維持しているのであれば、とくに問題はありません。
白血球数の上昇は感染症などの指標となります。日頃からこの数値が低い犬では、何らかの原因で白血球数が劇的に上昇しても、一般的な「基準値」の範囲内に収まってしまい、獣医師の対応が遅れる可能性が考えられ、注意が必要です。
いざという時に迅速に的確な対応ができるように、年1回程度は定期的健康診断とともに血液検査を行い、健康時の数値を把握しておくとよいでしょう。
サイトハウンドの血液検査数値の基準範囲は、しばしばグレイハウンドの数値が用いられます。スコティッシュ・ディアハウンドの場合では、グレイハウンドとも少し異なるという論文が出されています。また、オーストラリアで22頭のウルフハウンドの血液検査数値を分析した結果でも同様に、一部はグレイハウンドと同じ傾向があるものの、一般犬種と同じ、あるいは両者の中間値となる項目もあることが指摘されています。一口にサイトハウンド犬種といっても、血液検査数値の傾向は個々の犬種ごとに異なるようです。しかし、ウルフハウンドの犬種としての確立した基準は示されていません。参考までにグレイハウンドのデータを掲載します。
参考:グレイハウンドの血液検査数値
一般の基準範囲に対してグレイハウンドの正常値が高い・低いものを挙げています。
【普通より高い】
・ヘマトクリット(PCV):基準値35〜50%、グレイハウンド45〜65%
*グレイハウンドは35〜40%で貧血になっている可能性がある
・クレアチニン:基準値0.6〜1.6、グレイハウンド1.0〜1.7
・ALT(GTP)、AST (GOP):肝臓の数値がやや高め
【普通より低い】
・白血球(WBC):基準値4000〜15000/μl、グレイハウンド2000〜6000/μlがよくみられる
・血小板数:基準値150000/μl以上、グレイハウンド80000〜120000/μl
・総タンパク:基準値5.1〜7.1、グレイハウンド4.8〜6.3
・グロブリン:基準値2.2〜3.9、グレイハウンド1.7〜3.0
・甲状腺ホルモン(Total T4, nMol/L):基準値20〜33、グレイハウンド8〜20
〈参考ウェブサイト〉
Greyhound Health Initiative "Reference Intervals"
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