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【小説】星の子の母

「生まれるまでは花は咲かない。逆を言えば、花が咲くまでは生まれないんだよ。」

 ナスタチウムの網の上で、私はこの子がいつ生まれるのか気が気じゃなかった。無事に生んでやりたい気持ちがある反面、このうねうねと動くお腹の奇妙な感覚から一刻も早く逃れたいという気持ちもあった。ナスタチウムは地面に根をはり、猛スピードで成長しているように見えた。黄緑色の蔓が縦横無尽にはびこり、私たちの足元に網のようなものを形成していた。

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