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[小論文演習]日本の精神科医療の問題(600字)

著者の主張を一言で述べると、日本の精神科医療の問題点は、
福祉で行うべき領域を医療で行なっている事だ。
それにより経済的、人道的な問題が生じている。

病床の多寡はその国の関心高さを意味しない。
「精神病床数の推移」の指摘がそれを示している。

むしろ日本では、宇都宮事件に代表されるように、世界に類を見ないほどの長期的な閉鎖病棟での入院につながっている。
社会の陰で、人権無視の過剰な薬物投与や強制労働が行われていた事実があり、
異端の存在を排除したいという国民性から生じている可能性を著者は否定しない。
一方欧米では、不完全ながら福祉で行えているのは
宗教団体など、地域に障害者を支える土壌が生きていたためとしている。

しかし、日本は元来福祉の概念を持たない野蛮な国ではない。
例えば江戸幕府が福祉政策として、鍼灸を彼らの専業とした
ことは知られている。障害者ながら自活できる道が与えられ、将軍の侍医となり名誉を与えられた人物もある。

福祉は存在する。近代化と必ずしも比例しないだけだ。
核家族化や、女性の社会進出を元には戻せない。
時代に沿って、日本の風土にあった対策を講じれば良い。

これは長期的には教育の問題と思うが、
一つ有効な改善策は、MSWの待遇を向上させることだ。
必要なことは地域の相互扶助が働くための仕組みづくりである。
職域の線引きや、住民の理解など、
医師と住民の相互理解が必要だが、そのための翻訳者が必要だからだ。


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